top of page

家族のページ

FOR FAMILIES

家族のみなさん
 あなたはひとりではありません。
大丈夫です。やんとかやっていけます!

 お子さんになんらかの性分化疾患(最近では「DSDs:体の性の様々な発達」とも呼ばれています)があるかもしれないと突然知らされれば,誰でも動揺し,おどろくものです。

 みなさんもそうかもしれません。お子さんの体に何が起きているのか,これからどうなるのか,やっていけるのか,いろいろな不安,いろいろな疑問に圧倒されてもおかしくありません。

 ですが,日本でも少なくないご家族の方が同じような経験をされています。けっしてあなたはひとりではありません!

 昔とはちがって,現在では各種DSDsの医療情報も豊富になってきています。

 このサイトを通じて,不安は一時的なものであることを知り,不安や悩みが少しでも軽くなることを願っています。

baby

生まれる前に
DSDsの可能性を
知らされた場合

Newborn1.jpg

​赤ちゃんが生まれてから
性別判定検査が必要だと
言われた場合

photo-1505150099521-fde7970bcc3a.jpg

思春期前後に
お子さんのDSDの可能性を
知らされた場合

製作中です
Blue Skies and Yellow Fields

出生前検査などで
X・Y染色体の違いを
知らされた場合

frg.jpg

お子さんに
どう話していくか?

サポートグループ

親御さん仲間からの
ヒント・体験談

キャプチャ2.PNG

家族のための
ハンドブック

7189264afb5b9e7dea874aa2824e60aa.jpg

他の家族とつながりたい
親御さんへ

8.bmp

00

出産前に赤ちゃんのDSDが判明した場合

 現代のDSDsの医療の進歩には目覚ましい物もありますが、それゆえに、お子さんの出産前に、超音波検査などでお子さんのDSDの可能性が判明する場合もあります。さまざまな判明の仕方がありますが、今回ご紹介するのは、イギリスのDSDサポートグループ「dsdファミリーズ」に掲載された、出生前の超音波検査で、赤ちゃんの外性器の形状から、なんらかのDSDを持っている可能性が指摘されたお母さんの体験談と、同じような状況にあるご家族の皆さんへの大切なアドバイスです。

 

 基本的なこととして、どのようなご家族の方でも、生まれてくる赤ちゃんの幸せを望まない人はいません。ですが、赤ちゃんに何らかの障害や体の特徴をがあると、特にお母さんにとってはとても心痛むことになるのは十分に理解できることです。

 

 一般的に、赤ちゃんが障害を持って生まれたお母さんの心理は、赤ちゃんを死産した心の痛みにも匹敵すると言われています。これは、まずは、「障害を認めていない」という単純な話ではなく、我が子の幸せを思う上での、これからどうなっていくのだろうという不安・恐れ故でしょう。ぶつけどころのない怒りが湧いてくることもありますし、自分が悪いんだという罪悪感にさいなまれることもあります

 

 ここでご紹介するA君のお母さんは、そういう場面を乗り越えた上で、みなさんへのアドバイスを書いていらっしゃいます。続く文章では、サポートグループ「dsdファミリーズ」からの詳しい解説も載っていますので、是非そちらも読んでください。

0-1

赤ちゃんが生まれる前に、然るべき人と会うようにしましょう。

 出産前の検査などで、赤ちゃんの外性器の形が想像していたものとは違う形状で、DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の検査が必要になるだろうという場合、できるだけ早くDSDs専門の小児内分泌科医を紹介してもらうようにするのが重要です。

 

 日本では性分化疾患指定専門の病院があります。その中でも、みなさんやお子さんを障害サポートしてくれる様々な医療従事者を加えたチーム医療を行っている病院を選ぶことをお勧めします。見つかれば、先にコンタクトをとるようにしましょう。そうすれば病院のDSD医療チームも準備ができるでしょう。心理的な支援も、事前に、もしくは出産直後から得られるようにしましょう。心理的な支援は、みなさんが赤ちゃんのこれからの発達を理解したり、みなさんの友達や家族にどう話すかなどなどの事を考えていくのに役立ちます。

 

 ともかく、出産前に然るべき専門家に会っておくことで、出産後の諸々を(少しだけでも)冷静に受け止めていくことができるでしょう。

多肉植物
植物と本

0-2

でも正直、そんな気分にはなれないかもしれませんね…。

(A君のお母さんより)

 でも正直、そんな気分にはなれないかもしれませんね…。

 

 ですが、赤ちゃんが生まれる前にいろいろなことを知っておくことで、心の準備ができるものです。これからの計画を考える時間もできますし、いろいろな機会を事前に得ることもできます。胸の内を話すこともできるし、近しい家族、それ以外の人にどう話すのか決めていくこともできる。生まれてからしばらくの間、どういう治療をしていくかなどの決断について、かなりプレッシャーを低くすることもできます。

0-3

もしインターネットで検索する場合は、自分自身の勉強のためだけにしましょう。

 インターネットでむやみに検索するのはおすすめしません。推薦されているリソースを見るだけにしてください。残念ながらインターネットには時代遅れの情報も多数あり、センセーショナルにしたい人の無知や偏見も多く書かれています。

 

​(A君のお母さんより)

 この時点で「絶対の正解」を求めるのは、むしろ有害です。どのような答えも、自分の思った通りになる確率は50%くらいなんだと思っておくようにしましょう。

  お医者さんたちは赤ちゃんの体の状態がどのようなものか見極めるために、検査など十分な時間をかけます。インターネットの情報だけで診断を憶測するのはやめましょう。私は個人的には、お医者さんとの診察で使われる、(時にとても)分かりにくい専門用語の意味を理解するのにインターネットを役立てました。良いこと悪いこと、どちらも心の準備ができるようにしておきました。

 それよりも確実だったのは、担当医師に訊くことです。理解する必要のあることはどんなことでも質問するようにしてください。ノートを作って、ちゃんと書き留めておくようにしましょう。この際、バカな質問なんて全くないのですから。

 

ノートパソコンに向かう女性
幼稚園

同じ体験をした親御さんから

 もしまた今のみなさんと同じ状況にいるとしたら、今度はお医者さんにためらわずに言おうと思います。

 「ごめんなさい、ちょっと待って下さい。わからなくなりました。もう一度最初から説明してくれませんか?」って。

出産前相談

0-4

バースプランについて

 もしバースプランを書かれる場合は、赤ちゃんが生まれた時、地域の病院に何をして欲しいか(専門のDSD医療チームの情報提供と予約、どんな検査が行われるか教えてもらうなど)、お母さんと赤ちゃんとが、いつどのようにDSD医療チームのいる病院に転院するかなど、はっきり伝えるようにしましょう。特別な機会なのですから、許可が出ると思います。

(A君のお母さんより)


 今回は私は3人目の子どもでしたが、1人目の時はバースプランを書きました。その時は、「どこでもいいですので、すぐにスキンシップを取りたいです。それにできれば最初のオムツ替えもさせて下さい」と書きました。


 私としては、今回の出産でも他の子どもたち同様、生まれてくる瞬間を祝福したいと思いました。そして、「下半身」の見かけに囚われたくないと思いました。オムツ替えは、そういう大切な時間をつらいものにしてしまうかもしれない、とにかくまず誕生を祝福したいと思い、助産師さんにはそのことを話し、彼女は喜んでオムツ替えを引き受けてくれました。


 ですが、実際にはそういうことは起こりませんでした。出産時、私の赤ちゃんは、(DSDとは関係なく)青く、ぐったりして生まれてきて、すぐに蘇生台に運ばれたんです。その瞬間、赤ちゃんの下半身の見た目なんて全く関係なくなりました。とにかく生きてほしい!それだけになったんです。息子がやっと戻ってきて私の胸に託された時、私は赤ちゃんを愛せるのだろうか?という心配は全て消え去っていることに気が付きました。

 

0-5

超音波検査について

 みなさんの赤ちゃんのお腹の中の発達状態を調べるため、たとえば、骨盤に子宮や性腺(卵巣や精巣)があるかどうか調べるために、超音波検査が行われることがあります。ですが現実としては、どれだけ熟練した検査技師でも、誤った結果が出ることもあります。

 

 みなさんの赤ちゃんが実際にはどのような発達をして生まれてきたか本当に分かるには、しばらくの間辛抱して、「より大きな俯瞰図」を待つ必要があります。つまり、すべての検査が終わって、赤ちゃんの発達状態を示す全ての情報が集まり、専門のDSD医療チームでの話し合いを、辛抱して待つようにしてください。
 

(A君のお母さんより)

 出産後の回復のため、産婦人科で数日入院するのが通常ですが、その間にまず最初の血液検査の結果が返ってくるでしょう。またこの間、赤ちゃんのおなかの中を調べるために超音波検査が行われる場合もあります。

 

 ですが私も後で学んだのですが、この状況での超音波検査はそれほど信頼できるわけではないようです。できれば誰かにそれを言ってもらえてればと思いました。

超音波検査
妊娠中の女性の就労

0-6

プライバシーについて

 みなさんにはプライベートな部屋・スペースが用意されるのが常識とは思いますが、産科病棟というのは一般的にせわしげなところで、個室も確約されるとは限りません。私たちのグループの中にも、カーテンでしか区切られていない大部屋を割り当てられたご家族もいらっしゃいました。これでは心も落ち着かないでしょう。どうか遠慮なく、「私たち家族にとってとても重要な事なんです」と、個室を求めるようにしましょう。


 小さめ目の産科病院では、少しプライベートすぎる部屋を用意されるということもあるかもしれません。それは病院側が、どうすれば皆さんを支えられるか分からないから、ということもあり得ます。そういう場合も、落ち着いて、「こういう状況はなかなか無いと思いますし、専門の先生を待っている状況だというのも分かってます。ただ、少ししばらく、食事やお風呂、トイレや痛み止めのお手伝いをいただけませんか?」と伝えましょう。

 

(A君のお母さんより)

 出産後、分娩室を出た後の個室を取っておくようにしましょう。本来は病院が用意すべきところですが、一応確認しておいてください。

 

 また、DSDsについて知らない病院スタッフが部屋に出入りしていいかどうか、先にリクエストしておいてください。担当のお医者さんや助産師さん、看護師さんなどはみなさんの状況を知っていると思いますが、清掃スタッフなど状況を知らない人もいますからね。

 

 そういう人が最初に訊いてくるのって、たいていは「男の子ですか?女の子ですか?」でしょうから。心の準備もできていない時に出し抜けに訊かれたら、答えるのがつらいこともあります。

0-7

難しい質問については⋯

 病院にいる間、みなさんの心の準備がない時に、もし誰かが、みなさんの赤ちゃんが男の子か女の子か訊いてきたら、「ああ!訊いてくれてありがとうございます。ただ、今は、プライベートでいたくて。。ごめんなさい」と、友好的かつはっきりと伝えましょう。(家で練習しておいてもいいかもしれません)。そして、どうか恐れないで。


 お子さんに起きていることが皆に知られて、注目の的になってしまう心配をされる方もいらっしゃるでしょう。本当のところ、そういうことはほとんどありません。それに一般的には、みんな、出産というのがとても大変なことだということも分かっています。話す気力もないという状況や、ゆっくり休む必要があるという状況も、皆んな理解してくれるはずです。

(A君のお母さんより)

 あの時私が苦しんだひとつは、もし子どもが骨形成不全症や顔のあざを持って生まれたのなら、それが何か、どういう影響があるのか、他の人にはちゃんと説明ができただろうにということでした。多分、どういう治療法があるかどうやっていくかも、簡潔に説明できただろうと思います。寄付を募る活動も率先してやっただろうし、地域での勉強会も開いたかもしれません。


 そういうことをやることで、私自身が助かるところがあっただろうと思います。私ってそういう性分ですから。でも、これは、息子の骨でも顔でもない、性器の問題なんです。寄付活動や勉強会をすると、息子のプライバシーを大切にする、彼のプライバシーは彼のものだという根本的な彼の権利を損なうことになる。大きくなって、誰に話しをするのか決めるのは、誰でもない彼自身なんです。

 

 私にできることは、息子がいろいろな困難な状況を乗り越えていける力(レジリエンス)を与えていくことだと思ってます。私は、私が息子になり代わって息子自身のことを外に話すということはしたくないと思っています。

妊娠中の絆を深める瞬間
幸せな家族の肖像

0-8

お父さんへ

 お母さんと赤ちゃんにはたくさんのサポートが向けられますが、そういう状況はお父さんにとっては少しつらいものになるかもしれませんね。こういう不慣れな状況(DSDもそうですが、赤ちゃんが生まれるという状況自体も)で、いかに奥様と赤ちゃんを支えていけばいいでしょうか?


今起きていること、それぞれの想いをふたりで話し合う時間をとりましょう。おふたりの波長は合っていますか??

 

 短期的、中期的、長期的な疑問をそれぞれリスト化しましょう。互いの望みや心配事をふたりでどう学んでいくか、いかに協力しあっていくか、それも考えてみましょう。

 

 赤ちゃんが生まれた後は、赤ちゃんのお風呂担当になったり、げっぷのお世話をしたりするのもいいかもしれません。奥様や赤ちゃん、他の家族メンバーだけでなく、お父さん自身も、ちゃんと食べて、自分自身をいたわってあげてください。

 

 お父さんの中には、赤ちゃんの内性器・外性器について話すことに抵抗を感じて、その場に居づらく感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、どうか、お父さんである皆さんは、赤ちゃんのとても重要な守り人なのだということを思い出してください。話し合い全てに参加して、学んでいくようにしてください。


 お仕事を休めないお父さんもいらっしゃるでしょう。さまざまに湧いてくる疑問に対応することに、ストレスを感じることもあるかもしれません。自分自身がこの状況にどう対応していくか、前向きに考えるようにしてください。お仕事に戻る前に、自分が相談できる友人はいらっしゃいますか?友人と話すことは、疑問や不確かさに対する感情、心配事に対応していく助けになります。友人に赤ちゃんのことを話す心の準備ができないお父さんもいらっしゃるでしょう。その場合は、DSD専門の看護師さんなどに相談されるといいでしょう。

 

 どんな時でもですが、DSDというのは、みなさんのかわいい赤ちゃんの一部に過ぎないのだということを忘れないで下さい。心配だらけになるのも、最初の日々だけです。

 

 お父さんのお子さんに対する愛情とサポートがあれば、みなさんの赤ちゃんも、幸せで自信を持ったお子さんに育っていきます!

出生時
hands.jpg

01

赤ちゃんが生まれたときに
性別判定検査が必要だと言われた場合

 みなさんのお子さんが、他の子どもたちとは少し違った形の外性器の状態で生まれた場合、こんな体験をしている親は、世界で自分たちだけなんじゃないかと思ってらっしゃるかもしれません。

 でも、そんなことはないのです!

 実は日本では、毎年200組以上の家族のみなさんが同じような状況を体験されています。

 このコーナーでは、この分野の専門家と、同じような経験をした家族のみなさんが一緒になって作成したパンフレットをもとに、みなさんが出産から最初の数日・数週間を過ごしていくための情報をご案内します。

赤ちゃんが少し違う外性器の状態で

生まれた場合には…

ー 最初の日々のために ー

 ヨーロッパの内分泌学会DSDs専門医療従事者と,イギリスのDSDsサポートグループが協働で作成した,赤ちゃんが性別判定検査が必要な外性器の状態で生まれた場合のガイドブックです。

 ネクスDSDジャパンで日本語版を作成しました。このような状況に置かれたご家族のみなさんだけでなく,医療従事者のみなさんも,ぜひお役立て下さい。

 パンフレットをダウンロード 
国際内分泌学会(性分化疾患/インターセックス)
性分化疾患/インターセック�ス
DSDファミリーズ(性分化疾患)
最初の日々のために:性分化疾患により性別判定が必要な赤ちゃんの親御さんのためのガイドブック
ネクスDSDジャパン(性分化疾患/インターセックス)

1-1

最初の日々のために…

​ みなさんのお子さんが、他の子どもたちとは少し違った形の外性器の状態で生まれた場合、まず私たちは、もっと広い視点から状況を見ていく必要があります。

 みなさんの赤ちゃんは、お母さんの子宮の中での発達で、性分化疾患(もしくは、「体の性のさまざまな発達」:DSDs:ディーエスディーズ)というまとめ用語で呼ばれる、なんらかのさまざまな体の発達状態のひとつを持っていると考えられます。

 

 体の性の発達は複雑なプロセスで成り立っていて、赤ちゃんの女の子か男の子かの体の性のつくりも、たとえば外性器の形だけではすぐにわからず、いくつかの検査で男の子か女の子かが判明するということもあるのです。

 

 もっと広い視点で見てみましょう。赤ちゃんの体の性は、実はさまざまな要素から成り立っています。たとえば・・・

 

  • 外性器の形がどのようなものか?

  • 体の中の内性器はどのように発達しているか?

  • ホルモンと、そのホルモンに対する赤ちゃんの体の反応

  • 遺伝子情報

 そしてこういう時、赤ちゃんが子宮の中でどのように発達をしてきて、生まれてからどうやって、幸せで健康なお子さんに育っていくかを知るためには、DSDsヘルスケアの専門家たちと協力し合い、同じような状況を経験した親御さんたちと話をすることで、知識と知恵を備えていく必要があります。

guille-pozzi-y1wVavuxZtE-unsplash.jpg
緑の牧草地

同じ体験をした親御さんから

 最初の日々・数週間の間は、聞かされる情報で扉が閉じられていって、最悪のように思われるかもしれまん。

 でもその後、少しずつ情報を理解していけば、大丈夫だと思えるようになっていきます!

A.pixdeluxe.Q.iStockphoto.com.S.Vater_Sohn_Leitung_Führung_Lernen_Lehren_Mann_Männer_Elter

1-2

なぜDSDsは起きるのか?

 人の体の性の発達は、実はとても複雑なプロセスで成り立っていて、実際にはさまざま多くの違いがその途中で起こりえます。子宮の中の赤ちゃんが途中に少し違った道を通って発達したと考えるのがいいでしょう。

 DSDsの中で最も多い原因が、先天性副腎皮質過形成(CAH)の女の子や、男の子の尿道下裂(にょうどうかれつ)、ホルモンバランスの問題や、赤ちゃんの染色体によるものです。

 みなさんの赤ちゃんがどういう体の状態を持っているか(診断内容)を理解することが、赤ちゃんが男の子なのか女の子なのか判定する時や、これから将来のケアやよりよい人生のために、重要になります。

1-3

診断のプロセス

診断には、いろいろな専門家が集まる医療チームが必要です。

また、さまざまなステップを踏んでいろいろな検査をしていく時間が必要になります。

 DSDを持つ子どものケアには、理想的には、さまざまな分野の専門家、たとえば内分泌科医(ホルモン)、泌尿器科医/婦人科医(腎臓・膀胱・外性器)、カウンセラーから成るヘルスケアチームが必要とされます。

 他のメンバーとしては、看護師・遺伝学者・新生児生理学者・検査技師もチームに含まれます。この「多分野」のチームが、大きな病院では基本になっています。

 DSDを持つ赤ちゃんが生まれた場合、通常は、地方の病院での医師・助産師は、みなさんの赤ちゃんがDSDsでもどの体の状態を持っているかを明らかにする専門家ではありません。地方病院では、みなさん赤ちゃんを安全にケアし、いくつか最初の段階の検査のみを行うことはできますが(詳しくは「一般的にはどのような検査が行われるか?」のページをご覧ください)、さらに専門的な検査は、通常は大きな病院のDSDs専門の多分野チームがある病院を紹介されることになります。

 みなさんは赤ちゃんの親として、これからのすべてのプロセスでのキーパーソンになるのです!

 必要な検査結果がすべてそろえば、ヘルスケアチームはみなさんと共に、検査結果とこれからのことについて話し合います。

 

 みなさんの赤ちゃんがどう育っていくか判明していくプロセス全体には、数日かかることもあれば、もう少し時間がかかる場合もあります。

 

 赤ちゃんの出生届の提出は、日本では14日以内ということになっていますが、お医者さんの意見書をもらえば、伸ばすことも可能です。

 みなさんの赤ちゃんがどのように育っていくかについての話し合いは、DSDsの専門医療では、一般的には長くても1ヶ月あれば可能です。出生届の詳細については、みなさんのDSDs専門ヘルスケアチームにお問い合わせください。

植物でいっぱいの橋
ドクターを再生するリトルボーイ

1-4

どのような検査が行われるのですか?

 医師はみなさんの赤ちゃんの検査を行い、みなさんのご家族の医学的履歴をおうかがいします。

 まずは血液検査で、赤ちゃんの染色体パターンを調べます。染色体パターン(「核型(かくがた)」とも呼ばれています)がわかれば、医師がお子さんの発達状態の背景を理解し、この後どのような検査を行うか方向性を決めていく役に立ちます。最初の染色体検査の結果は、検査の種類によりますが、受けてから通常1~3週間で出ます。

 

 血液中の塩分のレベルのモニターを行うため、赤ちゃんの多くは数日間病院に滞在することになります。また、血液中のホルモンレベル、そして尿の中のホルモンレベルも測定することもあります。これは副腎と性腺(せいせん)が機能しているか調べるためです。

 

 超音波検査とスキャン検査によって、体の中の内性器(たとえば子宮など)がわかることもあります。こういった検査は専門のセンターで行われるのが一番ですが、わかりにくいという時もあります。

 特別な内視鏡(膀胱鏡)で、膀胱や膣の開口部を検査することもあります。ごく稀ではありますが、腹腔鏡(ふっくうきょう)で性腺を調べ、組織サンプルを調べる(生体検査)こともあります。

Image by Ihor Malytskyi

同じ体験をした親御さんから

 情報を全部一挙に、家族の方に理解してもらおうとは誰も思っていません。この段階では時間をかけて、なんでも疑問を質問し、情報を繰り返し整理していくことが大切になります。

 そしてそれと同じくらい大切なのは、みなさんが赤ちゃんと共に一緒に過ごす時間です。みなさんには、出産後の体の状態から回復し、赤ちゃんにおっぱいをあげて、お風呂も入れてあげるための時間が必要です。

 そして一番大切なのは、みなさんご自身が十分な睡眠をとることです!

1-5

精神的なサポートも必要です

看護師や臨床心理士は、特別な状況にいるふつうのご家族のお手伝いをします。

 看護師や臨床心理士はチームメンバーのキーパーソンです。看護師や臨床心理士は、みなさんが伝えられた情報を受け止め、さまざまな検査や医学的な話にみなさんが押しつぶされそうになる時、ひとつひとつ受け止めていく視点を手に入れていくのに、とても役に立つ存在になります。

 また看護師や臨床心理士は、短期的にも長期的にも、生まれた赤ちゃんについての情報をどのように受け止めていくか、みなさんの赤ちゃんについての話を他の人にどのように話すのか、そして重要なのは、将来みなさんのお子さんに自分の体の状態をどのように伝えていくかなど、注意が必要なストレスの多い状況をどうやっていくか、みなさんをサポートする役割もあります。

teahub.io-i-hate-my-life-746342.jpg
kristyn-lapp-ijr1PcDkbiw-unsplash.jpg

1-6

家族や友人にはどう伝えるか?

 助産師さんが赤ちゃんの性別をすぐにはわからないという場合、ご家族やお友達に赤ちゃんのことをどう話せばいいかわからなくなりますよね。 みなさんと赤ちゃんが大丈夫かどうか、女の子か男の子か聞かれたらどうすればいいのか。自分を愛してくれる人たちになにを伝えるか、どこまで伝えるかは、それぞれに違ってきます。

 

 このように話す親御さんもいらっしゃるでしょう。「男の子か女の子か、まだわからなくて…。体の大事なところに関係するホルモンの状態に問題があるようで…。お医者さんがもっと詳しく調べてくれてて、子どもの健康に問題があるかどうか確かめてくれてるから、もっといろいろわかったら、すぐに連絡するね…」。

 

 家族や友人には、だいたいのところだけに留めて、詳しくは話さない親御さんもいらっしゃいます。たとえば、「赤ちゃんが(体の中のことで)これからどう発達していくのか、お医者さんが調べておきたいって言ってて。ちょっと説明がややこしくて。また連絡します」。相手がいろいろ聞いてくるのではないかと心配されている親御さんもいらっしゃるでしょう。「(今はまだ)私も説明できなくて」とはっきり言うのもありです。「ちょっと別の話をしてもいい?」と話を持っていってもいいでしょう。

 

 あまり話を伝えたくない相手の質問には、「ごめんなさい、今はちょっと心配なことがあって。そっとしておいてもらえれば」とか、「今はとにかく赤ちゃんが大丈夫かどうかはっきりさせる必要があって…」と言っておくのもいいでしょう。

 

 友人やご家族の方に電話すると約束されていた親御さんもいらっしゃるでしょう。誰でも納得がいくような、できるだけ簡単な報告、「母親も赤ちゃんも順調です。ただいくつか検査が必要で…。またお知らせします」で、話を切り上げてもいいでしょう。

 

 友人やご家族の方に説明ができるまで、診断が出るのを待ちたいと望む親御さんもいらっしゃるでしょう。誰かに話す心の準備がまだできていないようであれば、「無事生まれました。でも出産が本当大変だったので、しばらく家族だけでゆっくりできればと思ってます。なので、しばらく電話には出られないと思いますけど、気にしないでください」と言ってもいいでしょう。しばらくの間は自分自身を守ることに専念してください。

1-7

病院のスタッフには?

 DSDsにはいくつかのタイプがあり、どれも稀な体の状態です。出産後のみなさんのケアや赤ちゃんのケアを担当する人でも、こういった体の状態は初めてだという人もいるでしょう。

 中には戸惑って、赤ちゃんについて話すのをためらう人がいたり、みなさんの赤ちゃんのことを(性別がわかる前に)男の子/女の子と思わず言ってしまう人もいるかもしれません。そういう人もそういう人なりに、みなさんのケアに当たろうとしているのだということを頭の中に入れておいてください。

 ケア担当者の中には、他の赤ちゃんで同じような体験をした!と言う人もいるかもしれません。ですが、DSDsの原因にはさまざまなものがあり、いくつか体験をしたからと言って、それが常に役に立つものだとは限らず、逆に更なる混乱のもとになることもあります。みなさんの赤ちゃんのDSDの原因について詳しいところがわかるまでは、インターネットで情報を探すのも、混乱と誤解を招く可能性があります。推奨されるウェブサイト(日本ではネクスDSDジャパン)にアクセスするようにしてください。

読書をする少女
3人の子供たち

同じ体験をした親御さんから

 外性器の見た目が他の子どもたちと違う子どもを育てるって、最初は想像もできませんでした。正直に言うと、他の人たちがどう思うかってことが怖かったんです。

 でも、最後には、保母さんに内緒の話をするのをやめて、こう言うようにしました。「私の赤ちゃんはこう生まれました。検査も全部して、健康だってわかってます。他になにか質問はありますか?」って。

母親と赤ちゃん

1-8

なんて言えば…?

しばらくの間、赤ちゃんのことはどう呼べばいいですか?

 お医者さんから、最初は赤ちゃんのことを女の子か男の子か少し待つようにアドバイスされるご家族もいらっしゃいます。

 みなさんの赤ちゃんがどう育っていくか、検査の結果が出るまでは、「私の(僕の)赤ちゃん」「ベイビーちゃん」「僕の(私の)子」など簡単で親しみやすい呼び方はできるでしょう。(たとえば欧米ではハロウィンに生まれた赤ちゃんは、「パンプキン(かぼちゃ)ちゃん」と呼ばれています)。

 

 日本でも海外でも、まだ赤ちゃんの名前を思いつかなかった場合、いい名前が思いつくまでしばらく待つということもよくあります。

きょうだいにはどう話せばいいのでしょうか?

 先にお兄ちゃん・お姉ちゃんがいる場合、お兄ちゃん・お姉ちゃんも、弟が生まれたのか妹が生まれたのか聞いてこられるでしょう。

 赤ちゃんに起きていることを話すときは、きょうだいの年齢に応じて話しましょう。なぜ赤ちゃんがいろいろな検査を受けなきゃいけないのか、きょうだいも心配されているでしょう。そういう場合は、くどくど話すのではなく、まずは安心させてあげるようにしてください。子どもというのは大人よりもずっと物事を受け入れていけるものです。いつもシンプルで誠実な言葉を使うようにしてください。

 

 みなさんがきょうだいのお子さんにお話しされる内容は、これから将来、DSDを持つお子さん本人にも事実を話していく基盤となっていきます。たとえば、「赤ちゃんはまだ生まれたばっかりで、お医者さんもまだ言えないんだって」とか、「赤ちゃんは、まずお医者さんの検査を受けなきゃいけないんだ。だから赤ちゃんの名前はちょっと待ってるんだ。全部終わったら、素敵な名前を考えるの、手伝ってくれないか?」と言うこともできるでしょう。

1-9

もう言ってしまってるのですが…

「でも、もう周りの人に言ってしまってるのですが…」

 

 あまり多くはありませんが、赤ちゃんの外性器が、男の子もしくは女の子に一般的な形で、生まれた時もお医者さんや助産師さんが「男の子ですよ」「女の子ですよ」と伝えしたとしても、その数時間後(みなさんのご家族やご友人に既にメールなどで知らせた後)、お医者さんが赤ちゃんの外性器の違いに気づいて、実はまだ性別がわからないと言ってくるということもあります。また、必要な検査の後に、最初に言われたのとは逆の性別で育てた方がいいと、お医者さんが話してくるということもあります。

 このような状況に対応していくには、まず、体の状態の診断とその原因を学ぶこと、そしてその説明の仕方を学ぶことです。お子さんの体の状態の説明を、パートナーやお医者さんたちと練習してください。こういう状況でもまた、カウンセラーやDSDs専門の看護師さんが大きな力になってくれます。そうしていけば、なぜお医者さんが別の性別で育てた方がもっといいと言ったのか、友人や親戚の人に(電話やメールで)しっかりした説明ができるようになるでしょう。

大切なこと:親御さんご自身がこの状況に対してどっしりしっかりできるようになれば、周りの家族や友人の方も落ち着いていくでしょう。どうか堂々としていてください!

 別の方法もあります。友人や家族の方には、単純に間違いがあったとだけ話しておいておくことです。こんなふうに。「性器のところが、小さかった/皮膚に隠れてた/腫れてたので、私たちも/お医者さんが間違っちゃって…」。

 出生前のスキャンや検査で、すでにもう男の子か女の子かが言われていて、赤ちゃんが生まれる前に周りの人に話をしていたけれども、生まれてから実はまだ性別がはっきりしなかったという場合もあるでしょう。こういう状況では、さらにいろいろな情報がわかるまで、焦って訂正する必要はありません。今までに書いたような言い方を使って、今は自分と赤ちゃんの健康と食事・授乳に専念してください。

 すでに話していたのとは逆の性別だったとあまり友人や親戚でも話をしたくないという場合、「エコー検査が間違っててビックリした。こんなことってあるんだね!」とだけ言っておくというのも手です。

朝の散歩
ウーマン&��ドクター

1-10

2週目以降は…?

 赤ちゃんの誕生は喜ばしいことです。ですが、赤ちゃんに健康問題があるとなれば、喜びも心配と半々になことがあってもおかしいことではありません。

プライバシーと秘密は同じものではありません!

 DSDsの体の状態でむずかしいことのひとつは、他の人たちがどこまでなにを知るか、息子さん娘さん自身が決められるようになるまで、子どものプライバシーを守らねばと多くの親御さんたちが感じることです。ですが、これでは親御さんみなさんの孤立を招きかねません。

 なにか心配事があるんだとわかってくれるご友人がいれば、赤ちゃんのよりよい将来について話をする時間と自信ができて、精神的な余裕もできてくるでしょう。同じような経験をしているご家族が集まる日があるか、同じ地域に住んでいるそういうご家族とコンタクトがとれないか、家族会(サポートグループ)がないか、医療チームのお医者さんや看護師さんに尋ねてみるのもいいでしょう。(ネクスDSDジャパンにもぜひコンタクトして下さい!)

どんな質問でもするようにしましょう!

 DSDs専門のお医者さんなら,エビデンス(医学的証拠)に基づいて,赤ちゃんが女の子か男の子か判定して説明をしてくれますが,親御さんにとってはいろいろな不安,疑問がわいてきてもおかしくありません。

 

 DSDsのような複雑な話すべてを一度に理解できるような親御さんはほとんどいらっしゃいません。時に私たちは「変な質問」をしてるんじゃないかと心配になるようなこともあります。

 ですが、こういう時には変な質問なんてありませんし、みなさんは医療チームのメンバーに何度でも説明をお願いすることをためらってはいけません。

 覚えておけるように、ノートに書くようにもしてください。わからないことがあれば、もう一度全部説明してもらうよう、医療チームに頼むようにしてください。

 医療チームと会った後は、誰を中心にコンタクトをとればいいか、緊急の質問がある時どのように連絡を取ればいいか(たとえばメールや電話など)確認するようにしてください。専門の看護師やチームの他のメンバーが担当になる場合がほとんどです。

 おうちで赤ちゃんと過ごすようになれば、ふとしたどんな質問でもノートに書き留めておくようにしましょう。

Image by Carlo Navarro

同じ体験をした親御さんから

 私が一番うれしかったのは、夜、染色体検査の結果を受け取ったことです。お乳をあげるために階段を降り、そこには青のシーツの上に寝ている私の赤ちゃんがいました。

 それは小さなことに聞こえるかもしれません。ですが、私にはとてつもなく大きな事でした。私はうれしくてただただ泣くだけでした。

 その青のシーツは、やっと赤ちゃんの性別が分かったという、スタッフからのちょっとしたお祝いでした。

1-11

はっきりとした診断がまだつかないのですが⋯

 生まれてからの一連の検査で「男の子か女の子か」の判定はできても、お子さんのような体の状態がどのような理由で起きたものなのか、詳しい診断名まではすぐには特定できないことがあります。

 

 時には「尿道下裂(にょうどうかれつ)」や「不完全型腺形成不全」といった、からだの一部の状態を表す言葉にとどまることもあります。

 我が子のことだからこそ、「これからどうなるのだろう」と親御さんが落ち着かないお気持ちになるのはとても自然なことです。

 詳しい診断名がついたからといって、赤ちゃんがこれまで育ってきたからだのあり方が変わるわけではありません。ですが、はっきりした診断名がつかなくても、体の状態を知ることは、お子さんの成長の個性やプロセスの理解を深める大きなヒントになります。

 

 「思春期をどのように迎えるか」といった将来の健康管理を具体的に見通しやすくなるだけでなく、何よりお子さん自身の健やかな幸せを一番に考えながら、これから体の成長のことをどう本人に説明していくかを整理する助けになってくれます。

 

 医療の知識や検査技術は日々進化しています。最初の検査で具体的な診断がつかなかった場合でも、焦らずに主治医と時期を置いて相談し直してみることをおすすめします。数年経って新しい検査方法が使えるようになり、詳しい理由が判明することも少なくないのですから!

浜辺で砂遊びをする子供たち
2f066d2c-69f8-475f-a961-85ed4045152d.png

1-12

これからのこと

前に進みましょう。

― これから2・3ヶ月は? そして、これからのこと ―

 次に行っていくことは、みなさんの赤ちゃん個々に、体の状態によって違ってきます。

 赤ちゃんが女の子のCAHと診断されたなら、お薬のタイミングや用量を学んでいけるよう、医療チームがみなさんをお手伝いします。

 おうちに帰れば、どうしていくのが息子さん・娘さんにとって一番いいのか、本人には体の状態をどのように話していけばいいのか、いつ・どのように息子さん・娘さん自身にも、どういうケアがいいか話し合えるようになるかなどなど、いろいろな疑問が浮かんでくることでしょう。

 

 定期的な診察とは別に、1年前後の時期に、医療チームのメンバーと、誕生からの間どういう出来事があったかを振り返り、体の状態とその意味について再度話しあい、これからの長期のケア計画を準備する、詳しいミーティングを行うのもいいでしょう。

 

 親の愛情と支え、そして医療チームによる、これからのよりよい人生を深く考えたケアを必要とするすべての子どもたちと全く同じように、DSDsを持つ子どもたちも、成長して幸せな人生を送ることができるのです。

CAHを持つ女の子

同じ体験をした親御さんから

 私たちの娘の場合、彼女は利口で自信に満ちた女の子で、去年の春はピンク色のジャケットを買い(好きだからだって)、今年の冬は黒のコートを買い(好きだからって)、スカートははかないと言ってます(あまり好きじゃないからって)。

 数学が得意で(面白く教えてくれるよい先生がいるんです)、スペイン語も好きで(私の血筋でしょうね)、最近はマスカラをつけて学校に行くことに夢中です(お友達がそうしていて、娘も気に入ってます)。

 そしてとうとう、マスカラして学校に来ちゃいけないって先生から注意されました。本当おバカです!

alexei-scutari-5Zg64OwXJg8-unsplash.jpg

サポートが必要ですか?

 DSDsの判明はご家族にとっても大変ショックな出来事になる場合もあります。

  • DSDsの専門病院はどこにあるの?

  • 女の子か男の子か判定できる診断まで不安(出生時)

  • 思春期前後の診断ですが,とても不安

  • 周りにはなんて言えば?

  • 診断は付きましたが,他のご家族とつながりたい

  • これからの子育てが不安

 さまざまな想いになられて当然です。ネクスDSDジャパンではチーム医療を行っているDSDs専門病院のご紹介や,臨床心理士によるサポート,まだ数は少ないですが似たようなDSDsを持つ他のご家族とのつながりをつくる活動を行っています。

 守秘義務は守ります。お名前はハンドルネームでも可能です。連絡のつくメールアドレスとご相談内容をお知らせ下さい。

送信ありがとうございます。返信までしばらくお待ち下さい。

サポートコンタクト
公園を歩く家族

03

お子さんと話すこと、
周りに伝えることを
一緒に考えていきましょう。

「子どもに、いつ、どのように話したらよいのだろう。」
「この子が大きくなったとき、自分の体のことをどう理解していくのだろう。」

 

 お子さんの成長を見守る中で、このような思いを抱く親御さんは少なくありません。

 また、親御さんが考えることは、お子さんへの伝え方だけではありません。

「保育園や学校の先生には、どこまで伝えたらいいのだろう」
「友だちに聞かれたらどうしたらいいのだろう」
「本人の知らないところで話が広がってしまったらどうしよう」

 など、家庭の外での生活についても心配になることがあります。

 学校や保育園など周囲の人に伝えるかどうか、どのように伝えるかは、ご家庭の考え方や、お子さんの状況によって異なります。

 すべての人に詳しく説明する必要があるわけではありません。

 一方で、お子さんが安心して園や学校生活を送るために、必要な人と必要な情報を共有することが助けになる場合もあります。

 大切なのは、「誰に、何を、どの程度伝えることがお子さんにとってよいか」を、ご家族と医療者、学校や園の先生などと一緒に考えていくことです。

 このセクションでは、お子さんへの伝え方だけでなく、周囲の人との関わり方についても考えるヒントをご紹介します。


 

3-1

親子の会話は、少しずつ育っていくものです。

 お子さんへの説明について、親御さんの多くが「正しい答え」を探しています。
 

 できることなら、どんな質問にも迷わず答えられる言葉や、年齢ごとの決まった説明方法があれば安心できるかもしれません。

 でも、性分化疾患(DSD:体の性のさまざまな発達)は、お子さんによって体の状態や治療の内容、成長の経過が異なります。また、ご家族の考え方や生活環境も一人ひとり違います。

 そのため、すべてのお子さんに当てはまる一つの説明方法があるわけではありません。

 でも、心配しすぎる必要はありません!

 子どもへの説明は、一度ですべてを伝え終えるものではないからです。

 子どもは成長するにつれて、少しずつ自分の体や周囲との違いについて理解していきます。その時々の発達や関心に合わせて、必要なことを少しずつ伝えていけばよいのです。

 親子の会話は、情報を一度に渡すものではなく、日々の生活の中で少しずつ重ねていくものです。

 例えば、

  • 「どうして病院に行くの?」

  • 「どうして薬を飲むの?」

  • 「どうして私の体はみんなと少し違うの?」


 そんな問いかけがあったとき、その時のお子さんが理解できる言葉で、一緒に考えていけば十分です。

 ここではこの後、発達段階に応じて、どのようなことを伝えていくとよいか、そのヒントをご紹介します。

 もちろん、ここに書かれている言葉は、そのまま使わなければならない「台本」ではありません。

 お子さんの様子を見ながら、ご家族らしい言葉に置き換え、親子の会話を育てていくための参考としてご活用ください。

ecc51fa7740793cccaf89b20d33c78e9.jpg

3-2

何よりも大切なのは、いつもの親子の関係を育てることです

 お子さんに体のことを伝えるうえで、何よりも大切なのは、特別な説明の方法を覚えることだけではありません。

 まず大切なのは、お子さんを一人の子どもとして愛し、かわいがり、安心できる関係を築いていくことです。

 診断を聞いた直後は、不安や戸惑い、悲しみなど、さまざまな気持ちを抱えた親御さんも多いと思います。

 「この子の将来はどうなるのだろう」
 「自分はこの子を受け止められるだろうか」

 そんな思いが出てくることもあります。

 でも、毎日の生活の中で、お子さんの笑顔や成長、好きなこと、得意なこと、甘えてくる姿に触れるうちに、「この子はこの子」と感じる時間が少しずつ増えていきます。

 子どもにとって大切なのは、自分が大切にされていると感じられることです。

 それは、特別な言葉かけだけで作られるものではありません。

 

  • 一緒に遊ぶこと。

  • 話を聞くこと。

  • 困ったときにそばにいること。

  • できたことを一緒に喜ぶこと。

  • 失敗したときにも味方でいること。


 そうした日々の積み重ねが、子どもの安心感や自己肯定感につながります。

 DSDsがあるお子さんの子育ても、基本は他のお子さんの子育てと変わりません。

 

  • 子どもの気持ちを大切にすること。

  • 子どもの成長を喜ぶこと。

  • 何でも話してよい家庭の雰囲気をつくること。


 それは、すべての親子に共通する大切な子育てです。

 体のことについて話す準備ができるのも、親子の間に「聞いても大丈夫」「話しても大丈夫」という信頼関係があるからです。

 完璧な対応をする必要はありません。

 親御さん自身も迷いながら、お子さんと一緒に成長していけばよいのです。

alexei-scutari-5Zg64OwXJg8-unsplash.jpg

お子さんにどう話せばいいか

そのヒント

 ヨーロッパの内分泌学会DSDs専門医療従事者と,イギリスのDSDsサポートグループが協働で作成した,DSDを持って生まれた女の子・男の子にどのようにお子さんのDSDについて説明していけばいいかのヒントを載せたガイドブックです。

 ネクスDSDジャパンで日本語版を作成しました。このような状況に置かれたご家族のみなさんだけでなく,医療従事者のみなさんも,ぜひお役立て下さい。

国際内分泌学会(性分化疾患/インターセックス)
性分化疾患/インターセックス
DSDファミリーズ(性分化疾患)
性分化疾患のある子どもたちにどのように話をしていくか?ガイドブック
ネクスDSDジャパン(性分化疾患/インターセックス)

3-3

安心して話せる親子関係を育てる
~0歳から6歳頃まで~

 お子さんに体のことを伝えるとき、多くの親御さんは「何と言えばよいのか」「いつ話せばよいのか」と悩まれると思います。

 でも、幼い時期から大切なのは、難しい説明をすることではありません。

 まずは、お子さんが「自分は大切にされている」「体のことを話しても大丈夫」と感じられる関係を育てていくことです。

 まだ小さな赤ちゃんの頃からでも、親御さんの言葉で語りかけることができます。

 

  •  「あなたの体のことを一緒に知っていこうね」

  •  「わからないことがあったら、一緒に考えようね」
     

 そんな日々の積み重ねが、将来お子さんが自分の体について理解していく土台になります。

体の違いを自然に話題にしましょう。

 子どもは小さい頃から、人の体の違いに気づいていきます。
 

  • 「背の高さが違うね」

  • 「髪の色や形もいろいろだね」

  • 「できることや苦手なことも人によって違うね」


 私たちの体は、一人ひとり違っています。

 絵本や子ども向けの科学の本などを利用しながら、「体にはいろいろな違いがある」ということを自然に伝えていきましょう。

 また、体の一部について話すときも、恥ずかしいものや隠すべきものとしてではなく、大切な体の一部として扱うことが大切です。

 小さい頃から体について話せる環境があると、成長した後にも相談しやすくなります。


「あなたの体はあなたのもの」と伝えましょう。

 子どもが自分の体について知ることは、自分自身を大切にする力につながります。

  • 「あなたの体はあなたのものだよ」

  • 「自分の体について知ることは大切なことだよ」

 というメッセージを、日々の関わりの中で伝えていきましょう。

特別な子育てではなく、いつもの子育ての中で

 DSDsがあるお子さんの子育ても、基本は他のお子さんと変わりません。
 

  • 一緒に遊ぶこと。

  • 話を聞くこと。

  • できたことを喜ぶこと。

  • 困ったときに味方でいること。


 そうした毎日の関わりの中で、親子の信頼関係は育っていきます。

 完璧な言葉や説明を探すよりも、「何でも話していい」と思える温かい家庭の雰囲気を作ることが、何より大切です。

familyPhoto_paseo13-scaled_edited.jpg
alexei-scutari-5Zg64OwXJg8-unsplash.jpg

保育園の対応は?

​尿道下裂やDSDsのある息子さんの親御さんへ

 ヨーロッパの内分泌学会DSDs専門医療従事者と,イギリスのDSDsサポートグループが協働で作成した,DSDsによって,尿道下裂や二分陰嚢,ペニスの発育不全など,外性器に違いのある男の子を,保育園や幼稚園に預ける際,どのようにお子さんのDSDについて説明していけばいいかのヒントを載せたガイドブックです。

 自信を持って保育園を選び、園と適切な信頼関係を築くための実践的なガイドです。保育士さんへの伝え方やプライバシーの守り方、トイレ・おむつケアの相談方法、手術後の登園に関する疑問にQ&A形式でわかりやすく答えています。、

 男の子用に書かれたものですが,DSDsにより外性器の違いのある女の子の親御さんでも参考になると思います。

 ネクスDSDジャパンで日本語版を作成しました。このような状況に置かれたご家族のみなさんだけでなく,医療従事者のみなさんも,ぜひお役立て下さい。

スライド1.JPG
国際内分泌学会(性分化疾患/インターセックス)
性分化疾患/インターセックス
DSDファミリーズ(性分化疾患)
ネクスDSDジャパン(性分化疾患/インターセックス)
FCEC-Father-Son-Sunset-Fishing-Photo_edited.jpg

3-4

自分の体について理解を深めていく
~7歳から10歳頃まで~

 7歳から10歳頃になると、子どもは自分の体の仕組みや、周りの人との違いについて少しずつ考えるようになります。

「どうして人によって体は違うの?」
「これから体はどう変わるの?」

 そんな疑問が出てきたときは、子どもの質問を大切にしながら、一緒に考えていきましょう。


体の成長にはいろいろな形があります

 この時期には、体の成長や変化について少しずつ伝えていくことができます。

 遺伝子やホルモンが体の特徴や成長に関わっていること、そして人によって体の変化の仕方には違いがあることを、年齢に合わせて説明していきましょう。

「多くの人はこうなることが多いけれど、人によって違うこともあるよ」

 というように、「普通と違う」のではなく、「体の成長にはいろいろな形がある」と伝えることが大切です。


体について話せる関係を続けましょう

 この頃から、思春期の体の変化について話す準備をしていきます。

 女の子の生理、男の子の声の変化、体つきの変化などについても、必要に応じて自然に話せるとよいでしょう。

 体のことや性に関することは、恥ずかしい話ではありません。

 小さい頃から体について話せる環境があると、成長した後にも悩みや疑問を相談しやすくなります。


自分の体の主人公になるために

 この時期からは、病院での診察や治療についても、少しずつお子さん自身が関われるようにしていきましょう。

「今日は何を相談しに行くのか」
「先生に何を聞きたいか」

 を一緒に考えることで、自分の体を理解し、大切にする力が育ちます。

 嫌なことや不安なことを「嫌だ」「わからない」と伝えてよいことも教えてあげてください。


伝えることを急がず、何度でも話しましょう

 子どもは、一度聞いただけですべてを理解するわけではありません。

 同じことを何度も聞きながら、少しずつ自分のこととして理解していきます。

 「前にも話したことだけどね」と日常の中で自然に繰り返すことが、安心につながります。

 大切なのは、特別な説明を完璧にすることではなく、「いつでも話していい」という親子の関係を育てていくことです。

 

同じ体験をした親御さんから

 娘が8歳の頃、あるお医者さんがこう書いてらっしゃるのを読みました。子どもの状態について「告知・開示」というのは止めよう、それではまるで秘密を暴くような言い方だ。その代わり、子どもの状態について「説明」する。そう考えることにしようと。

 それで私の雲が晴れたとは言えません。ですが、ほんの少しだけは楽になりました。

 説明ならできる。そんなに怖くないように思える。それなら、一回だけじゃない、たった一度で全部話さなくちゃいけないわけじゃないように思えました。

 説明なら、以前もしていました。娘が4歳の時です。お人形で遊んでる娘に、お母さんがみんなおなかで子どもを育てるわけじゃないの、養子の子どもが来てくれることもあるのよって。 

3-5

自分の体を自分のこととして理解していく時期
~11歳から14歳頃まで~

 11歳から14歳頃になると、子どもは自分の体の変化や、友だちとの違いについて、より深く考えるようになります。

 この時期に大切なのは、これまで話してきたことをもう一度一緒に確認し、お子さん自身が自分の体について理解できるようにしていくことです。

 親御さんは「もう説明したから大丈夫」と思っていても、子どもは一度聞いただけではすべてを理解できないことがあります。

 成長した今だからこそ、以前は難しかった内容も少しずつ理解できるようになります。

 

  • 「前に話した体のこと、覚えている?」

  • 「もう少し詳しく知りたいことはある?」
     

 そんなふうに、何度でも話す機会を作りましょう。

体の変化について一緒に考えましょう

 思春期には、体つきの変化、ホルモンの働き、性に関する関心など、さまざまな変化があります。

 多くの子どもが自分の体について不安や疑問を持つ時期です。

  • 「自分の体はどう変わっていくのだろう」

  • 「友だちと違うのはなぜだろう」

 と感じることもあります。

 DSDsのある子どもたちでは、一般的な思春期の変化とは異なる部分があるかもしれません。

 その違いを「特別なこと」として隠すのではなく、

  • 「人の体の成長にはいろいろな形がある」

  • 「あなたの体について一緒に理解していこう」

という姿勢で話していくことが大切です。

お子さん自身の言葉を大切にしましょう

 この時期には、病名や体の特徴について、お子さん自身が理解できるようにしていきます。

 医療者が使う言葉や、本人が自分のことを説明するときに使いたい言葉についても、一緒に確認していきましょう。

 「分かった」と言っていても、本当はまだ整理できていないこともあります。

 親御さん自身も、医師から説明を受けたときに「分かったつもりだったけれど、後から疑問が出てきた」という経験があるかもしれません。

 子どもも同じです。

 「もし聞きたいことが出てきたら、いつでも話してね」
と伝えておくことが安心につながります。


自分の体や健康について、自分で関わる準備を始めましょう

 この頃からは、少しずつ医療についても本人が中心になっていく準備を始めます。

 病院では、

  • 何のために受診しているのか

  • どんな検査や治療をしているのか

  • 薬にはどんな役割があるのか

を本人が理解できるよう支えていきましょう。

 将来的には、自分の健康について自分で考え、選択していく力が必要になります。

 親御さんは「代わりに決める人」から、「支える人」へ少しずつ役割を変えていく時期でもあります。


性や人との関係についても話せる環境を

 思春期には、恋愛、性、将来の家族、妊娠や生殖について考えることもあります。

 性について話すことは、性交だけを意味するものではありません。

 自分の体をどう感じるか、人を好きになる気持ち、人とのつながりなども含まれます。

 

  • 「困ったときに話していい」

  • 「分からないことを一緒に考えられる」

という関係を続けることが、お子さんの安心につながります。

繰り返し話すことが、自分自身への理解につながります

 思春期の子どもは、ときには「もう分かっているよ」「その話はいいよ」と言うかもしれません。

 それも成長の一部です。

 でも、心の中ではまだ整理している途中かもしれません。

 大切なのは、一度ですべて伝えきることではなく、必要なときにいつでも戻れる会話の場所を残しておくことです。

alexei-scutari-5Zg64OwXJg8-unsplash.jpg

DSDティーンズ

​DSDのある10代の子どもたちの性教育ページ

F-UQX8SboAAkdeS.jpg

 「DSDティーンズ」は、DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)のある10代の人と、その家族のための性教育ページです。

 

 思春期に起こる体や心の変化、ホルモンの働きについて、10代にもわかりやすく紹介しています。

 

 さらに、自分の体について知ることだけでなく、病院で医療者と話すときのポイント、学校や友だちとの関わり方、恋愛や自分自身を大切にする方法など、これからの生活に役立つ情報も掲載しています。

 

 DSDsのある当事者や家族の声を大切にしながら、日本内分泌学会などの医療・専門職の協力を得て作成されており、医学的な正確さと当事者の視点の両方を重視した内容となっています。

国際内分泌学会(性分化疾患/インターセックス)
性分化疾患/インターセックス
DSDファミリーズ(性分化疾患)
UCL-logo-big.png
ネクスDSDジャパン(性分化疾患/インターセックス)
681209398a740ae821492331_flamelink_2Fmedia_2F2025043002-eye.webp

3-7

自分自身の体と人生について考えていく時期
~15歳から18歳頃~

 15歳頃になると、お子さんは自分自身の体や将来について、より主体的に考えていく時期になります。

 この時期に大切なのは、親御さんが答えを決めることではなく、お子さんが自分の考えや気持ちを大切にしながら選択できるよう支えることです。

 お子さんが自分の体のことをどのような言葉で表現したいのか、どこまで話したいのかも、一人ひとり違います。

  • 「どんな言葉で説明されるとよいか」

  • 「誰に、どこまで話したいか」

を尊重しながら、一緒に考えていきましょう。

 もし、今は体のことについて話したくないと言う場合でも、無理に話を進める必要はありません。

 ただ、「話したくなったときには、いつでも話せる場所がある」と伝えておくことが大切です。

医療について、自分で関わる力を育てましょう

 この時期には、小児科から成人医療への移行(トランジション)について考えはじめる時期になります。

 これからは、お子さん自身が医療者と話し、自分の健康について考えていく機会が増えていきます。

 例えば、

  • どんな診察や検査が必要なのか

  • 薬やホルモン治療にはどんな意味があるのか

  • これからどのように健康管理をしていくのか

を本人が理解できるよう支えていきましょう。

 診察室に誰が一緒に入るか、どこまで親が関わるかも、お子さんの希望を確認しながら決めていくことが大切です。

体、性、将来について話せる関係を続けましょう

 この年代では、恋愛や人との関係、将来の生活について考える機会も増えてきます。

 DSDsのある子どもたちでは、

  • 体の発達について

  • 生殖や妊娠について

  • 治療や検査について

  • 周囲の人にどのように伝えるか

など、考えるテーマが増えることがあります。

 すべてを一度に話す必要はありません。

 「必要になったときに一緒に考えることができる」 という安心感を持てることが大切です。

自分らしく生きることを支えましょう

 思春期から青年期は、自分の体や外見について悩みやすい時期です。

  • 「自分の体をどう感じるか」

  • 「自分らしくいられるか」

ということは、誰にとっても大切なテーマです。

 自信をなくしたり、周囲と比べたりすることもあるかもしれません。

 そんなとき、親御さんができることは、すぐに答えを出すことではなく、

  • 「あなたは大切な存在だよ」

  • 「困ったときは一緒に考えるよ」

という姿勢でそばにいることです。

話さない時間も、成長の一部です

 この年代では、親との会話が少なくなることもあります。

 質問しても返事がなかったり、「もういい」と言われたりすることもあるかもしれません。

 でも、聞いていないように見えても、心の中で考えていることがあります。

 大切なことは、話すことを求めすぎるのではなく、いつでも戻れる会話の扉を開けておくことです。

 これまで積み重ねてきた親子の信頼関係が、必要なときに大きな支えになります。


 

 

43860_pole_doroga_oblako_2560x1600_%28www_GdeFon_ru%29.jpg

お子さんにどう話していくか?
同じ体験をした親御さんみなさんの体験談

teahub.io-i-hate-my-life-746342.jpg

03

思春期・青年期に
お子さんのDSDsの可能性を
知らされた場合

 幼児期・児童期での女の子の鼠径部(そけいぶ)ヘルニア,男の子・女の子の思春期での二次性徴不全,二次性徴はあったけど女の子で初潮が訪れない(原発性無月経)などで,娘さんや息子さんになんらかのDSDs(女性のアンドロゲン不応症やロキタンスキー症候群,ターナー症候群,スワイヤー症候群,女の子・男の子の卵精巣性DSDなど)が判明するということがあります。

 実はDSDsの判明は思春期前後がもっとも多く,ご本人だけでなく,親御さんも大きなショックを受けられることでしょう。

 

 ここでは、思春期・青年期以降にお子さんのDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が判明した場合の親御さんの心構えについてお伝えしていきます。

  ただし、DSDs:性分化疾患(体の性の様々な発達)は、一般の産婦人科や泌尿器科では、今でも昔の偏見や誤解を持っている医療従事者も少なからずいます。必ずチーム医療を行っている性分化疾患の専門医療機関や、専門医療機関と連携している医療機関にかかるようにしてください。そこでは、正確な診断や体の状態の詳細、これからの治療方針、どのようにお子さんを支えていくか、お子さんにどう伝えていくか、他の当事者のみなさんがどう活き活きと自分の人生を生きているかということなど、様々な知見を持っています。性分化疾患の専門医療機関がどこにあるか分からない場合は、ぜひ私たちにお問い合わせください

 
さて、まず最も重要なのは、DSDs:性分化疾患(体の性の様々な発達)という言葉を耳にする前も後も、みなさんのお子さんは何も変わらない同じ人物であるということです。今わかっているのは、「お子さんの体が、大人へと成長するための少し異なる道のりを歩んでいる」ということだけです。

 この状態を持つ当事者の成人が、自身の成長過程を知ったときのことについて話し合った際、「この年齢(思春期)で判明してよかった」と語っています。その理由は、「本人もすべての話し合いに参加する必要があり、情報が隠されることがないから」です。でも、それによって保護者の方の不安が和らぐわけではないかもしれません。

 もちろん、親御さんにとってもとてもショックで、自分自身の理解も追いつかない状況でしょう。お子さんに体の状態を告げることで、お子さんが傷つくのではないか?と思われてもおかしくありません。罪悪感を持つ親御さんもたくさんいらっしゃいます。お子さんには秘密にしておきたいというご家族がいらっしゃってもおかしくありません。

 ただ一方で、秘密にされたということでむしろ孤独感を高め、何の支えも得られなかったという当事者の方もたくさんいて、とても難しいところです。

 

 まずはなによりも、みなさんがお子さんに寄り添い、お医者さんに代わりに質問を投げかけ、可能な限り当事者同士のピアサポートを得られるよう手助けすることで、お子さんを支えることができます。お子さんがすぐにサポートグループに参加されなくても、親御さんが参加されるだけでも、とても効果がありますよ!

 もし学校の生物や保健体育の授業内容が娘さんの経験と合わないのではないかと心配な場合は、「教科書に載っているのはほんの一例で、実際の体の育ち方にはいろんな道のりがあるから、先生もそこまで詳しく知らないことがあるんだよ」と説明してあげるとよいでしょう。

 女の子のお子さんにとっては、「友達に生理が来ないことをどう伝えるか」ということのほうが気になるかもしれませんし、男の子のお子さんにとっては声変わりをしないことなど、男の子の成長が遅いということを気にされるかもしれません。

 

 そういうことへの対処法は、疾患(体の状態)によって異なってきます。ネクスDSDジャパンでは、性分化疾患全般で言えること、いくつかのそれぞれの疾患(体の状態)に応じた、子ども・青年向けの情報も掲載しています。また、当事者のみなさんのライフストーリーも、親御さんにも参考になるものでしょう。それを読んで、他の若者やご家族がこの問題にどのように向き合ってきたかを学んでみてはいかがでしょうか?

 そして、ひとりで抱えずひとりで苦しまず、ぜひ私たちにコンタクトを取ってください。一緒に考えていきましょう!

681209398a740ae821492331_flamelink_2Fmedia_2F2025043002-eye.webp

3-1

最初に⋯

 まず最も重要なのは、DSDs:性分化疾患(体の性の様々な発達)という言葉や、それぞれの疾患、体の状態名を耳にする前も後も、みなさんのお子さんは何も変わらない同じ人物であるということです。

 二次性徴が不全だった、不妊の状態がわかった、染色体の違いがわかった。それぞれの疾患名がついた。親御さんにとっても本当にショックなことでしょう。ご不安になられても全くおかしくありません。

 最初はすぐには難しいかもしれません。ですが、ぜひ目の前のお子さんを見つめてあげてください。お子さん自体は、疾患でも染色体でも何でもないのですから!

 また、DSDs:性分化疾患(体の性の様々な発達)は、一般の産婦人科や泌尿器科では、今でも昔の偏見や誤解を持っている医療従事者も少なからずいます。必ずチーム医療を行っている性分化疾患の専門医療機関や、専門医療機関と連携している医療機関にかかるようにしてください。

 

 そこでは、正確な診断や体の状態の詳細、これからの治療方針、どのようにお子さんを支えていくか、お子さんにどう伝えていくか、他の当事者のみなさんがどう活き活きと自分の人生を生きているかということなど、様々な知見を持っています。

 

 性分化疾患の専門医療機関がどこにあるか分からない場合は、ぜひ私たちにお問い合わせください

3-2

判明した時の親御さんのショックについて

 思春期・青年期になってお子さんのDSDsの可能性を知らされた時、多くの親御さんが大きな衝撃を受けられます。

 ショックの中心になるのは「この子はこれからどうなっていくんだろう」という、将来への不安かもしれません。学校のこと、恋愛のこと、将来のパートナーのこと、そして妊孕性のこと。そして、染色体の違いがある場合は、この子の性別はどうなっているのだろうという不安。いろいろな不安と「これから」が、一気に頭の中に押し寄せてくるかもしれません。


 また、DSDsの中には遺伝するものもいくつかあります。もしご自身が遺伝子キャリアだったと分かった場合、「自分のせいだ」という罪責感にさいなまれる親御さんもいらっしゃいます。これは非常につらい感情です。ですが、たとえ遺伝するものであったとしても、それでも決してみなさんのせいではありません!

 あるいは「なぜもっと早く気づいてあげられなかったんだろう」と、ご自身を責めてしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。ですが、DSDsの多くは思春期前後に判明するのが自然な経過であり、それより前に気づけなかったからといって、みなさんが何か見落としていたということではありません。

 私たちからお伝えしたいのは、みなさんがもし罪責感を感じていらっしゃるのだとしたら、それは何よりもみなさんがお子さんを愛しているという証拠であるということです。本当に大切なお子さんだからこそ、みなさんの中に申し訳ないという気持ちが湧いてきているのです。罪責感の強さはみなさんがお子さんを愛しているその大きさなのだということに、どうかお気づきください。

 そして、こんな体験をしているのは自分たち親子だけなんじゃないか、世界でひとりぼっちなんじゃないか、そんなふうに感じられる親御さんも少なくありません。ですが、決してそんなことはありません!同じような体験をされてきたご家族が、日本にもいらっしゃいます。もしよろしければ、後述するサポートグループへのご参加もご検討ください。

 何よりも親御さんの不安と心配は、この子にこれからどうしてあげていけばいいのだろうというお気持ちでしょうね。ここではそれを一緒に考えていきましょう。

file000824117114.jpg
Image by Mikhail Pavstyuk

3-3

染色体の違いが判明した場合について

 思春期・青年期以降に判明するDSDs(性分化疾患)では、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、アンドロゲン不応症やスワイヤー症候群、あるいはモザイク型の染色体の状態など、染色体の構成の違いが判明することがあります。

 「染色体」という言葉には、とても大きな重みがあります。「うちの子は本当に女の子(男の子)なんだろうか」と、一時的に大きく混乱される親御さんも少なくありません。

 ですが、まず、とても大切なことですので知っていただきたいのですが、
女性・男性の体の違いを決めるのは、染色体の数だけではないということが、現在の医学では分かっています。

 

 「染色体がこうでなくては女性(男性)の体とは言えない」という考え方は、実は1950年代以降に強まってきた社会的な思い込みに過ぎません。

 

 染色体の構成が一般的なものと違っていても、お子さんがこれまで生まれ育ってきたのと同じ、女の子(男の子)であることには変わりがないのです。

 染色体の違いが判明した時、それぞれの体の状態によって、これから知っておいていただきたい情報は変わってきます。

 

 特に、染色体がXYであっても生物学的に女性に生まれ育つ「XY女性」の体の状態(アンドロゲン不応症・スワイヤー症候群、フレイジャー症候群など)については、専用のページで詳しくご説明していますので、そちらもぜひご覧ください。

3-4

判明した時の親御さんのショックについて

 思春期・青年期になってお子さんのDSDsの可能性を知らされた時、多くの親御さんが大きな衝撃を受けられます。

 ショックの中心になるのは「この子はこれからどうなっていくんだろう」という、将来への不安かもしれません。学校のこと、恋愛のこと、将来のパートナーのこと、そして妊孕性のこと。そして、染色体の違いがある場合は、この子の性別はどうなっているのだろうという不安。いろいろな不安と「これから」が、一気に頭の中に押し寄せてくるかもしれません。


 また、DSDsの中には遺伝するものもいくつかあります。もしご自身が遺伝子キャリアだったと分かった場合、「自分のせいだ」という罪責感にさいなまれる親御さんもいらっしゃいます。これは非常につらい感情です。ですが、たとえ遺伝するものであったとしても、それでも決してみなさんのせいではありません!

 あるいは「なぜもっと早く気づいてあげられなかったんだろう」と、ご自身を責めてしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。ですが、DSDsの多くは思春期前後に判明するのが自然な経過であり、それより前に気づけなかったからといって、みなさんが何か見落としていたということではありません。

 私たちからお伝えしたいのは、みなさんがもし罪責感を感じていらっしゃるのだとしたら、それは何よりもみなさんがお子さんを愛しているという証拠であるということです。本当に大切なお子さんだからこそ、みなさんの中に申し訳ないという気持ちが湧いてきているのです。罪責感の強さはみなさんがお子さんを愛しているその大きさなのだということに、どうかお気づきください。

 そして何よりも親御さんの不安と心配は、この子にこれからどうしてあげていけばいいのだろうというお気持ちでしょうね。ここではそれを一緒に考えていきましょう。

file000824117114.jpg

お子さんにどう話せばいいか

そのヒント

 ヨーロッパの内分泌学会DSDs専門医療従事者と,イギリスのDSDsサポートグループが協働で作成した,DSDを持って生まれた女の子・男の子にどのようにお子さんのDSDについて説明していけばいいかのヒントを載せたガイドブックです。

 ネクスDSDジャパンで日本語版を作成しました。このような状況に置かれたご家族のみなさんだけでなく,医療従事者のみなさんも,ぜひお役立て下さい。

国際内分泌学会(性分化疾患/インターセックス)
性分化疾患/インターセックス
DSDファミリーズ(性分化疾患)
性分化疾患のある子どもたちにどのように話をしていくか?ガイドブック
ネクスDSDジャパン(性分化疾患/インターセックス)
どう話していくか
親御さん仲間のヒント・体験談
家族の物語

海外国家機関DSDs調査報告書

ベルギー国家機関性分化疾患/インターセックス調査報告書
オランダ社会文化計画局「インターセックスの状態・性分化疾患と共に生きる」表紙

 近年、教育現場や地方・国レベルで、LGBTQ等性的マイノリティの人々についての啓発が行われるようになっています。その中で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が取り上げられるようになっていますが、昔の「男でも女でもない」という偏見誤解DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。

 どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。

 ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。

DSDs総合論考

 大変残念ながら,大学の先生方でもDSDsに対する「男でも女でもない」「グラデーション」などの誤解や偏見が大きい状況です。

 

 ですが,とてもありがたいことに,ジェンダー法学会の先生方にお声がけをいただき,『ジェンダー法研究7号』にDSDsについての論考を寄稿させていただきました(ヨヘイル著「DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス) 排除と見世物小屋の分裂」)。

 今回,信山社様と編集委員の先生方のご許可をいただき,この拙論をブログにアップさせていただきました。

 DSDsの医学的知見は大きく進展し,当事者の人々の実態も明らかになってきています。ぜひ大学の先生方も,DSDsと当事者の人々に対する知見のアップデートをお願いいたします。

 

 (当事者・家族の皆さんにはつらい記述があります)。

ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
性分化疾患YouTubeサイト(インターセックス)
ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会
bottom of page