第6章 親御さんや、性分化疾患を持つ人々の思い・考え
  

ここでご紹介しているハンドブックは2006年にアメリカで作成されたものです。それまでの欧米での性分化疾患を持つ子どもや大人、家族の方の医療ケアには多くの問題点が指摘されており、この章に掲載されている手紙にも、そのような状況を踏まえたものがいくつかあります。欧米ではこのハンドブックが出た時代以降、体の状態に応じたサポートグループや家族の方のサポートグループが設立されたり、診断・医療技術の進歩、社会医療的サポートなど、性分化疾患医療は大きく改善されつつあり、現在とこの章に描かれている状況とは大きく異なるところもあります。

 

現在の医学・医療・サポート体制を踏まえた上での、DSDを持つ人々やご家族の体験談は、「ライフストーリーズ」でご紹介しています。ぜひこちらもご覧いただければと思います。

この章について

 この章では、まず前半は、性分化疾患を持つお子さんを育てられた親御さんの皆さんに、自分たちの体験とそこから学んだことを短い手紙で書いていただきました。ここに掲載できる手紙の数では、親御さんたちのほんとうに様々な体験全てを伝えきることはできません。ですが、この手紙から、何らかの安心感や、共感、アイデアを見つけていただければ幸いです。また、自分自身の子育てについて、また別の親御さん皆さんの役に立つような手紙を書く参考にしていただければと思います。(皆さんご自身の考えや思い、体験の日記をつけていく方法については第5章で触れています)。こういう日記をつけておいて、もし息子さんや娘さんに渡すということがあるなら、お子さんも、自分の人生の様々な段階で、皆さん親御さんがどんなことを思い、考えてきたのか、理解できるということもあるでしょう。皆さんが、人生の様々な段階で決意してきたことを、お子さんが理解するのにも役立つかもしれません。お子さんが皆さんの辛い決意、皆さんがどれだけ大変な思いをしたこともあったか、お子さんが理解してくれれば、親子関係を強いものとしていくということもあるかもしれません。

 

 章の後半は、性分化疾患を持って大人になった人々からの、思い出や考えを書いた手紙です。最初私たちは、この手紙を書いていただく上で、「自分の親御さんにはどんなことを分かってもらいたかったですか?」ということをお聞きしていました。そうすれば、親御さん皆さんに重要な情報をお伝えできると思ったからです。ですが、その結果、多くの手紙に後悔したというお話が出てきました。私たちは、皆さんのお子さんに、後悔の多い人生を送っていただきたくありません!私たちとしては、こういう人たちの体験が、どのような間違いをしてはならないのか、知っていただくことに役立てればと思います。性分化疾患を持って大人になられた人の体験の中には、読むのが辛いものもあります。特に性分化疾患を持つ子どもの場合、自分のことや自分の思いを話しにくい雰囲気の中では、自尊心も育ちにくくなったり、傷つきやすくもなることもあるでしょう。これらの手紙を読むのは、お気持ちが強い時にしてください。

 

(大切なお願い) ここでご紹介する手紙は、皆さんがこうしなければならない、こうあらなければならないという、単純な話をお伝えするものではありません。そうではなく、この手紙を書かれた人の思いは、皆さんの子育てがより良いものになることを願ってのものなのだということを、どうか受け止めていただければと思います。

コリン・ストールさんとモリー・ストラッタンさんご家族

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