
海外国家機関
DSDs調査報告書
連日LGBTQ等性的マイノリティーの皆さんについての報道がなされ,各地で人権セミナーなどが行われており,時折DSDsを持つ人々が「身体の性の多様性」や「男女以外の存在」であるように言及されることがあります。
ですが,実際のDSDs(体の性の様々な発達:性分化疾患/インターセックスの体の状態)とはどのようなものなのか? DSDsを持つ人々やご家族の皆さんは,現実にはどのような身体的・社会的困難を持っているのか? 実はそれはほとんど知られないまま,当事者のみなさんの人間として最も私的で最もセンシティブな身体の領域の話が,イメージだけが先行して語られています。
でも,それは果たしてDSDs当事者家族のためになっているのか? それを問う人はほとんどいません。
そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。
どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。
ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。
DSDs国家機関調査報告書概要

01
DSDsを持つ人々は
「男女以外の第三の性別」ではない。
DSDsを持つ人々や子どもたちは,自身を明確に女性もしくは男性と認識していて,決して「男女以外の第三の性別」ではない,そのような認識は誤った「神話」に過ぎないことが指摘されています。


02
DSDsを持つ人々を
「男でも女でもない性」とするのは差別的である。
DSDsを持つ人々や子どもたちを,「半陰陽(男でも女でもない性)」や「インターセクシャル」と表現するのは,旧態的で差別的であることが指摘されています。


03
DSDsは「アイデンティティ」ではない。
DSDsを持つ人々の大多数は,LGBTQ等性的マイノリティのみなさんとは異なり,DSDsの体の状態を自分のアイデンティティとはしておらず,全体的なコミュニティも存在しないことが指摘されています。現実には,他の障害を持つ人々と同じく,それぞれの体の状態を「持っている」と認識している人が大多数で,なにかのラベリングをされることはとてもつらいことなのです。


04
DSDsを持つ人々は,男女の区別に疑問を投げかける必要を感じていない。
DSDsを持つ人々は,「支援者」を名乗る人や大学の先生によって「生物学的にも男女の境界はない・グラデーションだ」という言説で取り上げられることがありますが,当事者のみなさんの大多数は,男女の区別に疑問を投げかける必要性は感じておらず,いわゆる「男女二元論」というものを打ち崩したいとも思っていません。

