top of page
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
からだの状態ごとのみんなの思春期
次のステップ(11歳以上)
次の次のステップ(14歳以上)

DSDティーンズへようこそ!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 みんな! このページに来てくれてありがとう!

 

 ここは,DSDs(ディーエスディーズ):体の性のさまざまな発達(性分化疾患)と呼ばれている,「女性・男性のさまざまなからだのバリエーション」がある,10代の女の子・男の子たちと家族のみなさんのためのページです

 みんな、学校の授業や本で、女の子・男の子のからだの発達やしくみについてならうと思う。でもね、学校でならうことは本当はほんの基礎的なものでしかなくて、DSDsのある女の子・男の子まで説明したものじゃないんだ。

 それに、DSDsといっても,いろいろなからだの状態があります。みんなは,自分のからだの状態がどういうものなのか,お医者さんから聞いているかもしれないけど,すぐに理解することってむずかしいよね。

 そこでつくられたのがこのページなんだ。

 

 このページは,世界中のDSDsのあるセンパイが,世界中のDSDsの専門のお医者さんたちと協力してつくられました。

 

 からだの性の発達はどのようにして起きるのか,みんなのDSDsや,思春期がどのようなものになるのか? そしてこれから自分の生活や人生はどうしていけばいいのか?

 

 DSDsのセンパイやお医者さんたちからの,医学的なエビデンス(証拠)と最新の医学的知識をもとにして,正しい知識や知恵,ヒントを伝えていくからね!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 DSDティーンズはぜんぶで4章あります。

 第1章は思春期とみんな。DSDがあることを知らされた10歳以上のみんなのために、思春期の二次性徴(にじせいちょう:思春期に起きるからだの発達のこと)について、学校でならう基礎的な知識だけじゃなくて、もっとくわしい話をわかりやすく書いています。

 第2章は「からだの状態ごとのみんなの思春期」DSDsにもいろいろなからだの状態があります。そのからだの状態ごとに、二次性徴でどういうことが起きるのか、起きないのかを説明します。(現在作成中です)

 第3章は「次のステップ」。11歳以上のみんなのために、みんなの病院の先生とどういう話をすればいいのか、学校や友達には自分のDSDをどうあつかえばいいかについて、いろいろなヒントを説明します。(現在作成中です)。

 第4章は「次の次のステップ」。これは14歳以上のみんなのための章です。好きな人ができたときにどうすればいいのか、好きな人とのおつきあいでどんなことに気をつけなければいけないか、自分自身をどう大切にケアできるかについてのヒントを説明します。(現在作成中です)

DSDティーンズを作った人

 

  • ミリアムさんやニーナさんなど,イギリスのサポートグループ「dsdファミリーズ」のみなさん

  • 国際内分泌学会DSDs専門のお医者さんたち

  • ビンセントさん・ジョーさん・デイビッドさん(ロンドンカレッジ大学:UCLの先生たち)

  • ニーナさん(DSDs専門のカウンセラー:臨床心理学者さん)

  • 日本語翻訳:北野さん(臨床心理士)

  • イラスト:かくまんさん 

  • 日本語翻訳・日本版制作:・ヨヘイル(ネクスDSDジャパン

dsd-families-logo.png
index.jpg
UCL-logo-big.png
logo.jpg
nexdsdロゴ透過.png

第1章
思春期とみんな

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 思春期っていうのは、君たちの体が子どもから大人に成長していく時期のこと。この時期には、体の内側でも外側でも、ほんといろいろなことが起きるんだ。


 からだの中の成長のセクションでは、思春期のそういう成長・変化をおこすもの(ホルモンって呼ばれてる)についてと、そのホルモンが作られるところ(性腺(せいせん)って呼ばれてる)について説明していこう。
 

 からだの外の成長のセクションでは、思春期に、からだの外側にどういう変化が起きるのか、どんなところがどんなふうに変化・成長するのか、そしてそれはどんな仕組みで起きるのか説明していくね。
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 脳と心の成長のセクションでは、思春期に心に起きる恋愛感情や自分の個性についての考えについて説明しています。思春期の発達は、からだだけでなく、子どもからおとなになっていく、こころにも起きるんです。


 思春期って一口に言っても、本当それぞれみんなちがう。それぞれの思春期っていうのがある。全部おんなじってわけじゃない。あなたが思春期を迎える前に、あなたの思春期の変化を理解しておけるようにしておきたいと思っています
 

(1)からだの中の成長

 みんなのからだの中では、ホルモンって呼ばれてるものが、思春期のからだの成長と変化を起こすことになる。ここでは、その「ホルモン」って呼ばれてる、ちっちゃいメッセンジャーについて説明していこう。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

​テストステロン(T)

ホルモンにはいろいろなものがあって,

みんなのからだや生活に大きく関係してるんだ。

エストロゲン(E)

ホルモンはからだの中のちいさなメッセンジャー!

 メッセンジャーって知ってる? みんなの家のポストに手紙を届ける人のことだ。郵便配達する人だね。実はわたしたち・ぼくたちの血液の中にも,ちっちゃなメッセンジャーがいる。それが「ホルモン」ってやつ。

 

 このちっちゃなメッセンジャー、「ホルモン」は、血液の中を通って、体の中でメッセージ(手紙・メール)を送ってるんだ。どんなふうに成長して変化するかっていう手紙をね。


 ホルモンにはいろいろな種類があるけど、思春期の間は、男の子にも女の子にも、大きなはたらきをするホルモンがある。そのふたつが、テストステロン(T)と、エストロゲン(E)だ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

ホルモンってなにをするの?

 テストステロン(T)とエストロゲン(E)。このふたつはからだやこころに大きな変化を起こすホルモンだ。このふたつのホルモンは、多いって人もいれば、少ないって人もいる。


 そして、からだは、テストステロン(T)とエストロゲン(E)、それぞれに違う反応をする。たとえば、テストステロン(T)とエストロゲン(E)がまったく同じ量でも、男子に発達することもあれば、女子に発達することもあるんだ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

​テストステロン(T)

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

エストロゲン(E)

 ただ、思春期っていうのは、みんなそれぞれに違う。

 

 キーポイントは2つ。この2つを理解すれば、自分の思春期に何が起きるか(起きたか)理解できるよ。
 

(1)君のからだには、どれくらいの量のTとEがあるか?(どれくらいの手紙が来るか?)

ぜんぜんか少しだけ
まあまあ
たくさん
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

(2)君のからだは、TとEそれぞれにどれくらい反応するか?(手紙をどれくらい受け取るか?)

ぜんぜんか少しだけ
まあまあ
たくさん
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 もし自分のDSDがどんな体の状態か君が知ってるなら、この2つの質問は分かると思う。わからなかったら、お医者さんに聞いてみて。「からだの状態ごとのみんなの思春期」のセクションでも答えを見つけてね。

性腺がテストステロン(T)と

エストロゲン(E)をつくっている

 ホルモンのテストステロン(T)とエストロゲン(E)は、そのほとんどが性腺(せいせん)ってところでつくられてるんだ。

 性腺は、男の子の多くのばあいは、陰嚢(いんのう)というところに。女の子の多くのばあいは、おなかの中にある。

 

 でも、DSDsの男の子・女の子のみんなのばあいは、ちがう場所にあることもあるよ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 まだ子どもの頃は、性腺はホルモンをほとんどつくらない。でも思春期に入るちょうど前から、性腺は大きくなって、たくさんのホルモンをつくり出すんだ。

卵巣(らんそう)のばあい

 卵巣(らんそう)って呼ばれてる性腺は、多くのばあい、たくさんのエストロゲン(E)と、少しだけのテストステロン(T)をつくって、体に送ってるんだ。

 もう少しくわしく言うと、卵巣も、その中で最初につくっているのは、実はテストステロン(T)なんだ。

 でも、卵巣をおおっている膜(まく)に、たくさんのアロマターゼという酵素(こうそ)があって、このアロマターゼ酵素が、テストステロン(T)をエストロゲン(E)に変化させるんだ。(こういう変化は「芳香化(ほうこうか)」って呼ばれてる)

 それで、からだの中へたくさんのエストロゲン(E)と少しだけのテストステロン(T)を送りだすわけ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

アロマターゼこうそ

卵巣の膜や脂肪細胞内にたくさんいます。

卵巣(らんそう)で起きてること

精巣(せいそう)のばあい

 精巣(せいそう)って呼ばれてる性腺は、たいていのばあい、テストステロン(T)を作ってからだに送ってるんだ。

 

 でも、からだに送られたテストステロン(T)の一部は、脂肪細胞(しぼう・さいぼう)のなかにある、アロマターゼという酵素(こうそ)によって、 エストロゲン(E)に変化するんだ。(こういう変化は「芳香化(ほうこうか)」って呼ばれてる)

 たとえば、テストステロン(T)がたくさん出ているばあいや、たくさん出ていても使われない(ポストに入らない)ばあいは、アロマターゼ酵素の芳香化によって、エストロゲン(E)もたくさんつくられることになるんだ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

アロマターゼこうそ

肪細胞内にたくさんいます。

精巣(せいそう)とからだの中で起きてること

性腺についてよくある質問

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

精巣と卵巣は、なぜ性腺って呼ばれてるの?

ふたつとも同じものからできてるの?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 卵巣と精巣は、赤ちゃんがまだお母さんのおなかの中にいる一番最初の時にはまったく同じものだったものからできてるんだ。

 だから、卵巣も精巣も「性腺(せいせん)」って呼んでるの。

 

 どっちも同じだった性腺が精巣や卵巣に変わっていくのは、お母さんの子宮の中の6~8週目。どんなふうに変わっていくのかは、あなたの遺伝子(いでんし)からの信号によって違う。

 

 自分がどんなふうに発達したのか、もし自分で知りたいって思うなら、君の専門のお医者さんに聞いてみるといいよ!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

性腺っていうのは精巣と卵巣だけなんですか?

それとも他にもあるの?

 そのとおり! 他にもあるよ! 性腺にもいろいろなタイプがあるんだ。


 たとえば、卵精巣(らんせいそう)って呼ばれてるタイプ。これは卵巣に精巣の組織(そしき)があったり、精巣に卵巣の組織があるってこと。


 他には、線条性腺(せんじょう・せいせん)って呼ばれてるタイプで、このばあいはホルモンを作らないし、卵子/精子もつくらない。線条性腺は、性腺未形成(せいせん・みけいせい)っていうからだの状態のばあい。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 片方は線条性腺だけど、もう片方は、ホルモンを作って、精子をつくる可能性もある性腺ってこともあるよ。これは部分型性腺未形成(ぶぶんがた・せいせん・みけいせい)というからだの状態のばあい。


 DSDsの中には他にも、精巣があんまり大きくならなくて、精子をつくらないからだの状態もある。完全型や部分型のアンドロゲン不応症(アンドロゲンふおうしょう)の女性(AIS女性)や、部分型アンドロゲン不応症(ぶぶんがたアンドロゲンふおうしょう)の男性(PAIS男性)の一部。それに5α還元酵素Ⅱ型欠損症(5ARD:5あるふぁ・かんげんこうそ・けっそんしょう)/17βHSD3欠損症(17べーた・えいち・えす・でぃー・けっそんしょう)も、そういう可能性がある。
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

テストステロン(T)を作ってるところは

他にもあるんですか?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 実はテストステロン(T)は精巣や卵巣以外でもつくられてます。

 

 たいていのばあいはちょっとだけど、女の子でも男の子でも、副腎皮質(ふくじんひしつ)っていうところでも、テストステロン(T)がつくられてるんだ。

 

 ただ、副腎皮質からたくさんのテストステロン(T)が作られることもあります。そういう体の状態は、先天性副腎皮質過形成(せんてんせい・ふくじんひしつ・かけいせい)って呼ばれてるの。

性腺は赤ちゃんをつくる準備をしてる

(ということもある)

 思春期というのは、からだが成長して、赤ちゃんをつくれるようになっていく準備期間みたいになることもある。思春期は何年かつづいて、そのあいだにからだの一部が成長していくんだ。


 性腺は、たいていのばあいはだけど、卵巣(卵子とエストロゲン(E)をつくるところ)と、精巣(精子とテストステロン(T)を作るところ)のふたつ。赤ちゃんは、お母さんの子宮のそばで、卵子と精子が出会うことで、できあがっていくんだ。


 卵巣がある人のばあい、ホルモンは、卵子が大きくなって、卵巣からおなかの中へ行くのを助ける役割(やくわり)をしている。もし卵子が精子に出会わなかったら、「生理(せいり)」というのが起きるんだ。


 精巣がある人のばあい合は、ホルモンは、精子を作ってそれを体の外に出すのを助ける役割をしている。


 そして、DSDsのある女の子や男の子のみんなは、(卵巣や精巣などの)性腺が、卵子や精子をつくらないことも多いんだ。つまり、そのばあいは、自分のからだでは、赤ちゃんをつくれないってことになる。


 赤ちゃんをつくるには、卵子や精子だけでなく、赤ちゃんが育つ子宮も必要になる。
 

 つまり、卵子や精子をつくる性腺を持っていなくて赤ちゃんをつくれない人もいれば、卵子や精子がなくて、でも、赤ちゃんを育てる小さな子宮があるって人もいる(スワイヤー症候群のある女性で、そういう女性もいる)。


 これは、からだの状態によって違ってくるんだ。

 子どもをつくれないということを悲しむ人もたくさんいる。この悲しみはつらいことだよね。

 ただ、自分のからだで赤ちゃんをつくれないっていうのは、みんなが思ってるよりも、実はとっても多い。実に7組に1組のカップルが、赤ちゃんをつくるのが難しいんだ。

 それに子どもを授かる方法はほかにもあるよ。不幸にも親御さんが亡くなった子どもや、いろいろな事情で家族を失った子どもを、養子として来てもらうっていうこともできるんだ。
 

(2)からだの外の成長

ここまでは、からだの中のことを話してきた。
じゃ
あ、みんなのからだの外側ではどういうことがおきるんだろ?

知ってる?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

遺伝子(いでんし)のはたらき

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 思春期は、みんなのからだが成長する時。背が高くなっていくっていうのも、その成長のだいじなひとつだ。


 背が高くなるのか低いままなのか、それってなんのちがい?ってみんな気になるよね。

 

 実はね、みんなのからだがおとなの大きさになるのは、遺伝子(いでんし:君が君の両親から受けついだ、君の設計図とか暗号みたいなもの)とホルモンとのふしぎな組み合わせが関係してるんだ。

 

 遺伝子の専門の人は、だいたい90%くらいは、君が両親から受けついだ遺伝子の違いで、背の高さの違いが出てくるって考えてる。

 それで、DSDsのある女の子(とくにAISやスワイヤー症候群)の中には、学校の友だちの中でも背が高めって女の子がいるかもしれないの。

 

 これは、Y染色体にある遺伝子もそうだけど、あなたのからだの遺伝子たちが、あなたのからだの骨を成長させるから。

 

 この遺伝子たちのはたらきで、足のサイズが大きめってこともあるかもしれない。サイズが大きめの靴が必要かもしれないってこと。

 これは、AISやスワイヤー症候群などのからだ状態を持ってる女の子の中には、ほんとう、よくあることなんです。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

遺伝子はきみのからだの設計図。

身長や目の色、鼻や口の形など、いろいろな組み合わせがあるんだ。

遺伝子は染色体の中にあるんだよ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 背の高さっていうのは、ほとんどのばあいで遺伝子が関係してるんだけど、実はエストロゲンは、みんなの骨が成長していく部分、成長板(せいちょうばん)っていうんだけど、そこの成長を早めに終わらせるってはたらきがあるの。


 つまり、エストロゲンが多くて思春期が早めっていうばあい、成長板の成長は早めに終わって、背が低めになるってことがあるんだ。(たとえば、CAHのある女の子には、けっこうあること)。
 

 エストロゲンが少ないと逆ってこともある。そういうばあい、からだは、長めの期間、背が伸び続けやすくなるってこと。(こういうことは、エストロゲンが少なめになるスワイヤー症候群などのからだの状態を持ってる女の子にときどき起きるの。こういうからだの状態を持ってる女の子の背が高めっていうのは、ひとつこの理由なんだ)。
 

 DSDsのある男の子や女の子には、友だちよりも背が低めって人もいる。

 

 これは、思春期が早めにはじまる人(CAHの女の子でありえる)だったら、誰に起きてもおかしくない。思春期が始まるのが遅めのばあいだったら、君よりも友だちの方が先に背が高くなるってこともあるね。


 でも、友だちより後で思春期がはじまったら、はじめは背が低くても、年とともに背が伸びつづけることもある。最後には他の友だちよりも背が高くなったってことだってあるかもしれないよ。

 それと、ターナー症候群の女の子のばあいは背を伸ばす成長ホルモンが出にくい女の子が多いので、ターナー症候群のばあいは、背が伸びるには成長ホルモンの注射が必要になるんだ。
 

 あるホルモンを持ってないというばあい、体の成長のためにホルモン注射を打ったり、ホルモン剤を飲むっていう男の子・女の子もいるかもね。

 つまり、からだっていうのはみんな違うんだ。


 みんなの身長については、みんなのお医者さんと話してみてほしい。どれくらいの身長になるのか、自分のことを理解するのを手伝ってくれるはずだよ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

テストステロン(T)のはたらき①

筋肉が強くなる

 みんな知ってるかもしれないけど、テストステロン(T)がはたらくのは、からだがテストステロンを使う時だ。

 テストステロン(T)は思春期にたくさんつくられるけど、からだはそのテストステロンを使って、筋肉を引きしめた強い状態にするんだ。


 実は、からだがテストステロン(T)に反応しなかったり、Tをあまり持っていなくても、筋肉自体はつくられる。つまり、からだがテストステロン(T)を使うのは、筋肉をつくるためじゃなくて、君が運動するのに反応して、君のからだの筋肉を強めるためなんだ。

テストステロン(T)のはたらき②

肌とニキビ

 思春期には肌も変化していく。この変化は、思春期の間につくられるテストステロン(T)やその他のホルモンのはたらきからなんだ。


 子どもの時の肌って、たいていはキレイでスベスベしてるよね。これは肌細胞(はださいぼう)がまだ若くて成長してないからなんだ。

 

 それで、思春期に肌がテストステロン(T)に反応すると、肌細胞の中でも、皮脂腺(ひしせん)って呼ばれてるところが成長して、油脂(ゆし)をつくり出すんだ。油みたいなものだよね。そして、肌は一度テストステロン(T)に反応して成長すると、その後は成長したままになるんだ。

君のからだがあんまりテストステロン(T)をつくらなかったり、反応しないばあい

 

君の肌細胞は油脂をあんまりつくらなくて、ニキビもあんまりないってことになるだろう。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が一部だけ反応するばあい

君の肌細胞は少しだけ成長して、油脂も少しだけつくって、

ニキビも少しだけ出てくるってことになるだろう。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が完全に反応するばあい

 

君の肌細胞は完全に成長して、油脂も作って、ニキビもできるかもしれない。

覚えておこう!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 たとえ性腺がなかったとしても、どんな人でもテストステロン(T)は(少なくとも最小限は)つくられているの。


 じつはテストステロン(T)は性腺だけじゃなくて、副腎(ふくじん:腎臓の上にあるんだ)ってとこでもつくられてる。だから性腺がなくても、あなたのからだは副腎から少しだけテストステロン(T)をつくってるんだよ!

 

 もちろんアンドロゲン不応症のばあい、みんながみんなテストステロン(T)に反応できるってわけじゃない。でも、卵巣のある女の子でも、ニキビができたり、テストステロン(T)による変化があるのは、この副腎からのテストステロン(T)が出てるから


 他にも肌っていうのは、空気中のホコリでも汚くなるもの。(くもってても)太陽の光で日焼けもします。だから、ちゃんとおふろに入ったり、日焼け止めをぬったりして、肌を大事にしないとね!

テストステロン(T)のはたらき③

体の毛とアンダーヘア:新しいところに生えてくる

 まだ子どものときは、体の毛ってそんなに太くないし色も薄いよね。でも思春期になると、脇の下や、性器の周り(ここのはアンダーヘアって言う)、足にも生えてきて、太くて色も濃くなるってことがある。濃いヒゲが生えてくるってこともあるんだ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

なんで毛は、長くなったり濃くなったりするんですか?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 実はこの変化も、男の子でも女の子でも、テストステロン(T)などのいくつかのホルモンが起こしてるの。

 

 血液の中のテストステロン(T)が肌の下にたどり着くと、そこの毛包(もうほう)が成長して、毛を濃く太くするんだよね。どこでもだけど、肌の毛包がいちど成長すると、元には戻らない。


 もしあなたのからだがあまりテストステロン(T)をつくらなかったり、反応しないようなら、新しい場所の毛が発達しないか、生えても少しってことがある。


 もしあなたのからだがテストステロン(T)をたくさん作って、細胞が一部テストステロン(T)に反応するようなら、体の毛の変化がたぶんいくらか起きるでしょう。

 

 でも、からだっていうのはみんなそれぞれに違うので、どうなるのかっていうのを正確に当てるのは難しいんだけどね。

変化はどんなふうに起きるの? 

僕は私はどうなるの?いつ変化が起きるの?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 人はみんなそれぞれに違ってる。

 

 わきの下の毛が生えてくるところから変化がはじまることもあるだろう。新しいところにヒョコンと毛が生えてきたら、初めはなんだかイヤかもしれないね。

 

 からだの毛がたくさんになる人もいれば、そうじゃない人もいる。

 これはいつからみんなのからだが思春期に入ったかってとこにも関係する。早い人なら8歳で思春期がはじまる人もいる。10代になってからはじまるって人もいるんだ。
 

口ヒゲやあごヒゲが生えてる人もいれば、

そうじゃない人もいるけど、なぜですか?

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 そうそう。ヒゲについては、毛包がテストステロン(T)にどんなふうに反応するのかってとこが関係してることもある。

 

 でもそれだけじゃなくて、遺伝子の一部や家族歴の違いってだけのこともあるんだ。

テストステロン(T)のはたらき④

汗と体臭(たいしゅう)

 子どもの時は、からだのにおいって気にならないよね。

 

 でも思春期になると、わきの下の汗がふえてきて、中にはちょっとにおいがしてくるって友達もいるだろう。こういうの、ちょっと難しく言うと、汗が出るのは「発汗作用(はっかんさよう)」、そしてこのちょっとイヤなにおいは「体臭(たいしゅう)」って言うんだ。
 

 実はこの変化もテストステロン(T)が引き起こしてる。血液の中のテストステロン(T)が肌に届くと、肌の細胞(皮脂腺(ひしせん)ってとこ)が成長して、体臭と汗を作り出すようになるんだ。(ニキビの原因になる油脂もだね)。
 

君のからだがあんまりテストステロン(T)をつくらなかったり、反応しないばあい

 

君の肌細胞はあまり成長しなくて、あまり体臭や汗は出ない可能性があるよ。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が一部だけ反応するばあい

 

君の肌細胞が成長して、体臭と汗が出てくる可能性がある。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が完全に反応するばあい

 

君の肌の細胞は成長して、たぶん体臭と汗が出てくるだろう。

覚えておこう!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 もしあなたのからだが体臭と汗を出して、それが気になるなら、制汗剤(せいかんざい)を使ったり、ちゃんとシャワーやおふろに入ったりするのが良い方法です。

 

 自分の肌をいたわってあげてね。
 

テストステロン(T)のはたらき⑤

声変わり

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 思春期は、「声変わり」って言って、声が太くなって、もっとおとなの声になる時期でもある。


 男の子も女の子も、声が作られる発声器(喉頭(こうとう)って呼ばれてるけど)が思春期に成長するんだ。

  だから、女の子でも男の子でも「声変わり」は起きるんだ。

 

 信じられないかもしれないけど、エストロゲン(E)もテストステロン(T)も、いくつかのホルモンが声質の変化を起こすんだよ。

 

 テストステロン(T)は、発声器の大きさを大きくして、深くひびく声にするはたらきがある。

 しゃべってる時、発声器が上下にゆれてるのが分かる? このゆれてる部分は、「のど仏」って呼ばれてるんだけど、男の子でも女の子でも、のど仏が大きい人もいれば、小さいって人もいるし、見えないくらいの大きさだってこともある。

 

 やっぱりみんなそれぞれ違うんだ。

君のからだがあんまりテストステロン(T)をつくらなかったり、反応しないばあい

 

声が太くなり、やや低い音程になる可能性もあるよ。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が一部だけ反応するばあい

 

声がより深く、太くなるだろう。音程が低くなることもあるよ。

君のからだがテストステロン(T)をたくさんつくって、細胞が完全に反応するばあい

 

声はより深く、太く、低い音程に変化する可能性が高い。

のど仏が少し発達することもあるよ。

エストロゲン(E)のはたらき①

骨を強くする

 テストステロン(T)は、からだの中で、実は一部エストロゲン(E)に変わっているって話はしたよね。

 

 テストステロン(T)からエストロゲン(E)への変化は、芳香化(ほうこうか)って呼ばれていて、これは卵巣でも起きているし、精巣からテストステロン(T)が出ていても、脂肪の中にあるアロマターゼ酵素によって、一部がエストロゲン(E)に変化しているんだ。


 そして、このエストロゲン(E)も、大切なはたらきをたくさんしている。
 

 思春期の間、エストロゲン(E)ホルモンは、君の骨を強くするはたらきと、弱くならないようにする助けをしている。
 

 それに、骨の成長を止める役目もあるんだよ。

 お医者さんが骨のレントゲンをとることがあるけど(たいていは手のレントゲンをとる。「骨年齢」レントゲンって呼ばれてる)、これはみんなの骨をチェックして、骨密度(こつみつど:骨の強さ)を調べるためなんだ。


DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 エストロゲン(E)がなかったり、あっても少ないって人(性腺がなかったり、エストロゲンの量が少なかったりする人)のばあい、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や骨質減少(こつしつげんしょう)っていう問題が起きることがけっこうあります。これは、必要なだけの強さが骨になかったり、骨の密度が少ないっていう問題なの。


 いろいろなDSDsがあるけど、自分の骨が健康なのかどうかちゃんと理解して、必要な栄養をちゃんととって、骨を健康に丈夫にたもつように心がけてほしい。お医者さんにチェックしてもらって、骨が健康かどうか聞いてみよう。


 骨を丈夫で健康にするためには、こういうものが必要なので、覚えておいて。


・ホルモン
・運動
・ビタミンD(日光のビタミンって呼ばれてる)
・カルシウム


 

エストロゲン(E)のはたらき②

胸とおしりの成長

 思春期の人の多く(特に女の子)は、胸とお尻が成長していく。これもエストロゲン(E)のはたらきで始まるの。


 胸と言っても、いろいろな形、いろいろなサイズがあるけどね。大きい人もいれば小さめの人もいるし、大きくも小さくもないって人もいる。それに胸の大きさや形は、年齢や体重でも変化します。
 

 なので、胸の大きさで、これが普通のサイズっていうのはないの。あなただけのサイズ、あなただけの体だからね。みんなそれぞれちがうんだ。
 

 胸が育たないって女の子や、エストロゲン(E)をつくってない体の女の子のばあいは、胸やお尻の成長をスタートさせるために、エストロゲン(E)を飲むかどうかの相談をお医者さんとする人もいるよ。こういうのを、ホルモン療法(りょうほう)って言うんだけど、あなたがホルモン療法に興味があったり、もっと知りたいって思うなら、次の診察のときにお医者さんに相談してみるといいよ。
 

月経について

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 月経(げっけい)は、思春期に多くの女の子に起きる変化です。

 みんなも、生理(せいり)について聞いたことがあるかもしれないね。

 生理も月経のことだけど、ここでは「生理」は、受精(じゅせい)できる(精子と出会う)ようにするために、卵巣と呼ばれる性腺が卵子を子宮に送るときに始まることとするね。

 そしてもし卵子が受精しなかったら、子宮の内側の血液の膜がはがれるんだ。そしてこの血液は、子宮から頸部(けいぶ:子宮の下にある小さな穴のこと)を通って、膣(ちつ)から体の外に出てくることになるの。ここではこの子宮からの血液が外に出てくることを「月経」と呼びます。


 生理・月経がどういうものか、どういう体験なのか説明してる資料はたくさんあります。こことか、こことか、こういう本ををオススメします。

あなたのばあいはどうなるか?


 Y染色体がない女の子は、子宮があれば、生理・月経が来ることになるでしょう。ただし、子宮がない女の子のばあい(ロキタンスキー症候群の女の子)は、月経はないけど、卵巣はあるので卵子を定期的に送りだすことになるから生理周期はあります。


 Y染色体がある女の子のほとんどは、子宮や卵巣がないので、思春期に生理・月経が来ることはないの。Y染色体がある女の子の中にも、ホルモンで成長した小さな子宮があれば、いつか月経が来るって女の子もいます(これは、スワイヤー症候群の女の子のばあいに起きるかもしれないこと)。
 

 生理・月経が起きるかどうかは、みんなのからだの状態によって違ってきます。担当のお医者さんと話をしてみてほしい。
 

 性腺や卵子、精子、子どもを授かることについては、ここをクリックして。(現在作成中です)
 

 生理・月経が来ないことや、それを友達にどう話すかってことについては、ここをクリックして。(現在作成中です)
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

生理や月経がない女の子は、それを知らされたとき悲しむ人もいるかもしれない。

でも楽だからいいって思う女の子もいるんだ。

外性器の変化

 思春期には、外性器も変化します。


 エストロゲン(E)とテストステロン(T)というホルモンが、外性器の成長を起こして、健康でいられるようにしていくんだ。この外性器の変化っていうのは、つまり、外性器が大きくなって、もっと大人っぽいものになっていくってことが多い。たとえば、陰唇(いんしん)や外陰部(がいいんぶ:陰唇を含む外側のところぜんぶ)、下半身のいろいろな出口、それに膣(体の中にあるトンネルのこと)、クリトリスにペニス、精巣(せいそう)と陰嚢(いんのう:精巣が入ってる袋のこと)、そういうところが成長していくんだ。
 

●膣(ちつ)


 膣というのは、尿道口(にょうどうこう)と肛門の間にある、チューブのような筋肉組織のことです。


 膣というのは、外陰部のことじゃないの。外陰部の奥、体の中にあるチューブが膣のことだからね。間違わないようにね!
 

 Y染色体がある女の子の中には、膣があまり大きくなかったり、深さがないということがあります。それはみんなの体の状態によってちがってきます。

 一般的には、小陰唇と外陰部は、思春期の間に十分な大きさになって、ちょっと暗めの色になります。そして膣も広がりやすくなって、少しずつ深く大きくなっていくんだけどね。これもからだの状態によってちがってくるんだ。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

●クリトリス


 クリトリスがどんなふうに成長するかは、みんなのからだでどれだけテストステロン(T)がつくられるか、そして、からだが、どれだけテストステロン(T)に反応するかによってちがってきます。
 

 もしあなたのからだがたくさんのテストステロン(T)をつくって、あなたのからだがたくさんテストステロン(T)に反応するなら、あなたのクリトリスは大きくなっていくかもしれません。

 でも、クリトリスや外性器の大きさの、人によるちがいというのは、テストステロン(T)以外にも、いろいろ別の理由もあるんだ。

 だれひとりとして、同じ形・サイズの性器というのはありません。顔もみんなちがうよね。みんな同じ顔だったらちょっとこわいよね。それとおなじで、性器というのも見た目も本当それぞれに全然ちがっていて、健康的にもそれぞれに問題はないの。

●尿道(にょうどう)


 尿道の出口の場所は、じつは人それぞれなんです。クリトリスと膣の間にあるってこともあるの。(穴は全部で3つ。尿道の出口と膣、それに肛門ね)。


 尿道の出口が膣に、体の中でつながってるっていうこともあります。こういう状態は、「尿生殖洞(にょうせいしょくどう)」って呼ばれてるの。このばあいだと、目に見える外側の出口の穴は、尿生殖洞と肛門の2つ。でも膣と尿道はどちらもちゃんとあるの。体の中でつながってるってことなんです。

●ペニス


 ペニスがどんなふうに成長するかは、どれだけテストステロン(T)がつくられるか、そして、君のからだが、どれだけそのテストステロン(T)に反応するかによってちがってくる。
 

 もし君のからだで、性腺からテストステロン(T)がたくさんつくられて、君のからだがそのテストステロン(T)にたくさん反応するなら、思春期の間にペニスは多分大きくなっていくと思う。
 

 でも、ペニスや精巣の大きさの、人による違いっていうのは、テストステロン(T)以外にも、いろいろ別の理由もあるんだ。

 

 だれひとりとして、同じ形・サイズの性器というのはない。性器というのは見た目も本当それぞれに全然違っていて、健康的にもそれぞれに問題はないんだよ。
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

●包皮(ほうひ)


 ペニスの先端(頭のとこ)をゆったり包んでる皮膚のこと。包皮がある男の子もいれば、包皮がない男の子もいるんだ。(早い時期に手術してるってこともあるからね)。

●精巣と陰嚢(ボールと袋)


 ペニスの下側に袋があるだろ? それが精巣を入れるための袋で、陰嚢(いんのう)って呼ばれてるんだ。
 

 陰嚢の中に「ボール(精巣)」が入ってない男の子もいるよ。そういう状態は「停留精巣(ていりゅうせいそう)」って呼ばれてる。停留精巣のばあいは精巣がおなかの中にあるんだ。
 

 それで、ボール(精巣)が2つの男の子もいれば、1つの男の子もいる。ボールがない男子もいる。それは君のからだがどんなふうに成長するのか、君のからだにどんなことが起きたのかによって違うんだ。もっと知りたいって思うなら、ここをクリックしてほしい。もちろん、君の親御さんやお医者さんに聞いてみるのもいいよ。

●尿道(にょうどう)


 尿道の出口がペニスの先っちょにあるって男の子もいれば、ペニスの下側とか、付け根あたりに出口がある男の子もいる(こういう状態は「尿道下裂(にょうどうかれつ)」って呼ばれてる)。まっすぐなペニスもあれば、少しカーブしたペニスもあるんだ。


 いろいろなからだの状態と性器についての情報は、「からだの状態ごとのみんなの思春期」のところをみてほしい!(現在作成中です)
 

勃起(ぼっき)と射精(しゃせい)

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 多くの男子には、勃起(ぼっき)する外性器がある。勃起っていうのは、外性器に血液が集まって、大きくなったりセンシティブになったりすることだ。


 勃起は本当いろいろな時に起きるんだ。おしっこをしたくなった時、朝起きた時、誰かに恋愛感情を感じた時とか、他にもいろいろな時にね。これも多くの人が体験する成長の一つなんだよ!
 

 精巣がはたらいてる男の子の多くのばあい、眠ってる時だけど、白いものがシーツや下着に出てくるってことがある。これはオシッコじゃなくて、精液(せいえき)と呼ばれてるもので、精液が出てくることを「射精(しゃせい)」って言うんだ。でも、はじめてこういう体験をするとビックリするよね。

 

 この精液の中には、精子(せいし)が入ってる時がある。これもからだの成長には全然あることで、夜眠ってるときに起きることだから、「夢精(むせい)」って呼ばれてるんだ。
 

 精液もみんな同じものとは限らない。人によって違うってこともある。サラサラしたものだったり、ドロドロしたものだったり、ドッと出てくる人もいれば、体の中の尿道につながる小さなチューブの中で止まってるってこともある人もいる。もしそういう状態なら、精液は、オシッコするときに体の外に一緒に出てるって可能性も高いんだ。
 

 勃起と射精のときは、オーガズムって呼ばれてる状態が一緒に来ることがある。オーガズムについてもっと知りたいと思うなら(14歳以上だけだけどね!)、ここをクリックしてほしい。(現在作成中です)
 

 勃起や射精についていろいろな疑問とその答え、それにどう対応すればいいかは、ここが詳しいよ。

おりものについて

 膣がある若い女性の膣分泌物(ちつぶんぴつぶつ:「おりもの」とも呼ばれてる)も、白っぽい液体で、下着に付いてることがよくあるんだ。でも、男の子の精液とはぜんぜん違うものだからね!

 

 でも、色や臭い、見た感じが明らかにいつもと違うばあいは、感染症の疑いがあるかもしれない。もしおりものがいつもと違うことに気づいたら(たとえば黄色かったり、かたまりのようになってたり、いつもより多かったり、かゆかったりするものの時など)、お医者さんに必ず相談するようにね。

 

 おりものが多い女の子もいれば、少ない女の子もいます。これもあなたの体によって違ってくるの。

 それと、女の子の外性器も勃起することもあるんだ。
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

(3)脳と心の成長

 思春期にみんなのからだに何が起きるのか? ここまでたくさん話しをしてきました。

でも、いちばん大切なことを忘れちゃいけないよね。それは、みんなの「心」のこと。
 

GBgsjKXa0AA-6vj.jpg
GB6C_AbbEAEjDgk2.jpg
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 思春期には、女の子も男の子も、脳も変化し成長する。君の心は、もっといろいろなことを学びやすくなるし、もっといろいろなことを考えられるようになるし、いろいろな考えやことがらを結びつけて考えられるようにもなる。
 

 君のからだ、君の心、それに君がどんなふうに感じるようになるのか? その成長・変化の一部にもホルモンが関係している。
 

 なんで自分はこんなにイライラしたり気持ちが高まったりするんだろうって、疑問に思ったことはない? からだが大きくなるときに骨が痛くなるのと全く同じように、心も成長しはじめる時は、痛みをともなうものなんだ。

 

 みんなの心の成長・変化にもホルモンが関係していて、みんなが感じる気分やズレにも関係しているんだ。
 

 女の子も男の子も、もっとものごとを深く考えられるようになっていく。それにみんなの感情、心の動きも多分変化していくことでしょう。思春期っていうのは、私たちが好きなもの、私たちが好きな人、そして自分が何者であるのか、新しく感じ考える時期でもあるんだ。

 思春期やそこでの成長っていうのは楽しいものでもある。でも、思春期を体験してきた私たちは、それが時にイヤなものに感じられる時でもあるって知ってるよ。


 ある人にとっては、思春期っていうのは本当に大変でむずかしい時期になることもある。体の変化がイヤだったり、いごこち悪くなったりする人もいます。こういう想いは誰にでも起きることなんだけどね。

 

 だから、思春期の成長を体験してる人で、なんだかつらかったりイヤな思いをしてるなら、ぜひ相談できる人を見つけてほしいの。学校の保健室の先生やお医者さん、信頼できる友達、それにそういう人が親御さんというときだってある。みんなどこかで相談してきてるんだ。

 

 だから、絶対にあなたひとりだけで悩みをかかえてしまうということだけはないようにしてね。
 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

思春期と恋愛感情

GB6C_AbbEAEjDgk.jpg
GBgskhgb0AAU-Vm.jpg
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 男の子も女の子も、多くの人にとっての思春期っていうのは、自分が好きなもの、自分が好きな人、そして自分が何者であるのか、新しく感じ考える時期でもあるって言ったよね。

 みんなつねに変化し成長しつづけている。

 

 でも、「君」を作っているものって何なんだろうね。そう。君の行い、君の好きな食べ物、君が好きなもの、君の性格、なんだかいろいろありそうだ。それに君には君だけの習慣やクセみたいなものもあるだろうね。

 つけくわえるなら、自分が好きな相手(恋愛感情を持つ相手)が、男性なのか女性なのか誰でもなのか、それとも誰にも恋愛感情を持たないのかってところに気づいてる人もいるかもしれない。そういう恋愛感情は「性的指向(せいてきしこう)」って呼ばれているの。

 

 世の中の多くの人は、女性だったら男性を、男性だったら女性を好きになるものだと思われがちだけど、女性で女性が好きになることもあれば、男性で男性が好きになることもあるの。それに性別に関係なくいろいろな人が好きだということもあれば、あまり恋愛感情を持たないという人もいるんだ。

 でもちょっと待って! 大事なこと。

 

 「誰を好きになるか?」という「性的指向」と、あなたの「性別」とはぜんぜん別のことです。

 女の子で女の子が好きだからといって、それは実は男の子だったということじゃないし、男の子で男の子が好きだからといって、実は女の子だたっというわけじゃないの。間違わないで。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

女の子も男の子も

「らしさ」はいろいろ

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 みんな、「性別役割(せいべつやくわり)」という言葉は知ってる? もう少しわかりやすい言葉で言うと、「男らしさ」「女らしさ」ということ。

 たとえば、女子ならドレスを着ることを期待されたり、マンガみたいにメソメソ泣いたりすることを期待されたり、ラブソングが好きなはずだって思われたりすることがあるかも。

 それに男の子なら、野球やサッカー見るのが好きなはずだって思われたり、ラッパーみたいな服が好きだろうと期待されたり、スポーツするのが好きなはずだと思われたり、絶対泣いちゃいけないって思われたりすることがあるかもしれない。

 

 こういう「男性なら女性なら、こう行動するはずだ、こうふるまうはずだ」っていう、かたよった見方のことは、「性別役割」や「固定観念」って呼ばれている。

 ずっと昔は、女性・男性に対する固定観念はとても強くて、女の子がズボンをはいたりサッカーをしたら、「女の子は絶対スカート!」「サッカーは男の子のやるもの!女の子は人形で遊んでなさい!」って言われたりしてたんだ。それに男の子が泣いたりしたら「男のくせに泣くんじゃない!」って言われたりね。しかも女性と男性で仕事の役割も決まっていた。「お医者さんは絶対男性!女性がなれるもんじゃない!」とかね。

 ちょっとびっくりだ。

 でも今はこの「性別役割の固定観念」はかなり薄くなってきている。あたりまえだけど、女の子もスカートよりもズボンのほうが好きっていう人もいるし、サッカーが好きって人もいる。男の子も悲しかったら泣くだろうし、野球があまり好きじゃないってこともあるしね。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 それで時々だけど、「性別」と「性別役割の固定観念」とをかんちがいして、同じものだと思ってる人がいるの。

 たとえばだけど、ズボンをはいてサッカーが好きな女の子は「女の子じゃない」とか「男の子になりたいんじゃないか?」とかね。

 でもこれは女性・男性という「性別」と、「性別役割の固定観念」戸を同じものだと思っているから。「ズボン・サッカー=男性」という頭の中の固定観念が強すぎるんだね。

 だって、ズボンをはく女の子はズボンが好きな女の子、サッカーをする女の子もあたりまえだけどたくさんいるもの。ズボンとサッカーが好きな女の子は、べつに男の子になりたいわけじゃなくて、ただ、ズボンとサッカーが好きな女の子だってことなんだけどね

 

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

女の子にもさまざまな女の子がいる。

数学が好きな女の子も、フリルが好きな女の子も、サッカーが好きな女の子も、

ラップが好きな女の子も、花が好きな女の子も、みんなそれぞれの個性があるんだ。

  ふたりとしてまったく同じ人なんて、この世にはいない。わかるよね。

 

 男の子であること、女の子であることっていうのは、こんなふうにふるまわなくちゃいけないとか、こういうものが好きなはずだとかいうことではないんだ。

 

 男の子も女の子も、君は君が好きなものを好きになればいいし、君にとって正しいと思うことをやればいい。君が好きなもの、君がしたいと思うことは、君が男の子であること女の子であるということを少しもおびやかすべきものではないんだからね。

 そう。男の子にも女の子にもさまざまな人がいるんだ!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
GCoqeRtb0AAV3KL_edited.png

男の子にもさまざまな男の子がいる。

おっとりした男の子も、ぬいぐるみが好きな男の子も、料理が好きな男の子も、ピンクのアロハが好きな男の子も、ブラックが好きな男の子も、みんなそれぞれの個性があるんだ。

女の子も男の子も

「からだ」もいろいろ

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 みんな! ここまで読んでくれてありがとう!

 

 多分だけど、自分のDSDについて知らされたとき、みんなきっと驚いたし、悲しんだ人もいると思う。「自分は他の人とちがう」とか「私は本当に女の子なの?」「僕は本当に男の子なの?」って、すごく混乱して、とても悩んで苦しんでる人もいると思う。

 それは私たちもそうだった。

 

  そういう悩みは苦しみはまだしばらく続くかもしれない。でも、ここではみんなに知っておいてもらいたいことがあるの。

  それは、実は本当は「女の子にも男の子にも、生まれつきさまざまな体の状態がある」ということ。

 みんな、学校の授業や本で、染色体や性腺の種類、外性器の形、ホルモン、生理について、「女の子のからだはこう」「男の子のからだはこう」って習うよね。

 

 そういう話を聞くと、自分は「男でも女でもない」「女の子として・男の子として不十分」と思ってしまうかもしれない。

 

 でもね、学校で習うことは本当はほんの基礎的なものでしかないんだ。本当は、染色体や性腺の種類、外性器の形、ホルモン、生理の有無でも、女の子にも男の子にも生まれつきさまざまな体の状態があるんだ。残念だけど、この事実は大学の医学部くらいまで行かないと習わないことなんだけどね。

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)

 そのとおり。そしてそれは昔の時代に「性別役割」の固定観念が強かったのと同じで、女性と男性の生まれつきのからだの状態に対しても固定観念があるの。そういう固定観念は「女性・男性のからだの社会的生物学固定観念」と呼ばれています。

 

 女性・男性の「性別役割の固定観念」は、今ではかなりやわらいできている。だって本当はいろいろな女の子・男の子がいるからね。

 

 でも、女性・男性の「からだの固定観念」は、とても残念だけど、今でもとても強く残っているの。

 

 ただ、昔はとても強かった性別役割の固定観念も今ではかなりやわらいでいるのと同じように、「からだの固定観念」もこれからやわらいでいくと思う。

 

 そう。そして、「女の子のからだはこう・男の子のからだはこう」という「女性・男性のからだの固定観念」は昔からあるように思われているけど、実は今から70年ほど前(1950年代)からにすぎないということも言われているんだ。

 人類誕生は700万年前からと言われているけど、まちがった「からだの固定観念」が生まれる前までは、みんなただの女性・男性でしかなかったわけ。

 みんなの持っているDSDsというのは、けっして「男女以外のからだ」ではないし、君が「女の子として・男の子として不十分」ということでもない。DSDsというのは、「女の子にも男の子にも、生まれつきさまざまな体の状態がある」ということなんだ。

  どうか自分に自信を持ってほしい!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)
GCoqhefbcAAAD3W.jpg
GCoqeRtb0AAV3KL.jpg

女の子にも男の子にもさまざまな女の子・男の子がいるのと同じように、「からだ」についてもさまざまな女の子・男の子がいるんだ。DSDsというのは、「女の子にも男の子にもさまざまな体の状態がある」ということなんだよ。

bottom of page