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日本産科婦人科学会倫理委員会に「着床前受精卵診断(PGT-A・SR)」に関する要望書を提出しました。

 日本産科婦人科学会倫理委員会に「PGT-A・SR(着床前受精卵診断)」に関する要望書を提出し,10月23日に行われた「PGT-A・SR臨床研究に関する公開シンポジウム」でご発表をいただきました。  新型出生前診断(NIPT)と同じく,着床前受精卵診断(PGT-A・SR)も,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の中では,ターナー症候群(45,X)やXXX症候群の女の子,クラインフェルター症候群(47,XXY)やXYY症候群,XXYY症候群の男の子の受精卵が関わってくる可能性があります。


 着床前受精卵検査(PGT-A・SR)とは,体外受精によって得られた胚の染⾊体数を,妊婦になることを希望される女性の子宮に移植する前に調べる検査です。欧⽶では流産を防ぐ⽬的で既に実施されていますが,⽇本でも日本産科婦人科学会で「着床前胚染⾊体異数性検査(PGT-A)の有⽤性に関する多施設共同研究」が開始されています。  この研究自体は,流産の可能性があったり,流産を経験された妊婦の皆さんにとってとても重要で,私たちも決して反対するものではありませんが,X・Y染色体バリエーションを持つDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)も関係する可能性があります。  着床前受精卵診断の共同研究では,性別の告知はされないことになっています。ですが,X・Y染色体異数(バリエーション)については,45,X染色体をもつ女の子(女児約2,500人に1人)、47,XXX染色体をもつ女の子(女児約1,000人に1人)、47,XXY(男児約500人に1人)や47,XYY(男児約1,000人に1人)、48,XXYY染色体をもつ男の子の受精卵が見つかることがあり,それが告知の対象となるかどうかという問題があります。  X・Y染色体バリエーションを始めとする性分化疾患に対しては、社会全体はもちろん、一般の医療従事者の中にも,「男でも女でもない」という偏見がいまだに大きく存在します。  現実に、出生後に47,XXY染色体(クラインフェルター症候群)が判明し、「男でも女でもない子です」と誤った情報を提供され(47,XXYの人はただの男性です)、遺伝カウンセリングなど適切なフォローもないまま放り出されてしまうことが起きております。  現状では,正しい情報の提供や,適切なアフターフォローがあいまいなままになるという懸念があり,日本産科婦人科学会倫理委員会に要望書を提出いたしました。  文面は以下のPDF,動画を御覧ください。



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