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「ジェンダー法研究7号」に「DSDs:体の性の様々な発達とキャスター・セメンヤ」を寄稿させていただきました。

 今回の拙文では,いつもレクチャーでお話している「社会的生物学固定観念」等の内容のもう少し詳しい説明に加え,特に初めて,DSDsを持つ人々への「差別」の構造と人権の問題について書いています。

 当事者・家族の皆さんだけでなく,一般の方にもハードな内容になっていますが,なぜ実態と異なる「男でも女でもない性」というイメージが社会的に投影され続けているのか,活動家の人々が本当に訴えていることはどういうことなのか,DSDsを持つ人々だけでなく「人間そのものを大切にするとはどういうことなのか」,あるいは「人間を損なうものとは何なのか」について考察しました。

 当事者・家族の皆さんにはかなりつらい描写もあり,正直「差別」「人権」について書くということ自体が,私の力を大きく超えるものでしたが,ジェンダー研究者の方やLGBTQ等性的マイノリティの皆さん,性に関わる問題,差別・人権問題について関心のある皆さんには是非読んでいただけましたらと思います。

 特集では,ドイツのヨハネス・グーテンベルグ大学の石嶋舞先生による,ドイツで「『インターセックス』の人々に『第3の性別欄』選択肢が認められた」件について,その問題点を論じられた論文も掲載されています。




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海外国家機関DSDs調査報告書

ベルギー国家機関性分化疾患/インターセックス調査報告書
オランダ社会文化計画局「インターセックスの状態・性分化疾患と共に生きる」表紙

 近年、教育現場や地方・国レベルで、LGBTQ等性的マイノリティの人々についての啓発が行われるようになっています。その中で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が取り上げられるようになっていますが、昔の「男でも女でもない」という偏見誤解DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。

 どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。

 ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。

DSDs総合論考

 大変残念ながら,大学の先生方でもDSDsに対する「男でも女でもない」「グラデーション」などの誤解や偏見が大きい状況です。

 

 ですが,とてもありがたいことに,ジェンダー法学会の先生方にお声がけをいただき,『ジェンダー法研究7号』にDSDsについての論考を寄稿させていただきました(ヨヘイル著「DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス) 排除と見世物小屋の分裂」)。

 今回,信山社様と編集委員の先生方のご許可をいただき,この拙論をブログにアップさせていただきました。

 DSDsの医学的知見は大きく進展し,当事者の人々の実態も明らかになってきています。ぜひ大学の先生方も,DSDsと当事者の人々に対する知見のアップデートをお願いいたします。

 

 (当事者・家族の皆さんにはつらい記述があります)。

ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
性分化疾患YouTubeサイト(インターセックス)
ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会
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