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DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)(インターセックス)
DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)(インターセックス)
からだの状態ごとのみんなの思春期
次のステップ(11歳以上)
次の次のステップ(14歳以上)

DSDティーンズ
「次のステップ(11歳以上)
へようこそ!

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 みんな! このページに来てくれてありがとう!

 

 ここは,DSDs(ディーエスディーズ):体の性のさまざまな発達(性分化疾患)と呼ばれている,「女性・男性のさまざまなからだのバリエーション」がある,10代の女の子・男の子たちと家族のみなさんのためのページです

 みんな、学校の授業や本で、女の子・男の子のからだの発達やしくみについてならうと思う。でもね、学校でならうことは本当はほんの基礎的なものでしかなくて、DSDsのある女の子・男の子まで説明したものじゃないんだ。

 それに、DSDsといっても,いろいろなからだの状態があります。みんなは,自分のからだの状態がどういうものなのか,お医者さんから聞いているかもしれないけど,すぐに理解することってむずかしいよね。

 そこでつくられたのがこのページなんだ。

 

 このページは,世界中のDSDsのあるセンパイが,世界中のDSDsの専門のお医者さんたちと協力してつくられました。

 

 からだの性の発達はどのようにして起きるのか,みんなのDSDsや,思春期がどのようなものになるのか? そしてこれから自分の生活や人生はどうしていけばいいのか?

 

 DSDsのセンパイやお医者さんたちからの,医学的なエビデンス(証拠)と最新の医学的知識をもとにして,正しい知識や知恵,ヒントを伝えていくからね!

DSDティーンズ(性分化疾患のある10代のための性教育サイト)(インターセックス)
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 DSDティーンズはぜんぶで4章あります。

 第1章は思春期とみんな。DSDがあることを知らされた10歳以上のみんなのために、思春期の二次性徴(にじせいちょう:思春期に起きるからだの発達のこと)について、学校でならう基礎的な知識だけじゃなくて、もっとくわしい話をわかりやすく書いています。

 第2章は「次のステップ」。11歳以上のみんなのために、みんなの病院の先生とどういう話をすればいいのか、学校や友達には自分のDSDをどうあつかえばいいかについて、いろいろなヒントを説明します。

 第3章は「次の次のステップ」。これは14歳以上のみんなのための章です。好きな人ができたときにどうすればいいのか、好きな人とのおつきあいでどんなことに気をつけなければいけないか、自分自身をどう大切にケアできるかについてのヒントを説明します。(現在作成中です)

 第4章は「からだの状態ごとのみんなの思春期」DSDsにもいろいろなからだの状態があります。そのからだの状態ごとに、二次性徴でどういうことが起きるのか、起きないのかを説明します。(現在作成中です)

DSDティーンズを作った人

 

  • ミリアムさんやニーナさんなど,イギリスのサポートグループ「dsdファミリーズ」のみなさん

  • 国際内分泌学会DSDs専門のお医者さんたち

  • ビンセントさん・ジョーさん・デイビッドさん(ロンドンカレッジ大学:UCLの先生たち)

  • ニーナさん(DSDs専門のカウンセラー:臨床心理学者さん)

  • 日本語翻訳:北野さん(臨床心理士)

  • イラスト:かくまんさん 

  • 日本語翻訳・日本版制作:ヨヘイル(ネクスDSDジャパン

 

  許可をいただき、原版を元にして日本版を作成いたしました。

DSDファミリーズ(性分化疾患サポートグループ)
国際内分泌学会
ロンドンカレッジ大学
性分化疾患/インターセックス
ネクスDSDジャパン

第2章
次のステップ(11歳以上)

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 みんな第1章「思春期とみんな」は読んでくれたかな? 基本を理解したところで、次のステップに進もう! 

 

 まずは、病院や学校でどのようにすればいいか? から。

病院編 : 診察の時間を最大限に活用するためのヒントやコツについて。

  DSDsのあるみんなは、病院に通わなきゃいけないよね。なんだかイヤだなあ…と思う人がいてもおかしくない。

 でも自分の体の状態をちゃんと健康に保つには、そして(これもイヤかもしれないけど)自分の体の状態をちゃんと知っていくためにも大切なことなんだ。

 そこでこのセクションでは、君がちゃんと病院でやるべきこと、イヤな思いをしないようにするヒントを教えるよ。


学校編 : 学校で習う理科や生物、性教育の時間とDSDsについて。

 君が通っている学校でも、理科や生物、性教育の授業で、女性と男性の体の違い、発達の仕方について勉強することになると思う。

 でも、とても残念だけど、学校の授業で習う女性・男性の体の違いや発達の仕方は、本当に基礎的なものでしかなくて、DSDsのことは全く取り入れていないんだ。たとえば、「性別は染色体で決まる」なんてね。本当は「遺伝子で決まる」んだけどね。

 

 それにDSDsの話を取り入れたにしても、「男でも女でもない体」なんてひどい偏見を伝えていたりすることもある。

 なので、このセクションでは、学校の授業でどんなふうに対応すればいいか、そのヒントを教えるよ。

 


 

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友達編 : 君が友達とうまく付き合っていくう方法や、友達に君の体の状態をうまく伝える方法、そして厄介な状況を切り抜ける方法について。

 

自分編 : 鏡に映った自分の姿や、自分をどう感じているかについて。

(1)病院編


 病院にはいろんな専門のお医者さんがいるよね。君も知ってるかもしれないけど,どんなお医者さんがいるかまとめてみるね。

​ DSD医療チームのカードをコンプリートする人はいるかな?

性分化疾患医療チーム
性分化疾患医療チーム
性分化疾患医療チーム
性分化疾患医療チーム
性分化疾患医療チーム
性分化疾患医療チーム


かかりつけ医 : 風邪やお腹痛を診てくれる近所のお医者さん
内分泌科医 : ホルモンを作る体の器官(下垂体とか、甲状腺とか、副腎、副甲状腺、骨系統、性腺など)をみてくれる専門のお医者さん
泌尿器科医 : 性器の外科手術専門のお医者さん
婦人科医 : 卵巣や子宮を診てくれる専門のお医者さん
遺伝臨床医や遺伝カウンセラー : 染色体や遺伝子に詳しい専門家
心理カウンセラー(臨床心理士) : あなたが物事をどう感じるか、これからどうしたいかを一緒に考えてくれる心の専門家


 

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 日本やいくつかの国では、子どもみんな,健康管理のために、健康診断を受けています。小学生や中学生のときっていうのは、お医者さんの診察を受けるのが大切な時期なんだ。

 

 わたしたちの体は日々変化(成長)している。だから、あなたの友達やクラスメートのみんなも,ふだんからお医者さんに診てもらってるの。定期的な健康診断で、あなたの体が成長して健康であることを確認できるんだ。


 昔は、クリニックや病院に行くのはよっぽどの理由がある場合に限られていて、「病院に行ってくる」って友達に言ったら、「どこか具合が悪いの?」ってその理由を知りたがられるってこともあった。


 周りの人が「しんどくないのに何で病院に行くの?」って思っちゃうかもって、不安になるかもしれないね。でも、今はコロナやインフルエンザとか、病院に行くのは,そんなに珍しいことじゃなくなってるよ。

 じゃあ,まずは、あなたが病院の予約をとるタイミングについて教えるね。


 性腺やホルモン、外性器のケアについて考えてる人は、ここをクリックして!

 

病院へ行くタイミング


 病院の診察っていうのは、だいたいは午前だけだから、診察に行くには,学校を休まなくちゃならないかもしれない。学校の先生は、病院に行くことを理解してくれるだろう。君の友達も特に気にしないかもしれない。だって、歯医者さんやお医者さんに行くのは、それほど珍しいことじゃないからね。


 どうしても学校を休みたくない場合は、放課後に診察の予約が取れるか聞いてみたらいいよ。
 

 大人の人も、病院や歯医者さんに行くために丸1日お休みを取る人もいる。だから、一緒に行く親御さんとも相談するようにしてね。
 

 知らないだけで、実は友達もみんなも,君が思っている以上に病院や歯医者さんに通ってるんだ。だから、病院に行くことを恥ずかしがったり、怖がったり、気にしたりする必要はない。これは、君の体の成長と健康を管理するために大切なことなのだから。


 あと、病院に行くっていうのは,自分で自分の身体を預かるということでもある。病院に行って、君は自分で自分をケアできるんだってこと,家族の人に見せてやろう!

 

 そうすれば,君ももっと自分自身に対して責任を持てるようになるし,もっと成長していけるんだ。

 

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病院が遠くて、診察に時間がかかることがあるのはなぜなんですか?

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 どんなケアが必要かによって、受診に必要な時間は変わってきます。

 

 どんな症状でもいろいろ診てくれる近所のお医者さんもいれば、体のここの部分!ってところ専門のお医者さん(専門医)もいるの。

 

 どうすればいいのか具体的なアドバイスが必要な場合は、専門の先生に診てもらうか、場合によってはさまざまなお医者さんのチームに診てもらう必要があるんだ。

 

 チームで診てくれる病院(例えば大学病院)ってすごく少なくて、専門のお医者さんやお医者さんチームは,遠くの病院に行かなくちゃいけないこともあるんだ。

 

「自信を持つこと」

それってどういう意味?

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 病院に行ってお医者さんに会うとき必要なこと。それは君が自信を持つってことなんだ。

 でも、自信を持つってことは、お医者さんの説明をぜんぶ一回で理解できて、なんの質問もしないってことじゃない。

 覚えておいてほしい。

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  • 自信とは、自分が聞きたいことを質問して、自分の体を理解するためのステップを恐れずに進めること。(まあ,不安だけどね…)

  • 自信とは、お医者さんの説明がよく分からないときに,「よくわからなかったので、もう一度説明してもらえますか?」って堂々と質問できること。

  • 自信とは、自分の思いや考えを相手に話せること。

  • 自信とは、お医者さんと二人だけで話しができるか,親やお医者さんに聞けること。

  • 自信とは、何か違うな…と感じたり、まだ心の準備ができてないと感じたりしたときに、ちゃんと「ノー」って言えること。

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 お医者さんを何でも聞いていい人なんだって信頼するには,時間がかかるもの。お医者さんって,すっごく忙しい人だし、患者になる私たちも「こんなこと聞いていいのかな?」「聞いても怒られないかな?」なんて思いがちだからね。

 でもね、病院のお医者さんは本当に親切な人が多くて、本当はみんなといろいろな話をしたいと思っているし、わからないことがあれば何でも聞いてもらいたいと思っているものなの。質問してくれて、それに答えるっていうのが大っ好きな人が多いの。

 なので、病院に行ったとき,あまり時間がなかったりしたら、「電話やメールで質問してもいいですか?」「分からないとこがあったら誰に電話すればいいですか?」と気軽に尋ねるようにしよう。きっと親切に聞いてくれると思うよ。


 それと、お医者さんから説明を聞いても、頭が真っ白になったり、実感が沸くのに時間がかかるもの。一回でぜんぶ理解できるなんてほとんどないよ。

 

 ほとんどのお医者さんは,そこも分かっています。その場で今すぐ質問がなくても、かまわないの。疑問・質問があったとき、その答えを得る方法を知っていれば大丈夫なんだ!

 

 何か分からないこと,聞いてみたいことを思いついたら、メモしておいて、後でお医者さんに見てもらうようにしておこう。

 

T-P-Aを活用しよう!

考える―準備する―質問してメモする
 

 誰でも病院の待合室って退屈なものだよね。長い待ち時間は,控えめに言っても楽しいものじゃない。

 

 でも、せっかく病院に行くのなら、なにかを得て帰ってほしいなと思うの。

 

 そんなとき,T-P-A(THINK:考えるーPREPAIR:準備するーACT:質問してメモする)っていうのは、お医者さんとの診察時間を充実したものにする方法だから覚えておいて!

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THINK:考える

 

 病院に行く前に、診察室でどんなことを聞くか考えてみよう。親御さんに相談してみるのもいいかもね。

  • 今回の受診の目的は何だろう? ー 検査? もっと具体的な理由? 
     

  • 自分がリラックスできるものは何だろう? — 雑誌や本を持っていく? 音楽を聴く? スマホでゲーム? 行く前に、ちょっと良いめの朝食を食べにいく?
     

  • 不安かな? 何が不安なんだろう? ― なぜ行かなゃいけないか分からないから不安なのかな? それとも?
     

  • 先生にどんな質問がある? — 君が知りたいことはなんだろう?


 

PREPAIR:準備する

 

 こういうことを考えておいてから、受診の準備をしよう。お医者さんにメールをすることもできるよ。

 

  • 最近あった出来事 (君のふだんの生活のこととか,身体の変化とか)のリストを作ろう。(1つだけでもOK!)

 

  • 緊張することもあるかもね。自分がリラックスできることをリストにしておこう。

 

  • お医者さんに聞きたいことのリストを作ろう。前回わからなかったことは必ず書いてね!
     

ACT:質問してメモする

 

 最後の「アクト」は、お医者さんに質問をして、お医者さんの意見をメモしておくということ。もちろん、お医者さんの言うことぜんぶを覚えて帰ることはできません。でも、お医者さんが言うことを、かんたんにメモしておくのはそんなに難しいことじゃないよ。

 それで、お医者さんが親御さん抜きで10代の患者と1対1で話すっていうのはよくあることなんだ。あなたもぜひチャレンジしてほしいな。もしお医者さんから1対1で話をする提案がなければ、あなたからお医者さんと話す時間を作ってもらうようにお願いしてみよう。

 覚えておいて:お医者さんと相談して、検査のことやお医者さんが診察で何を求めているのかよくわからなかったら、遠慮しなくていい。もう一度説明してもらうように言ってみよう。あと、その日は検査に適した日じゃなかったり、こころの準備ができていないっていう場合は、いつでも「今日は検査したくなくて…」って言っていいんだよ。

ヒント:図や絵は言葉よりもわかりやすくて覚えやすい。参考になるようであれば、お医者さんに絵を書いてもらおう!(絵が苦手な先生もいるけどね…)
 

体の検査について

 病院の診察では、お医者さんや看護師さんがあなたの体温を測ったり、心臓の音を聞いたり、身長や体重を計ったりするよね。それに、わきの下、乳房、背中、性器とかの体の一部を目で見て、ちゃんと成長しているか確認することもあります。


 思春期は、体もこころも変化(成長)しているときだから、体を見られるのがイヤだなあ…と思うのは普通のこと。こういう検査は、いろんな目的があってやっていて、その中には思春期にしかできないものもあるんだけどね…。
 

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 覚えておいてほしいのは、お医者さんは君の体をちゃんと理解して、健康に成長しているかどうかを確認しているってこと。そうすることで、君がこれからも健康でいるためのアドバイスを、お医者さんもできるからなんだ。
 

 そしてもちろん、検査っていうのはあくまでお医者さんが勧めるものでしかない。それを受けるかどうかは君が決められるんだ。


 身体検査を受けるときの5つのヒントを教えておくね。
 

1.検査の目的を知ろう。

 

 お医者さんに、これは何の検査なのか、何のための検査か、なぜ今必要になるのかのかを説明してもらうようにしよう。
 

2.検査の内容を詳しく聞こう。

 

 見るだけの検査かな? もし体の一部を動かさなくちゃいけない検査なら、君が自分で動かしてもいいか聞いてみていいよ。
 

 検査にはメジャーとか綿棒とかの道具を使うこともあるんだけど,こそばゆかったり痛かったりしたら、ちゃんとお医者さんにそれを伝えていいからね。
 

 お医者さんの中には、君に図や絵を見せて、どんなところをチェックしたのか説明してくれる先生もいるよ。

 

3.検査の目的が分かったら、

誰が診察室にいてもいいか考えて伝えよう。

 

 例えば、お医者さんと君だけがいいのか、看護師さんや君の親御さんにも一緒にいてほしいかってね。それを考えて、遠慮なくお医者さんに伝えてね。
 

4.気が進まなかったらいつでも言おう。

 

 どんなに優秀なお医者さんでも、あなたの気分まで読み取ることはできないんだ。だから、「今日はイヤなんです」と言って、検査を受けないことも選択できることを忘れないで。

5.身体検査は絶対必要ってわけじゃない。

 

 ただし、身体の変化に気づいて心配になったときは、絶対お医者さんに相談してほしい。

 

写真撮影について

 一部の病院やお医者さんは、患者の体の写真を撮ることがある。診察室にいないお医者さん(別の専門医の先生とか)のアドバイスを受けたり、患者さんの体の成長を正確に記録しておくためなんだ。

 

 もし写真を撮っていいか聞かれた場合は、ちゃんと詳しい説明を聞いて、検査や写真撮影に同意するかどうかを決めるようにしよう。


 ただし、お医者さんを喜ばせるためだけに、あまり考えずにOKするのは決して良い判断じゃない。良いお医者さんはいつも君の気持ちを尊重してくれるはずだ。

 

 イヤだなって感じたら、「正直、あまり気が進まなくて…。やめてもいいですか?」と言えばいいよ。


 大切なことだから何度でも言うね。検査はあくまでお医者さんが勧めるものであり、検査を受けるかどうかを決めるのは、YESなのかNOなのかを言えるのは、いつでも君自身なんだ。遠慮なくはっきり言っていいんだよ!
 

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もし写真撮影を提案されたら?

 

 お医者さんには、たとえばこんなことを聞けばいい。

  • その写真は、わたしとわたしの体/僕と僕の体にとって、どんな役に立ちますか?

  • 写真はどこまでの人が見ますか?
     

  • 個人が特定されることはないですか?

  • 後でやっぱりイヤだって思ったらどうしたらいいですか? 誰に相談すればいいですか?

 

  • プライバシーは保護されますか? わたし/僕が言えば、画像を削除できますか?

 

  • もし気が変わったら、コピーもぜんぶ含めて返してもらうことはできますか?

 

  • (確認したかったら)わたし/僕が小さい頃の写真はありますか? 見せてもらえますか?

 

 

 お医者さんが集まる学会などで写真を使用する際、写真の使用を許可するかどうか、決める権利は君にある。OKであれば、同意書にサインをして、お医者さんのカルテに入れておいてもらってほしい。

自分の気持ちをお医者さんに話す

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 自分の体や生活で起きていることや、自分はどのように感じているか? そういうことをお医者さんやカウンセラーに話すのは、すごくすごく大切なことなの。


 お医者さんたちは、一人の人間としてあなたを大切にするために、あなたが普段どんな生活をしているか、あなたの夢、将来どうしたいと思っているのか、あなたが抱えている心配事などをちゃんと知りたいと思っている。

 

 でも、思ってることを話すのって、それほど簡単じゃないよね。だって、自分が思っていることや感じていることって、自分でもよくわからないってこともあるから。
 

 でも、今はそれでいい。いろんな情報を学ぶくことで、自分自身を(自分の気持ちと体のこと)を理解して、自分自身のケアに役立てていこう。

 人はそれぞれ違う。君も唯一無二の存在だから、僕たちにも、君が受診時にどういうことを考えるか、予測はできない。

 

 なので、ここでは、DSDsに関わるお医者さんやカウンセラーさんと、どんな話しができるのか、紹介しておこう。

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こんなことを聞いてみよう!

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  • 「友達には、自分の身体のこと、どう説明すればいいですか?」

 

  • 「わたし/僕の体は今どんな状態で、これからどんなふうに成長していきますか?」

  • 「この治療法が良いとされているのは、どういうところからですか? この治療法で、わたし/僕はどう良くなりますか?」
     

  • 「体の性の発達って本当はもっと複雑なのに、なぜ理科や生物の授業では、単純なことしか教えないんですか?」
     

  • 「わたし/僕と同じような身体の状態、同じような悩みを持つ人と会うことってできますか?」

  • 「時々泣きたくなります…」

  • 「家族と話ができません」

  • ​「友達とのちがいがとてもつらいです…」

治療方針を決める

(意思決定)

 病院では、DSDの治療をするために大切な3つのこと決めなくてはいけないんだ。


1.性腺をどうするかの決定


2.ホルモン治療をどうするかの決定:身体にどんなリスクとベネフィットがあるか?
 

3.性器のケアをどうするかの決定:これも身体にどんなリスクとベネフィットがあるか?
 

 「ベネフィット」というのは、その治療法で、あなたの体の状態が良くなったり、あなたの希望が叶えられたりする「利点」のこと。お薬で言えば「効き目」ってことになります。

 そして「リスク」っていうのは、たしかにその治療法で良くなるところはあるけど、その代りに起こり得る「不利益」のこと。お薬で言えば「副作用」のこと。


 たとえばかぜ薬では、「利点(ベネフィット)」として熱が下がったりのどが痛いのが止まったりするよね。でも、ボーッとしたり眠くなったりするという「副作用(リスク)」もある。
 

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 これは、君のDSDの治療法でも同じことが言えて、こういう「利点(ベネフィット)」がある代わりに、こういうことが起きるかも・こういうことをしなくちゃいけないという「不利益(リスク)」があるってことがあるんだ。


 それに、治療法によってリスクとベネフィットもそれぞれ違ってくる。だから、お医者さんには、その治療法のリスクとベネフィットをちゃんと聞くようにしよう!

 

 お医者さんに「その治療法のリスクとベネフィットを教えてください!」って言ったら、「おお、この子はやるなあ…!」ってビックリさせられるよ。
 

 ただ、もちろん治療法について選ぶっていうのはたいへんなことだ。だからもし治療法で悩んでるなら、「次の次のステップ」のセクションを参考にしてほしい。
 

(2)学校編

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 大きくなればなるほど、勉強することも多くなるよねー。けっこうたいへんだ。

 

 それにきっと君は、理科や生物の授業、保健体育や性教育の授業で、人間の体について勉強すると思う。そして、生殖(赤ちゃんの作り方)と、男女の体の違いについて詳しく学ぶことだろう。

 

 でも、ここまで読んでくれれば分かると思うけど、女性でも男性でも体の性の発達はいろいろなパターンがあるって知ってたり、特に君自身の体の発達による変化についてちゃんと学んでいると、学校のこういう授業で教えられることに違和感を感じるかもしれない。

  そこでこのセクションでは、学校生活や勉強で、どういうふうにすればいいか、そのヒントを書いていくね。
 

理科や生物、保健体育・性教育の授業では

どうすればいいか?

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 学校の先生って、体の性の発達については、ホンンット基本的なことしか教えてないんだ。実は、それが基本的なことでしかないってわかってる先生もほとんどいない。

 

 実際、君がこれを読んでいるってことは、実は、先生たちよりずっと詳しくDSDsや体の性の発達について知っているってことになるだろう(大学の先生でもよく分かってないことだよ)。


 それで、性教育の時間とかで体の性の発達の話になると、DSDを持っている僕たち/わたしたちは、いろいろな感情がわいてきて、落ち着かなくなるものだ。

 

 じっと黙ってたりしてもおかしくないんじゃないかなあ…。それか、どうすればいいのかわからなくて、不安になったりするかもしれない。
 

 でも、興奮してあわてちゃうと、クラスメートや先生になにか言いたくなっちゃって、でもあわてちゃってるから、言っても伝わらないってこともあるかもね…。

 

 だから、もしなにか伝えたいのなら、落ち着いてから、あとで先生にゆっくり話をするのがいいかもしれない。そのほうが、ちゃんとあなたの伝えたいことが伝わって、先生たちも君の言うことにしっかり耳を傾けてくれるかもしれない。

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 でもね、別にわざわざあなたの体の状態を話す必要はないの。なにか言いたくなるのだとしたら、それは、あなたが知ってる本当の事実を正しく理解してもらいたいってだけだよね。


 だから、そういうときは基本的に何もせずに、授業の内容は右耳から左耳に聞き流してもOKだよ。どっちみち、ごく基本的なことしか言っていないのだから。


 もしあなたが、あなたのDSDについて先生と相談したいのであれば、イメージしやすいように、DSDsと体の性の発達に関するウェブサイトを見てもらえばいい。

 

 たとえば、この「DSDティーンズ」や「ネクスDSDジャパン」をね。DSDsに関する正確で詳しい情報がわかるよう、サイトのリンクを教えるだけでも十分だよ。
 

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ここまでDSDティーンズを読んでいたら、女性と男性の体のちがいは、染色体ではなくて、遺伝子で決まるってこともわかるよね。でも学校では染色体までしか教えない。君のほうがもっと詳しくたくさん知ってるってことなんだ。

大切な3つの要素
 

 理科や生物、保健体育や性教育の授業では、学校の先生は多分、赤ちゃんの頃と思春期に、体に影響を与える3つの要素について説明すると思う。

 

 それはつぎの3つ。

 

  • 2つの染色体(XとY)

  • 性腺(精巣や卵巣)

  • 性ホルモン(T:テストステロンと、E:エストロゲン)

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 でも、覚えておいて。学校で習うことは基本でしかないってことを。

 男の子も女の子も、この3つの要因については、本当は現実にはさまざまなバリエーションがあるの。たしかにこの3つはあなたの体の成長に関わってくるものだけど、本当は染色体の組み合わせには女の子にも男の子にもさまざまなものがあるし、性ホルモンも体の部分がどう反応するかっていうこともある。ここが大事なんだ。


 あなたの体が、この3つの要素にどのように反応するかわからなかったら、「思春期と君」のセクションに戻って、あなたの体で起きていることを調べてみてね。

 

 そして、体の性の発達は、なにも君だけが違うってものじゃない。だれでもみんな、それぞれの体は、それぞれの方法で成長していくものなんだ。

 

 ペニスだって、鼻だって、顔だって、脚だって、膣(ちつ)だって、陰唇(いんしん)だって、みんなぜんぶサイズや形が違うんだ。

 

 みんなおんなじ顔をしていたら、それはそれで怖いよね。みんなちがう。体の中もそう。

 

 街を歩いている人たちを外から見ただけでは、その人がどんな体の成長をしてきたかなんて、ほとんど絶対わからないでしょ?

  だから学校の授業で基本的でしかないことを習っても、あわてる必要はないんだよ。みんながみんな違うんだから!
 

学校の先生はDSDsを誤解していることが多い。

 生物や保健体育・性教育の授業で、学校の先生がDSDsについて話すということもあるかもしれない。図書室の本でも、LGBTQの人々についての本などで、DSDsについて書かれていることがよくある。

 

 でも、実は、学校の先生が話す話や、そういった本に書かれている話は、多くの場合、古い知識で、間違っていることが多いんだ。人権教育の講師の先生でも、大学の先生でさえもね。

 

 そして、とても残念だけど、たいていの場合は、あまりちゃんと考えずに話してることも多い。

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彼らがよく使うまちがった用語や説明

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 そういう学校の先生や本では、「半陰陽」という用語とか、「男でも女でもない」「男女両方の特徴を持つ人」なんて説明がされていることが多いの。

 

 「半陰陽」っていうのは、単性生殖の虫や動物を扱う科学の用語。もし彼らがDSDsについて話すときに、「半陰陽」という言葉を使ったり、「男でも女でもない」「男女両方の特徴」なんて説明をしていたら、それはただ単に時代遅れで間違った話なの。

 

 科学の専門家の人たちが知る限り、人間は一人で繁殖できたことはないからね。
 

 それに、DSDsについて話すときに、「インターセックス」という言葉を使う人もいる。特に海外のネットやマスコミ、LGBTの人々の本では、そういう言葉が使われていることが多い。

 

 でも、「インターセックス」っていうのも、実はもう古い言葉なんだ。正式な医学では、人を傷つける「侮蔑的な用語」だから使わないようにってされてるんだ。

 

 そして、そういう用語を使う人も、残念だけど、やはり「男でも女でもない」とか「男女両方の特徴を持つ人」なんて、間違った説明をすることが多いんだ。困ったね…。
 

なぜそんな誤解が多いのだろう?

 一般的に、学校やマスコミでDSDsについて話す人でも、DSDsについて実は何も分かってなかったり、ちゃんと深く考えていない人がたくさんいるってことを知っておいて。

 

 よく分かってない人は、人を見た目で判断するような言い方をしたり、人のうわさ話を好んでしたりすることがあるの。


 これは多分、よく分かってない(無知)からこそやってしまうんだろうし、理解できないことへの不安から言っているのかもしれない。

 

 あるいは、なにか特別なことを知った!なんていう興奮から、誰かに話したくてしかたがないのかもしれない。でもそういう人の話は、たいてい間違った話だったりもする。
 

 心の底では、みんな、人を傷つけたくないと思っている。でも、こういうことはどうしても起きちゃうものなの。
 

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 なぜこんなことが起きるんだろう?

 それは、僕たちわたしたち人間っていうのは、よく理解していないと、何かの特徴を持っている人たちを、自分たちの中から外に押し出して、まるで普通じゃないように話してしまう傾向があるからなんだ。

 

 肌や目の色が違う人、言語が違う人、体つきが違う人、障害のある人、そういう人たちのことを、悪口であれ特別視であれ、わかったように言ってしまうようなことって、残念だけど、あるよね。

 

 また、わたしたちが何かをよく知らないと、人は目の前の人を押しのけて、自分とちがう人が普通ではないかのように話す傾向があります。

 こういうのは、ちょっと難しい言葉だけど、「他者化」って呼ばれているの。

 

 他者化というのは、「自分が属しているグループの人だったら、それぞれ個性を持った一人一人と見るのに対して、自分達のグループの外にいる人はみんな同じに見える」っていう意味。


 本当はあなた自身が、DSDに関係なく、用語に関係なく、あなただけのの名前を持ったかけがえのない個人なのに、ある一部の体の特徴だけを理由に、単純な言葉やイメージで、みんなひとくくりにして、うわさ話をしたり特別視したりする。

 

 こういうのは、とても残念だけど、まだまだあることなんだ。。

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 じゃあ、授業などで先生が間違ったことを言ってたら、どうすればいいだろうか?

 

 もちろん、やり過ごしても良い。自分の話をするっていうのは大変なことでもあるからね。
 

 君がどうしても誤解をときたいというのなら、自分のことを言うか言わないかに関係なく、一番簡単なのは、先生に、DSDを持つ人々の現実の姿を読んでもらうことかな。

 

 ネクスDSDジャパンのサイトには、誤解されたイメージじゃない、現実のDSDsを持つみんなの体験談がたくさんのっているし、このサイトを読んでもらうのも良いかもしれない。
 

 理解してもらうのにいちばん大切なことは、DSDsやその他の用語の話の背後には、イメージじゃない本物の生身の人間がいるということ。

 

 みんながこのことにもっと気づくようになれば、(DSDsも含めて)さまざまな人々のさまざまな違いについて話をしようとする人たちも、当事者の人々をもっとひとりの人間として尊重し、細やかに話さなきゃならないんだという責任感を持てるようにもなるんだろうけどね。
 

 と言っても、学校の先生もただの人間。間違いを犯すこともある。

 でも、先生という立場なのだから、DSDsについて話したいのなら、この話のセンシティブさをちゃんと知って、正確に話をする責務があるはずだけどね。


 もちろん、あなた自身がどういう言葉を使うかってことは、あなた自身が決めること。DSDでも、その他の用語でも。

 

 一番多いのは、AISとかCAHとかターナー症候群とか、あなた体の状態の用語かな。

 

 でも、AISとかCAHって言われても、それだけでは他の人はわからないから、「わたしには生理がないんです」とか「子どもを産めないんです」とか「染色体がちょっと違ってて」とか、具体的な説明をする人もいるよ。
 

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周りの人がDSDsについて

安易に話をしているのを聞いたときには…。

 君は友達の家で一緒にテレビなんかを見ているとしよう。テレビには芸能人や運動選手の人が出ていて、ふいに友達が「ねえ、知ってる? この人、性分化疾患なんだって。男でも女でもない人」と言ったとしよう。


 あるいは、友達が「このマンガおもしろいよ。インターセックスっていうんだって」と、本を紹介するようなこともあるかもしれない。
 

 そんな場面に遭遇したら、君はたぶん凍りつくんじゃないかな?
 

 この場合多くは、芸能人さんの性的指向や性自認の違いをDSDsと混同していたり、DSDsについて誤解していることがほとんど。

 社会の人々は、LGBTQなど性的マイノリティの人々のことを誤解していて、なにか身体に違いがあるから性的指向や性自認のちがいがあるんじゃないかっていう誤解や偏見を持っているから。本当は性的マイノリティの人々でDSDsが見つかることは本当に少数なんだけどね。
 

 それに、マンガやマスコミの報道も、かなり時代遅れの正確じゃない誤解をもとにして、とてもセンセーショナルに伝えるものがほとんど。

 そういう伝え方によって、大多数の現実の生身の人間がどう傷つくのか、残念だけど、あまり考えていない場合が多いの。。
 

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 さて、こんな状況になったら、あなたはどうすればいいだろう?
 

 わたしたち/僕たちも、こういうことには対処してきた。ここでは、こういう困難な状況を乗り切るためのヒントを紹介するね。

 

ぜんぜん動揺していない場合

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 すごいね! 君はとってもクールだ!

 

 君は、友達よりもマスコミの人よりも、人の体の成長についてよく理解している。だから、君がそうしたいのなら、別に君自身の話じゃなくても、一般論として話すのも良いかもしれない。

 

 「いやいや、そういう話じゃないみたいだよ」って相手に教えることもできるし、「ふーん。あんまり興味ないかな?」って、聞き流すこともできるだろう。これもクールだね。

 

 ただそれでも、話をするタイミングって、むずかしいよね。それもすごくわかる。
 

動揺しているなら、それもOK

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 そんな場面に遭遇したら、だれでも動揺するもの。それもOKだよ。 
 

 じゃあ、まずは深呼吸をして空気を吸おう。
 

 次に、なぜ自分が動揺しているのか考えて。

 

  • あなたの友達が使った言葉に動揺したのかな?

  • 間違った情報だから?

  • 自分のプライベートな話に踏み込まれたように感じたから?

  • まるで面白おかしい話のようにされたから?

  • 自分が弱い存在のように思われていると感じたから? 

  • あなたの体の状態を友達に話してなくて、友達があなたの反応をおかしく思って、あなたの体の状態を察することを恐れているから?

 

自分がなぜ動揺しているのか考えたら、

その後のいい方法がある。

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  • まずはちょっとその場を離れよう。「トイレに行く」とか言えばいい。そして部屋の外で新鮮な空気を吸おう。動揺したっておかしくないし、その場を離れれば少し落ち着くものだよ。
     

  • 友だちが言っているのは、君のことじゃなくて、君じゃない人のただの噂話だ。何も知らない、ちゃんと勉強していない、興味本位のいい加減なね。たぶん、友だちはどっかでそういう話を聞いて、それを鵜呑みにして話してみたくなったのだろう。

  • 糖尿病でもガンでも、それにかかった人じゃなきゃ分からないものだ。本人でもちゃんと勉強しなきゃ分かってないことも多い。君は腹が立ってるかもね。こういうことって、噂話やゴシップなんてレベルでやるもんじゃないから。もう一度深呼吸をしよう。もう少しおさまるかもよ。

  • そして、だからと言ってその友だちが悪い人だとも限らない。そういういい加減な話は、DSDsに限らずどこにでもあるもので、あまりその人の性格とは関係ないんだ。ちゃんと正確な情報を知ってるか知らないか、それだけだ。

  • 少し気分はおさまったな? もちろんそのまま、「ちょっとつかれたみたい…」って家に帰ってもいいの。

 

  • 部屋に戻るなら、少し考えよう。話はまた変わっていくものだから、受け流してそのままにするか? それともなにか言いたいか?

  • なにかを言っておきたい気持ちなら、やっぱり、あなた自身のことではなく、一般論として話すのも良いかもしれない。「さっき検索してみたんだけど、ほら、なんだか本当はぜんぜん違うみたい」って言って、読んでもらうとかね。そうすれば、あなたの気持ちも少しはおさまるかもしれないし、正しい情報を広めることにもなるからね。

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​ DSDsのあるみんなは、多かれ少なかれ、こういう体験をしているものなの。海外の当事者の女性の想いを載せておくね。

マイアさんの想い

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 以前、わたしの周りの人が、「インターセックス」や性分化疾患について話をした時があって…(その人達はわたしの体の状態は知りませんでした)。本当に動揺しました。

 

 たとえ彼らが適切な用語を使っててもです。

 

 わたしにとっては、DSDというのはセンシティブな話で、クラスでそれを話題にされたり、好き勝手に話しをされたりするのは、とてもイヤでした。

 

 たとえわたしのことを直接言ってるわけじゃなくても、わたしを勝手に判断されているように感じました…。

 

 わたしにとっては、DSDというのはもう大した問題でもなく、わたしの体がどのように成長してきたかということにすぎないんです。
 

 

いじめについて

 いじめにはいろいろな形がある。仲間はずれやネット荒らし、攻撃的なツイート、ひつこい返信、LINEでのウソの投稿など…。SNSで連続的に攻撃されたりしたら、学校に行くのも怖くなるよね。

 

 それに、いじめの方法が巧妙な場合もある。「冗談だからー」とイヤなことを言ってくるパターンだ。イジリも十分にイジメになると覚えておいて。


 いじめというのは、相手にまるで自分がダメな存在であるかのように思わせることが目的でおこなわれる。いじめを受けていると、ひとりぼっちのように思え、不安になり、自分の存在がダメなような気持ちになってしまう。あたらしく友達を作ったり、同年代の人と話をするのが、こわくなるようなこともある。

 

 僕たちも、同じような経験をしたことがあるよ。ああいうのは本当、自分の自尊心がきずつけられていくんだ。
 

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いじめられていると感じたら、どうやって止めればいいか? 

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 まずは、けっして自分を責めたりしないで!

 

 どんないじめも許されてはいけないし、我慢する必要もない。誰もが学校でも外でも安心して過ごす権利がある。学校にはあらゆる形のいじめを防止する義務があるの。誰もがたいせつな唯一無二の存在なんだから。


 いじめてくる人が言っていることを信じちゃいけない。いじめっていうのは、いじめる側の子の人生に問題があって、自分が何を言っているのか分かってないことがよくあるんだ。そういう子は自分から遠ざけよう。


 LINEの友達リストが「友達」リストと呼ばれるのには理由があることも覚えておいて。もし誰かがあなたの「友達」とは言えないようなことを君にしてきたら、その子を「友達」から外しちゃえばいいの。
 

 何が起きているのか、隠さず、だいじょうぶな誰かに話をしてほしい。自分がどうしたいか考えたり、自分の思いを言葉にしていけば、こういう状況もうまくのりこえていけるよ。

 

 親や担任の先生、保健室の先生など、信頼できる大人を見つけよう。

 

 何が起こっているのかを説明して、サポートを受けられるかどうか相談したり、一緒に解決策を考えていくようにしよう。
 

覚えておこう!

 先生や親に話すことで状況が悪くなるんじゃないか心配なら、君の秘密をまもってくれるスクールカウンセラーに相談したり、でんわの「24時間子どもSOSダイアル」に相談するのもいい。

 

 この人たちは、どんな問題でも君を支えてくれる。君を責めたりしないから安心して。君が望むなら、先生や親への話し方もアドバイスしてくれるよ。


 もし、いじめに君のDSDの話が関わっていて、誰にも話しにくいなら、ネクスDSDジャパンのカウンセラーに相談してくれてもいい。秘密はぜったい守るからね。

 

 nexdsd@gmail.com ここにメールして。

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(3)友だち編

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 10代というのは、君の生活や人生がめまぐるしく変わっていく時期。楽しいこともイヤなことも、友だちにいろいろ話をしたりするだろう。


 だからといって、君は自分の人生で起こっていることすべてを、友だちに話すってことはたぶんないよね。きょうだいや親御さんのことを話したり、チームメートと一緒になって、コーチやスポーツについて話すこともある。

 

 友だちどうしで、誰が「好き」なのか話すこともあるかもしれないし、女子だったら生理の話や、男子だったらひげ剃りの話、他にもキスの話や身長の話とか、身体のことを話す人もいる。
 

 ただ、性ホルモンや性腺、染色体の話は、さすがに友だちと盛り上がる話じゃないよね。


 では、あなたの体の状態についてはどうだろう。あなたは誰かにそれを話す? 話すとしたら誰に? どんな時に話す? どう話すか? どこまで話すか? ぜんぶ話す必要があるか? これはけっこう難しい問題。

 
 ここでは、あなたの体の状態を、自分の人生や生活に、どう位置づけていくか、いくつかアドバイスをしていこうと思う。

 

 わたしたちも同じような悩みを経験してきているの。だから、何が役に立ったのか、どういう言葉を使ってきたのか、そして、どんなふうに、どこまで、他の人に自分の体の状態を話してきたのか、ここで伝えていくね。


 あなたはけっしてひとりじゃない。わたしたちはここにいる。あなたを応援してるからね。
 

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秘密か? プライベートな話か?

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 僕たちはみんな、自分の体の状態を知る時期や、その方法は、それぞれに違う。なので、他の人に話す前に、まず、知らされた時期によって、自分が時間をかけて自分の体の状態を知っていくようにしたほうがいい。

 

 親御さんやお医者さんの中には、最初は人に話すのを待つよう勧める人もいる。だけど、自分の心の準備ができるまで誰にも言わないってことなら、それは「秘密」ではないよね。

 

 あるDSDを持っていて、すごくかしこくて若い女性が、以前言ってたことがある。
 

「誰にでも話すような話でもないと思ってます。なぜなら、これはあくまでわたしたちの『プライベートな話』であり、誰にどこまで話すかは、自分で決めることが大切なんですから」。

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 なるほど。これは真理ね。


 つまり、あなたの体の話は、「秘密」ではなく、自分の「プライベートな話」なんだと思ってほしい。女の人でも、自分が今生理中だとか、不妊の人が、自分は子どもができないってことをいちいち誰にも言わないよね。それと同じ。

 

 あなたは自分の体の状態を「プライベートな話」にしておくことができるんだ。それで、自分にとって都合の良い時に、君の都合の良いところまで、必要な人に話をする。これは「秘密」とはかなり違うよね


 誰かに自分の体のことを話す前に(もちろんどこまで話すかも大切)、自分の体の状態を詳しく知って、「秘密」と「プライベートな話」の違いについてよく理解し、その相手に話すということが君にとって何を意味するのかをじっくり考えるといいよ。

 

 考えるのにたっぷり時間をかけるのは全然問題ない。何をするにしても、あなたはあなたであり、どう話すか、どこまで話すかなんて、まだまだ時間はたっぷりあるんだから。あせる必要はないよ。

  「秘密」と「プライバシー」の違いについては、あるDSDを持つセンパイの男性もこう言ってたわ。
 

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  「秘密」と「プライベートの話」の違いは重要だと思う。


 「秘密」っていうのは、周りからどう思われるか怖くなって、自分が受身的に隠す・秘密にするってことだよね。ここでは中心は、君ではない「周りの人」にある。
 

 でも、「プライベートの話」というのは、自分で自分の体やその情報を「護る」ということ。それに,君が君自身で誰には言うか、誰には絶対言わないかをコントロールするということで、中心は「自分」にあることになる。


 僕らは自分ではない他の人の人生を生きているわけではなく、僕ら自身の人生を生きているわけだから。


 他人に振り回されることはないよ!

 

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話をするときのためのヒント
 

1.話の相手は、あなたの話の内容だけじゃなく、

あなたの気持ちに反応する。

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 ちょっと難しいかもしれないけど、どういうことか説明するね。話す相手っていうのは、もちろんあなたが話をしたその内容にも反応するけど、それと同じくらいあなたが話をする時の素振りや感情に反応するってこと。


 例えば、相手から見てあなたが動揺しているように見えたり、つらそうに見えたりしたら、相手の中には、あなたを慰めようとしたり、楽にさせてあげようとする人もいるかもしれない。逆に、悲しんだり、混乱したりする人もいるかもしれない。


 そして、あなたが落ち着いていて、動揺せずに話していたら、相手は、あなたともっと話して、もっと質問してもいいと思うかもしれない。そういうこと。


 ここでも、まずあなた自身が、自分の体の状態のことをどう受け止めているかが関係してくるわけ。


 それに、覚えておいてほしいのは、話の伝え方や内容(どこまで話すか)は、自分で選ぶことができるということ。ここでも、相手ではなく、あくまであなた君が中心ということなの!
 

 

2.練習は完璧にしよう。

親やお医者さんと話すことで、相手に伝える練習をする。

 こういう話は、親やお医者さんと話すのが楽になればなるほど、友だちやパートナー(ボーイフレンドやガールフレンド)と話しやすくなるものだ。

 

 どこまで話すか、何を話すか、どういうことであれ、話をする一番いい方法を見つけ出すことが大切。お医者さんもとことん使って、話をする練習をしていこう。


 それと、ボーイフレンドやガールフレンドに話をする方法は、またちょっと違ってくるよね。これについては、「次の次のステップ」を参考にしてほしい。

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3.「トイレに行く」はけっこう使える。

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 話をする前やした後に、ちょっとひと休みしたいと思ったり、話す前、話した後の自分の今の気持ちをチェックしたいと思ったら、「ちょっとトイレに行ってくる」とか言って、部屋の外で一度深呼吸をしよう。

 

 話した後に、少しその場を離れることもできるしね。
 

 

4.自分の話というのはプレゼントみたいなもの。

だから、相手がどんな反応をするかは、渡してみるまでわからない。 

 とは言っても、自分のことを話すっていうのは怖いものだよね。一種の「賭け」のようなもので、危険だと感じてもおかしくない。

 

 そこでちょっとたとえ話だけど、自分のことを相手に話すというのを、相手がどう反応するかわからないけど、なにか贈り物をすることって考えてみよう。


 相手はその贈り物にどう反応するかはわからない。相手がその贈り物を大切にしてくれると、君も安心するだろう。なぜこういうものをくれるんだろうと疑わしく思われれば、君はなにか気まずい感じになるかもしれない。ポイって投げ出されたら、君は失望するかもしれないし、「ふーん」という程度の反応だったら、逆に安心するかもしれない。
 

 相手の反応がどうであれ大切なのは、僕たち自身の存在や人生の物語を、相手に対して申し訳なく感じる必要はないということ。君の体験と君自身を大切にすることを学んでほしいなと思ってます。
 

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5.誰が信頼できるか、信用できないか、

ちゃんとみきわめよう。 

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 もし誰かに話をするのなら、大丈夫、信頼できると思う友だちにだけ話をして。

 

 友だちの中でも、勝手に他の人にしゃべったりする人は避けて、うわさ話なんてしない友だちを選ぼう。

 そこを見きわめることは、あなたの生活にとって重要なこと。

 ただ、あなたの人生には、あなたが信頼できる人が必要だってこともおぼえておいて。
 

 

生理のない女の子は…

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 さて、ここでは、生理がない女の子のために、女子友だちの中で生理の話にどう対応するか、ヒントをのせていくね。

 

 女子のセンパイたちが、こんなふうに言ってきたっていう例がたくさんあるの。

 

 後になるほど、自分の体の状態を深く話すことになるから、自分で、誰にはどう対応するのか考えて使ってね。
 

場面:お昼休みに女子友だちと一緒で、生理痛の話が始まったとき。
 

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 まず、自分の体のことは言わずに、軽く話を流す場合。

1.何も言わずに、友だちに週末の予定について質問するとか、話題を変える。

2.「ああ、大変だね…。強い時っていつもどうしてるの? 鎮痛剤とか、カイロで温めるとか?」など、アドバイスをしてみる。

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3.「わたし、あまり生理痛ってないんだよね」と言ってみる。もしあなたが知りたいと思ったら、「痛いのって、どんな感じなの?」って聞いてみることもできるよ。

4.「つらそうだね…」と、共感を示す。

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 ここからは、あなたに生理がないことまでを話す例。

 相手があなたの生理について聞いてきて、相手が本当に信頼できる友だちで、生理がないことをあなたが話そうと思うなら


5.「わたし、生理ないんだ。生理って本当たいへんなんだね…」と、自分の生理がないことまで話をして、相手のたいへんさにも心をくばる。

 ここからは、あなたが赤ちゃんを産めない体質であることまで言う例。これも本当に大切で信頼できる友だちだけのほうがいいね。

 

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6.「わたし、実は生理がなくて、子どもが欲しいなら養子縁組しかないんだ」と、生理がないところまで話して、相手がいろいろと聞いてきたら、「うん。でも、今は、子どもを作るのに不妊治療してる夫婦がたくさんいるんだって。7組に1組とか?」と、一般論の説明をする。

7.「わたしは生まれつき赤ちゃんできない体質なんだ。生理がなくて養子縁組で子どもを持つしかなくて…」と、少し踏み込んで話す。

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最後は、自分の体の状態まで話す例。でもこれは、本当に大切で信頼できる友だちだけだよね。

8.「わたし、実はこういう体の状態なんだ…」と、ネクスDSDジャパンのサイトにのっている、当事者の女性の体験談を読んでもらう。

 
 女子同士の生理についての会話にどう対応するかは、こんなふうにいろいろな方法があるんだ。

 

 たとえば「(鎮痛剤とかカイロとか)こうするといいらしいよ」とアドバイスしたり、どこが痛いのか聞いて、「つらそう…」と言ってみたり。

 ただ、もし誰かがあなたの生理について聞いてきたら、ただ単に「今、生理中じゃないんだ」と言ってもいいよ。これって別にウソをついてるわけでもないしね。こう言えば、相手は別にそれ以上聞いてくることはないと思う。

たとえば…

生理がないことがわかっているけど、

生理用品を持ち歩くことについて

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 生理用品を持ち歩くかどうかは、自分で決めていいよ。女子同士は生理の話題がよく出たり、生理用品の貸し借りがよくあるからね。そういうときのための対処法のひとつとして考えてみて。
 

 でも、何よりも大切なのは、自分がそんな場面に遭遇したときに、イヤな気持ちにならずに過ごせるかってこと。

 

 生理の話題は、周りの子たちが生理に慣れてくれば減っていくだろうし、自分に合っていると思う対応をいろいろ試してみてね。

 

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生理がない場合の、

水泳の授業やピルについて

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 覚えておいてほしいのは、生理って、期間も量も症状もみんなバラバラなんだ。

 

 だから、「わからない」って言っても全然大丈夫ってこと!
 

男子どうしの会話
 

「あまえ、毛が濃くなってきたな!」「おまえ、体くせぇ!」


「ヒロト、声変わりしてきた?」


「あそこが大きくなってさー。授業中にテント張った(笑)!」


「オレ、あの女の子が好きなんだよなあ。アプローチかけてみようかなあ…」


「なあ、オレ、昨日コンドームたくさん買ってさあ。おまえ、いる?」


「ユウト、おまえまだ小さいよなあ。いつ背が伸びるの?」


「ああー、毎日ひげ剃るのめんどくさい。けど、ひげも悪くないよな。おまえ剃ってないの? っていうか、おまえスベスベだなあ…」
 

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 女子の場合は、自分の気持ちを女子どうしで話すような、そんなおしゃべりが大好きなんだ。特に思春期はね。

 

 でも、男子どうしは、あんまりそういうことはしない。もちろん男子でもふだんのおしゃべりはあるけど、女子と違って、男子は短いジョークとか、ふざけた話とかが中心だなあ…。


 ただ、特に男子は、二次性徴の時期が幅広いし、程度の差もおおきい。なので、人によっては、ちょっとむずかしい時期にもなる。

 

 男子の中には、遠慮がなくて、ひどいことを平気で言ったり、暴力的なやつもいるからね。特に集団になると、そういうやつが何人かいるかなあ…。

 

 ただ、ちゃんと見てみると、そういうことをしないヤツもけっこういるよ。
 

 君が話したくないって思っていることは、他の男子友だちもあんまり話したくないって思ってる可能性もある。男子はみんな、けっこう同じなんだ。だから、話さないことについてはあまり気にしなくていい。


 でも、もし君の体の変化に対してイヤなことを言うヤツがいたら、「ああー、心配しないで。すぐ追いつくから」とか、言ってやったらいいよ!

 背の低い人は、映画のハリーポッターを見ればいい。主役のハリーポッター役のダニエル・ラドクリフっていう俳優さんは、身長が欧米ではずっと低い166㎝なんだけど、ものすごい映画ビッグスターなんだ。
 

 それと、もし君が、ペニスの大きさや陰毛のことが気になっていたら、集団では、別に何も言う必要はない。だいたい、他人をからかっているヤツって、実は、自分に自信がないヤツだからね。放っておいたらいいんだ。

 

ここで知っておいてほしい大切なコト

君の友だちが、自分の体とか、女の子と親しいことについて自慢してきたら、君はもしかしたら、ちょっとつらい思いをするかもしれない。

 

 でも、これは真剣に、マジにわかってほしいことなんだけど、性器の大きさなんかよりも、君の心、君の言葉、君の思いやり、君の親切心のほうが、ずっとずっと大切なんだ。

 

 本当、ここは押さえておいてほしい。そして、いつでもどんな場面でもこのことを思い出してほしい!


 自分の性器などの悩みについては、「次の次のステップ」のセクションにも情報が載ってるよ(14歳以上だけね!!)。
 

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プライベートな話を話すことについて
 

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 「プライベート・プライバシー」と「秘密」の違いについては先に話をしました。あなたの体の話は、「秘密」ではなく、自分の「プライベートな話」なんだってこと。

 あなたは自分の体の状態を「プライベートな話」にしておくことができるんだ。それで、自分にとって都合の良い時に、君の都合の良いところまで、必要な人に話をする。これは「秘密」とはかなり違うよね

 ここではDSDsのあるセンパイたちが、「他の人に自分のプライベートな話をすること」についてどう考えているか、紹介していくね。

CAISのあるマイアさん

Q:あなたは、知りあいには体の状態はどんなふうに説明しますか?


A:わたしの体の状態については、話すのが正しいと思ったときにだけ話しています。すべてを話す必要はないと思ってます。相手との話で、必要なのなら、どこまで言うかを考えます。もちろん、相手が信頼できる人かどうかも大切です。

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 ある人には、「生理がない」とまで言うかもしれません。さまざまな理由で生理がない女性も多いので、わたしもその程度までは話をすることはあります。ホルモンやピルを飲んで、あえて生理が来ないようにしている女性もいれば、スポーツをしていてすごい運動量で生理が来ないという女性もいます。


 生理がない理由とか具体的なことまで言う必要は感じてなくて、もし誰かに聞かれたら、「生理はないよ」くらいにしています。
 

 それに、自分が大丈夫だと思ってること以上の話をするつもりもありません。ギリギリまでなら、子どもを産めないということまでは言うかもしれない。でも、相手によります。みんなにそこまで知られたいとは思ってないですから。わたしの体の状態は、わたしの今までの16年を変えることはないし、わたしが誰で、人間としてどう成長してきたのかも変わらないですから。
 

 

スワイヤー症候群のあるエミリーさん

 わたしは自分の体の状態を人に話した経験がたくさんあります。それがカッコイイと思ってたから。自分はなにか特別な存在なんだって。

 

 親は秘密にしておくように言ってたけど、お泊りや修学旅行で会話が途切れた時に、「言いたいことがあるんだけど、ほかの人には言わないで。」って言って。

 

 そうすることで、聞く人の注目を自分に集めて、何か重要な秘密を打ち明けられているんだって気分にさせることができたんです。
 

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 私は人見知りで(少なくとも初めて会う人には)、普段、人に話をするときも必死だったので、スワイヤー症候群を持っていると言うときに、みんなが必死になってこっちを見ているのを見て、自分が万能感を持ってるように感じてたんだと思います。

 

 話をした時は、私はぜんぜん女の子であることには変わりないからって、すぐに安心させるようにはしていましたけどね。

 でも、年齢が上がるにつれて、周りの反応が変わっっていきました。8歳の時は、みんな、わたしの体の状態を、ちょっと変でも興味深く感じてたみたいだったんです。


 でも4年後、子どもを産めないことを話したら、周りの空気が重くなって…。それはわたしが望んでいた空気じゃなくて、あわれむような感じになって、自分をみじめに感じたんです。その後の数年間、自分の体の状態については、お医者さんと親にしか話さなくなりました。他に人に話さなくなると、自分でも自分の体の状態について考える必要がなくなって、そうなると実感もうすれていきました。
 

 今はまた自分の体の状態について話すようになってます。話す相手はほとんどが大学のルームメートですが、他の親しい友だちもいます。今のみんなの反応は、昔のクラスメイトとはかなり違います。

 

 一番多い反応は、一種の「混乱」です。最初は私の体の状態に対する混乱。次が、なぜそれを話したのかという混乱です。私の話を聞いた人のほとんどは、私の体の状態を恥ずべき医学的秘密のように思うんです。別に悪意を持たれるわけじゃないですが、わざわざ言われても…って感じで…。
 

 この話をしたからといって、友だち関係が終わったり変わったりしないのはいいのですが、みんなが性分化疾患とは何かを理解し、なぜわたしが周りの人に伝えることが大切だと思っているのか理解してほしいと思っています。

 

 わたしは一般的な女性とはかなり大きな違いがあります。私はただ知ってもらいたいだけなんですが、子どもの頃から自分の違いを軽視してきた時間が長くて、今、どう説明すればいいのか、どう強調すればいいのか、分からなくなってるのかもしれません。
 

ボーイフレンドやガールフレンドに話すこと
 

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 ボーイフレンドやガールフレンドに、どんなふうに自分の体の状態の話をするのか、気になってる人もいると思う。ぜんぶを話したいと思っているのか、あまり話したくないと思っているのか、それぞれだと思う。


 みんながみんな、ボーイフレンドやガールフレンドに、すべてをさらけ出してるわけじゃないんだ。

 

 セックスするときに初めて自分の体の状態について話す人もいれば、もっと早いタイミングで話をする人もいる。あと、ある程度関係が深まるまで、まったく話題にしないっていう人もいるんだ。
 

 どこまで、誰と話をするかは、100%あなたが決めたらいい。

 

 もちろん、初めてのデートで自分の体のすべてを話す必要はない。

 

 あるところまでは、自然に話題になることはあるかもしれないし、あるところからは、話すということはめったにないかもしれない。

 

 どの程度まで話したいかちゃんと考えて、心の準備ができたら伝えればいいんだよ。

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(4)自分編

「ボディー・イメージ」って何?

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 ここで話す「ボディ・イメージ」というのは、自分が自分で感じている「体のイメージ」ということ。


 例えばだけど、あなたも友だちが「私太りすぎてて…」みたいなこと言うのを聞いたことがない? でもその友だちはどう見たってスリムで、太っているなんてとんでもない。「そんなことないよー」って周りの子が言うだろうけど、本人は「私は絶対太っている」と思ってたりするの。


 これは、その子の心の中の「自分の体のイメージ(ボディ・イメージ)」が、そうなっているということなんだ。


 特に思春期から青年期にかけてだけど、みんな自分を他の人と比較して、周りを見まわして、自分に起きていることが「ふつう」だと思いたくなるものなの。

 

 そしてそういう時は、自分の「ボディ・イメージ」が、現実の自分とはかなり違って、ダメなものに思えてしまいがちになるんだ。
 

 人は、自分でイヤだなあとおもってるところ(例えば、そばかすが多いとか、髪の色が好きじゃないとか、眉毛が濃いとか、足が大きいとか、胸が小さいとか、首が長いとか、顔がきれいじゃないとか、ニキビが多いとか)、そんなところばかり気に向いてしまう。


 僕たちにもそういう思いがあったし、DSDsのない周りの友だちも同じようなことを言っていた。きっと君も同じような思いをしていたり、周りの人がそう言っているを聞いているんじゃないかな。
 

 こういう悩みは、「ボディ・シェイム」という。シェイムは「恥ずかしさ」という意味。自分の顔やら鼻やら体つきやら、そういう体の部位を恥ずかしく思うこと。これは、DSDsがあるないに関係なく、多かれ少なかれみんなが体験して、悩んだり解決したりしてきてることなんだ。
 

 もし君が、自分の体のことを恥ずかしく感じて、そこから抜け出せなくなっていたら、代わりに自分の体の好きなところや、何かを作ったり、書いたり、自分の体でできるスゴイことを考えてみるようにしよう。

 

 どうか、他人の言う言葉で落ち込まないようにして。他の人にあるものをいちいちうらやんで時間をムダにするのではなく、自分にあるもの・できることを大切にしてほしいな。

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自分の体をポジティブにする

 自分では変えられないことばかりに気をうばわれるのではなく、自分の体の健康を大切にして、気分を良くすることを積極的に考えるようにしてほしいな。


おいしいものを食べよう

 

 くだものとか野菜とかって、バカみたいとか思ってない?でも、くだものとか野菜って、他の食べものにはない栄養とか自然なエネルギーがあるんだよ。


スポーツして体を動かす

 

 体育会系なら試合に向けてトレーニングしたり、文化系でもなにか好きな運動することは、体と心の成長を助け、気分が楽になるのに役立つよ。
 

他の人の役に立つ

 

 ボランティアってバカにしてない? でも、ボランティアは、自分が良いことをしているように感じられる、けっこういい方法なんだ。だから、老人ホームにお手伝いに行ったり、地域の年下の子どもたちと一緒にクッキーを作ったり、コミュニティのイベントを企画したりしてみよう。体っていうのは見た目で決まるんじゃない。自分の体で何をしているかっていうことで決まるものなんだ。

 

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芸能人やモデルと比べても意味はない

 

 美しさとか魅力というのは、アイスクリームのように、いろいろな形と味があるの。確かに芸能人はみんなに好かれる「バニラ味」かもしれない。でも、自分の味を決めることができるのは自分だけで、それが自分を形作るんだ。ストロベリー味やチョコ味、ミント味のアイスクリームが好きっていう人もいるでしょ?


自分らしさを大切にしよう

 

 明るい人でも、周りの人を粗末に扱ったり退屈にさせたりすることもある。大切なのは、君のキャラクター、ユーモア、そして何より心なんだよ。


お肌は大切に

 

 ニキビが多かったりすることもあるかもしれないね。お肌は大切だから、ちゃんと顔を洗ったり、日焼けどめを塗ったりしよう。肌の手入れも健康の一部だよ!


趣味を持とう!

 

 歌うのは好き? 絵を描いたりすることや、モノ作りに興味はあるかな? ハイキングはどうだろう? これは誰よりも好き!ということに誇りを持って、それを大切にして!


がんばって練習しよう!

 

 一所懸命がんばって、なにか結果が出ることほど、満足できることはない。人生は当たり外れで決まるものじゃないよ。スポーツでも勉強でも趣味でも、コツコツと努力して成果が出ることはたくさんある。だから、その道の先輩を見つけて、いろいろ教えてもらいながら、好きなことに熱心に取り組んで!

 

創造的になろう

 

 誰でもだけど、君にだけは見えていて、まだ他の人には見えていないことってあるんだ。君だけができそうなことをみつけて、それを伸ばしていこう!


良いリスクを取る

 

 リスクは悪いことばかりじゃない。それが選択してもいいリスクかどうかを考えよう。積極的に、コンテストや学校の特別プログラムに応募してみよう。挑戦しなければ、成果も出ないからね。
 

すばらしい友情を築こう

 

 友だち関係っていうのは、君が必要とし、また相手も君を必要とする、とても大切な関係なんだ。それに、君の人としての成長にもとっても大事。安心して一緒にいられる友だちや、信頼できる友だちに囲まれよう。君を尊重してくれる友だちを見つけよう。それに友だちは数の問題じゃないよ。一緒にいて安心できることが重要なんだ。
 

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自分の体にイヤなところがあって、どうにかしたいと不安になってるなら…

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 君が思っている以上に、自分の体にイヤだと思うところを持っていて、そこを変えたいと思ってる人はいる。ジムに行ったりする人もいれば、食事改善をする人もいるし、ピアスをしたり、髪を染めたり、短くしたりする人もいる。
 

 君も知ってるかもしれないけど、自分の見た目を変えるために、美容整形手術をする人もいるんだ。


「毛穴が大きい!」
「お尻が小さすぎる…」
「両方の乳房の大きさが違うから、片方を大きくしたい」
「鼻が大きすぎる」などなどなどなど・・・

 

 そして、健康問題がない人でも、「陰唇が大きすぎるんじゃないか…。小さくしなくちゃ…」とか、「アンダーヘアを永久脱毛したい」と思う人女の子もいれば、「包茎は女の子にモテナイから、手術しなくちゃ」と思ってる男の子もいたりするんだ。


 性器や体の美容整形手術(見た目を手術で変えること)って、ものすごくお金儲けをしている業界でね。不安ばかりをあおるの。そういうところの広告とかを見てると、手術で君の見た目が良くなったり、君の人生が良くなるように錯覚してくるよね。

 

 でもね、体の見た目を変えたいっていう思いは、身体に不安があるときによく起こるの。

 

 そういう不安ばかりになっている人は、鏡を見ると、自分がイヤだと思っているところばかりに目が向いてしまう。

 

 でも、本当の問題は身体の一部ではなく、心の中にあることが多い。

 

 自分の体の見た目を変えたことで気分が変わる人もいるけど、ここもここもと、もっと変えたいという欲求が強くなってしまうこともあるの。

 

 整形手術で体を変えることは出来るけど、見た目を変えたいという気持ちの奥にある複雑な感情を変えることはできないんだ。


 体の見た目を変えたいと考えているのであれば、まずはカウンセラーやサポートしてくれる人に相談してみて!

 

 なぜ自分はそうしたいのかを考え、その決断が正しいかさまざまな情報を集めてもう一度考えるようにしてほしいの。
 

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海外国家機関DSDs調査報告書

ベルギー国家機関性分化疾患/インターセックス調査報告書
オランダ社会文化計画局「インターセックスの状態・性分化疾患と共に生きる」表紙

 近年、教育現場や地方・国レベルで、LGBTQ等性的マイノリティの人々についての啓発が行われるようになっています。その中で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が取り上げられるようになっていますが、昔の「男でも女でもない」という偏見誤解DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。

 どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。

 ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。

DSDs総合論考

 大変残念ながら,大学の先生方でもDSDsに対する「男でも女でもない」「グラデーション」などの誤解や偏見が大きい状況です。

 

 ですが,とてもありがたいことに,ジェンダー法学会の先生方にお声がけをいただき,『ジェンダー法研究7号』にDSDsについての論考を寄稿させていただきました(ヨヘイル著「DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス) 排除と見世物小屋の分裂」)。

 今回,信山社様と編集委員の先生方のご許可をいただき,この拙論をブログにアップさせていただきました。

 DSDsの医学的知見は大きく進展し,当事者の人々の実態も明らかになってきています。ぜひ大学の先生方も,DSDsと当事者の人々に対する知見のアップデートをお願いいたします。

 

 (当事者・家族の皆さんにはつらい記述があります)。

ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
性分化疾患YouTubeサイト(インターセックス)
ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会
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