日本性分化疾患患者家族会連絡会

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日本性分化疾患患者家族会連絡会:ネクスDSDジャパンは、世界のDSDs患者家族会・サポートグループと連携し、主にDSDを持つお子さんとご家族のための医療ケア、子育ての疑問などについて、世界中のサポートグループからの情報を発信し,日本の性分化疾患各種患者家族会との連携をしています。

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オランダの文部科学省に当たる教育文化科学省の解放政策局の要請により、政策研究機関である社会文化計画局が作成した、世界ではじめての国家機関による、DSDs(体の性の様々な発達:性分化疾患)を持つ人々の実態調査書を日本語に翻訳しました!

 

探索的調査としながらも、DSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。

 

近年日本でも、教育現場や地方・国レベルで、性的マイノリティの人々の一つとしてDSDsが取り上げられるようになっていますが、DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 

性教育などでDSDsについて触れたり、地方・国レベルでDSDを持つ人々と家族についての政策を進言したいとお考えの皆様には、とても参考になる資料です。是非ご参照下さい。

オランダ社会文化計画局報告書

 「インターセックスの状態/性分化疾患と共に生きる」

第4章 よくある質問
  

 この章でご紹介するのは、性分化疾患を持つ子どもの親御さんからよくお聞きする質問と、それに対する返事です。ここでまとめた以外の疑問については、ハンドブックの他の章で触れているかもしれませんので、そのよう場合は目次を調べてみてください。

シェリル・チェイスさん

心の性別と、セクシャリティについての質問

Q:私の娘にはピンクの服を着せるべきですか?私の息子には青い服を着せるべきですか?

 

A: 親御さんの多くがそうしているように思われるかもしれませんが、無理をしてまで、娘さんにピンクの服を着せたり、息子さんに青い服を着せたりすることは全く必要ありません。それに、女の子にはピンク、男の子には青といったことに、わざわざ無理矢理反抗する必要もありません。子どもに何を着せるか、人形を渡すのかトラックのおもちゃを渡すのかは、お子さんがあらわす性自認を単純に決定するものではありません。性自認とはおそらく、(息子さんや娘さんが生まれる前の)胎生期に、子どもの脳に起きること、そして生まれてからの大きな世界の中でお子さんに起きることに大きく影響されているらしいからです。子宮の中で起きること、お子さんがテレビで見るもの、お母さんが買い物に行く時にお子さんが観察しているもの、そういったものおそらく全てが、お子さんが性別というものを理解することや、特にお子さん自身の性自認の理解に影響すると思われます。

 

 ですので、皆さんがお子さんに似合うと思う服を着せてあげればいいのです。でも、お子さんの将来の性自認は、皆さんが与えた服やおもちゃとは、おそらくあまり関係しないか、もしくは全く関係しません。基本的には、皆さんが他の男の子や女の子に接するのと同じように、自分のお子さんに接するべきです。お子さんが食べたいと思うものをあげたり、興味を持つことをサポートしてあげてください。女の子がトラックのおもちゃで遊びたがったり、男の子が人形で遊びたがったりすることがあるということも覚えておいてください。お子さんが過去に、彼の性別には合わないようなことに夢中になっていたからといって、判定された性別を彼が拒否することになるとは限らないのです。(性別に合わない行動をしたからといって、皆さんやお子さんが病気だったり変になったりするわけではありませんよね)。

 

 お子さんが、自分に決定された性別は正しくないと思うようになることが、少ないながらあるかもしれません。性分化疾患を持つ人々(そしてそうでない人々も)の中には、自分の性別を変える決心をする人もいますし、更に、自分の身体の性別を手術やホルモン療法で変えようと決心する人もいます。でも、性分化疾患を持つ人々の大多数は、生まれた時に決定した性別に合ったまま生きて生活していらっしゃいます。

 

 お子さんの性別を保証する責任を、皆さんひとりで背負わないでください。お子さんが特定の性別にフィットするよう「無理に努力する」ことが、みなさんのやるべきことではありません。お子さんは、自分自身にとって正しいことを表現していかれるのですから。

 

 

Q:心の性別と、性に関する体の発達、そして性的指向はどのように違うのですか?性自認と性別の判定はどのように異なるのですか?

 

A: 第2章の「お子さんの成長と、子どもにどのように話をしていくか」の最初のほうをご覧ください。これらの用語の説明をしています。中には、性に関する体の発達と心の性別を同じことも意味する言葉として使っている人もいますが、それでは何が何か分からなくなりますので、この本では、別の意味を持つ言葉として使っています。

ケイティさん

イアン・マッケランさん

Q:私の子どもは同性愛者になるのでしょうか?

 

A: なぜある人が同性の人を好きになり、ある人は異性の人を好きになり、ある人は両方を好きになるのか、その理由は分かりません。けれども、誰も自分の性的指向を変えられないということだけは分かっています。そして、性的指向にかかわらず、誰もが幸せで充実した人生を送れるということも。皆さんのお子さんは、いつまでもあなたのお子さんですし、私たちは、皆さんがいつもお子さんを愛し、支えていかれることを望んでいます。もし息子さんや娘さんが同じ性別の人を好きだということが分かった場合、私たちが生きる社会に存在する偏見に対して、皆さんの愛情と理解、支えがより一層重要になってきます。

 

 お子さんが性分化疾患を持っているからといって、すぐさま、息子さんや娘さんが同じ性別の人に愛情を感じるようになるというわけではありません。研究者の中には、性分化疾患のあるタイプでは、同性の人を好きになる傾向があると考えている人もいますが、現実的には、どんな子どもであれ、その子の性的指向をはっきりと予想することはできないのです。それは性器の問題なのか遺伝子の問題なのか、何か別の問題なのか分かりませんし、息子さんや娘さんが将来、異性の人を愛するようになるのか、同性の人を愛するようになるのか、それとも両方ともなのか、はっきりとは分かりません。

 

 同性の人を好きになる人々の大多数は、かなり初期から、自分は同性の人が好きだということに気がついていたということを知っておくのは役に立つでしょう。そういう人のほとんどは、自分の親(あるいは別の大人)が、自分を同性が好きに「なるようにしたのだ」なんて考えません。親が仕向けていけば、子どもは特定の性的指向を持つようになるなんて思っている人もいますが、私たちは、男の子に人形を与えれば同性の人を好きに「なるように」できるとか、ましてや、男の子に無理やりフットボールをさせれば、そのまま異性の人を好きに「なるように」できるとは思えません。

 

 事実、たいへん多くの科学的研究が、同性を好きになる人と異性を好きになる人の間に、なにか育て方の違いを見つけようとしましたが、何も見つからないままに終わっています。そして、とても重要なことなのですが、たとえ、その人が宗教的理由や家族から受け入れられないという理由から、自分の愛情が向かう方向を「変えたい」と思ったとしても、どんな治療も、どんな無理強いも、性的指向を変えることはできないということが、研究で示唆されています。私たちは、性的指向を変える目的で行われた治療によって心を損なわれた人々を知っています。彼らは、自分が同性の人を好きになるということで家族から受け入れられないという思いに一番傷ついているのです。

 

 更に、同性の人を好きになる人々には、自分の愛情に正直であることで家族から非難されて、傷つき、家族から遠ざけられたように感じた人もいるということを、私たちは知っています。こうなると、子どもにも親子関係にもたくさんの問題を抱えることになります。自分の親に満たされないものを感じる幼い子どもや十代の子どもは、その満たされなさを「埋めあわせする」ために自分自身を傷つけるようなことをすることがありますし、後に親に怒りを持つようになるかもしれません。同性の人を好きになる人々は、家族からの拒絶を恐れていたり、恥ずかしくて家族に打ち明けられない人が多いということも私たちは知っています。そういう人達は、家族からも自分自身からも遠ざかってしまうか、家族から、自分の大事な愛情を持った関係を隠すことになるかもしれません。(もし皆さんが、10代や若者の時、自分のボーイフレンドやガールフレンドのことや、付き合っていく喜びや問題、婚約・結婚のことを、両親や家族、友達に何も話せないとしたら、どう思われますか?)

 

 性分化疾患を持っている人の中には、自分が同性の人を好きになるからダメなのだという理由だけで、治療(性ホルモン注射や性器の手術)を受けようとされる方が時々いらっしゃいます。似たようやことでは、自分が同性の人を好きになるということを両親に「埋め合わせ」しようと、学校の様々なこと(スポーツや進級など)で一番を取ろうとがんばりすぎるという人もいます。彼らは、そうすることで、自分の両親との関係をいいものにしたいと願っているのです。

 

 もし、お子さんが同じ性別の人が好きだと分かった場合、息子さんや娘さんが同じ性別の人を好きになる理由を探そうとするのではなく、ただそれを受け入れてあげるのが一番大事だと私たちは思います。私たちは、自分が完全に受け入れられないことには、何かの説明を求めがちです。何かの説明を求めるのは、何か、誰かの責任にしたいという思いからであることがよくあります。変えようがないこと、誰も選びようがないことで、皆さんご自身やお子さんを責めることは、ただただ深い傷を与えてしまうだけになってしまいます。

 

 異性の人を愛する人と同じように、同性の人を好きになる人も、健やかで、愛し愛される人になることができます。専門の分野や社会的に成功していくこともできます。親になることも(普通の子育てや養子縁組を通じてそうされることがあるのです)。お子さんが同じ性別の人を好きになろうとなるまいと、息子さんや娘さんは、生涯を共にするあなたのお子さんなのです。子どもの愛情が向かう方向に関係なく、お子さんを受け入れていくことは、親子の愛情関係を傷つけないことを意味します。お子さんが同じ性別の人を好きになることを受け入れるのは、たやすいことではないことがあると、私たちは知っています。でも、もしお子さんが同じ性別の人が好きであっても、皆さんの他のお子さんと同じように、息子さんや娘さんを、受け入れ、愛してあげていただきたいのです。

シェリル・チェイスさんとロビン・マティアスさん

Q:もし子どもが、判定された性別とは違うと言った場合はどうすればいいのですか?

 

A: ほとんど全ての子どもは、「反対の性別」によく見られるようなものごとに興味を持つことがたまにあります。性分化疾患を持つ子どもの中には、そのような傾向が平均よりも高い子どももいます。そして性分化疾患を持つ子どもの親御さんは、ご自身のお子さんの人とは少し違った体の成長のありようを先に知っているために、そのようなことに気がつきやすくなっているということもあります。

 

 性分化疾患を持つ子どもは、男の子で、たとえ普段女の子っぽく見えるように振舞っていても、女の子で普段男の子っぽく見えるように振舞っていても、生まれた時に判定された性自認のままの方が大多数です。お子さんがそういう振る舞いをするからと言って、息子さんや娘さんが間違った性別だったということにはならないのです。このことについては、第2章をご覧ください。

 

 稀ではありますが時に、息子さんや娘さんが、生まれた時に判定された性別とは違う性自認を一貫して主張することがあります。もしこのようなことが起きたら、たいていの場合かなりはっきりしたものになるはずです。子どもはかなり強い調子で「僕は男の子なんだよ!」「私は女の子なの!」と言ったりするかもしれませんし、自分が呼ばれたいと思う新しい名前を言ったりしてきます。間違って決められたと感じている子どもは、理解されてないと感じていたり、混乱しているのでしょう。

 

 もしお子さんの性別が間違っていたと感じられることがある場合は、担当のお医者さんに、性自認の問題についての子ども支援が専門の児童心理学者や児童精神科医を紹介してもらいましょう。そして皆さんの疑問・関心を専門家と話し合い、どうすればお子さんを支えていけるか考えていってください。子どもはたぶん今判定されている性別じゃないのではとお考えの場合は、たとえ遠方でも、この領域の経験豊富な専門医の元で性別の再決定を行うようにしてください。

 

 そういうお子さんは、やっと自分の感じていることと周りが思っていることとが合致したと感じますので、性別を再決定することで安心感を得ることが多いのですが、ご両親はお子さんの性別の再決定をストレスに感じられることが多いようです。これは、ご両親のアイデンティティも同時に変化するからです。社会的性別がまだはっきりしなかったり、訂正したりするお子さんを支えていくご両親は特に、同じ疾患を持つ子どものご両親や、そのような方が集まるサポートグループ、メンタルヘルスの専門家にを探して、ご自身の不安を鎮められるようにしていって下さい。大事なことなのでよく覚えておいてください。お子さんと同じように、皆さんもサポートとケアを受けていいのです!

 

 

   

ジェーン・ゴトーさん

子育てと夫婦関係についての質問

Q:自分の子どもの性分化疾患を、嫌だと感じてしまいます。私は悪い親なのでしょうか?

 

A: とんでもありません!第1章をご覧ください。なぜそういうふうに感じるのか、それに対してどうすればいいのか、なぜご両親はお子さんの性分化疾患について、悲しかったり、心配だったり、怒りを感じたり、混乱したりするのが普通なのか、そのことについて書いてあります。

 

 

Q:子どもが性分化疾患を持って生まれたことで自分を責めるなど、感情が大きく動くのは普通のことなのでしょうか?

 

A: そのとおりです!第1章をご覧ください。なぜ皆さんが悔やんだりするのか、それに対してどうすればいいのか、そのことについて書いてあります。

 

 

Q:なぜ私たち夫婦は気持ちが食い違うのですか?

 

A: 皆さんご夫婦はそれぞれに違った人で、違うように体験し、違う疑問・関心を持ちます。そのどちらもお子さんに愛情を持っていることには変わりないのですが、だからと言って、皆さんのお子さんや、お子さんの性分化疾患のことや、お子さんの治療について、同じように感じているとは限らないのです。皆さんと皆さんの奥様・ご主人には、このような問題について話し合える共通のものが持てるよう、このハンドブックを読まれることをお勧めします。そしてこのような体験について親御さんがつづられた経験談を第6章に載せていますので、ぜひ読んでみてください。もし夫婦の食い違いが大きなストレスになるようなら、皆さんを支えてくれるカウンセラーを探してみるのもいいかもしれません。

治療とケアについての質問

Q:性分化疾患とは何ですか?何が原因で起こるのですか?

 

A: これについては第1章をご覧ください。第5章の体の性と外性器の発達の資料も参考になります。 

 

 

Q:私の子どもは妊娠できるのですか?

 

A: 性分化疾患を持つ人が生物学的なつながりのある子どもを持つことができるかどうかは、それぞれ固有のからだの状況や治療のあり方によって違ってきます。それに、お子さんが親になるかどうか決める頃に、生殖医療技術がどれほど進歩しているかどうかによっても違ってきます。性分化疾患を持つ子どもの中には、その疾患ゆえに現在の時点では不妊ということになる子どももいますが、ずっと先の将来には、医療技術の進歩によって、生物学的なつながりのある親になることもできるかもしれません。

 

 お子さんの場合で不妊が問題になりそうであれば、親になる他の方法について、息子さんや娘さんと正直に話しあうのに早すぎるということはありません。お子さんが何を知りたいのか、皆さんが思うところに沿っていけばいいのです。お子さんの疑問に皆さんが応える時、どうか覚えておいてください。皆さんとお子さんとのつながりは、皆さんがお子さんを想う気持ちで出来上がっているのですから、お子さんとお話をされるときに、悲しくなったり申し訳なさに自分の身を守りたくなっても全然おかしくないのだということを。

 どうやってお子さんと不妊の可能性について話をするか、第2章をご覧ください。第2章では、不妊なのだから安全じゃないセックスをしてもいいんだと息子さんや娘さんが考えたりしないよう、どのようにセックスについて教えていくかヒントも示しています。

 

 

Q:子どものこの状態は遺伝性のものなのですか?次の子どもも同じ状態なのでしょうか?私の親類にも同じ状態を持った人がいるのでしょうか?

 

A: この質問への答えは、お子さんの性分化疾患の種類によります。もしご心配であれば、お医者さんに相談してみてください。また、お子さんの性分化疾患の原因が理解できるよう支援してくれる遺伝カウンセラーを紹介してもらうのもいいでしょう。

 

 

Q:担当のお医者さんが、この子の性分化疾患のことをあまりご存知ではないようです。どうすればいいですか?

 

A: お子さんの疾患についてもっと情報を集めるところから始めましょう。図書館に行くのもいいですし(特に医学書が役に立ちます。図書館司書に訊ねてみてください)、患者会の情報も探しましょう。通っているお医者さんが、お子さんの担当医として、お子さんの性分化疾患にあまり詳しくないことがはっきりしたなら、皆さんが見つけた資料について話し合うことで、お医者さんに情報を伝えるお手伝いができるかもしれません。子どものために何とか一緒にやっていきたいんだという態度で情報を共有すれば、失礼には当たらないでしょう。もしこれでお医者さんがもっと調べるようになってくれたら、信頼して一緒にやっていけるでしょう。しかしもしお医者さんが、お子さんの最適なケアに必要なだけの経験、知識、技能を持っていないようなら、セカンドオピニオンとして別のお医者さんを探してください。もしセカンドオピニオンの先生が遠方であったとしても、お近くの最初の先生と協働してくださるということもあるかもしれませんし、そうでなかれば、時間と距離がかかりますが、より専門の医師のところに通うことにする決意をされる親御さんもいたっしゃるでしょう。サポートグループでは、親御さんが見つけた知識と経験豊富でしっかりしたお医者さんの情報を持っていることが多いでしょう。

 

 

Q:病院に通うことについて、子どもにはどう理解してもらえばいいでしょう?

 

A: 次に病院にいくときに、約束の日はいつなのか、誰と行くのか、何を行うのかその予定についてお子さんに事前に話し、心の準備をしておいてもらうのがいいでしょう。まだお子さんが小さい場合には、ペットやお気に入りの人形で病院にいくことを演じてみせるというのもいいでしょう。子どもに親の役をやってもらって、ペットや人形をお医者さん役の皆さんのところに連れて行ってもらうのです。病院ではどのようなことをするのか説明して、ペットや人形でやって見せてあげてください。そして実際病院に行くときにも、ペットや人形を一緒に連れて行ってください。

 

 何度もお医者さんのところに通うのは、特に性器の検査がある時には、お子さんにとってストレスになることもあるかもしれません。本当に必要な検査なのかどうか確認し、できるだけ検査や処置が少なくてすむような方法をお医者さんといっしょに考えるようにしてください。

 

 お子さんの健康を守るために何が役に立って何が役に立たないのか考える時には、皆さんご自身の親としての直観も大事にしてください。大学病院を利用される場合には、お子さんの診察の時に同席する医学生や訓練生の数を減らしてもらうこともできます。もし診察での周りの態度でお子さんのプライバシーや尊厳が傷つけられるように思われるなら、一度診察場面を止めてもらって、お子さんが安心していられるよう皆さんができることを考えるようにしてください。

 

 成長に合わせて、お子さんと担当のお医者さんが直接お互いに話ができるようにしていきましょう。そうしていくことで、お子さん自身が自分の治療について理解し、最終的には自分で管理ができるようにしていくのです。それにお子さんには、自分で自分のことをちゃんとできる子だと、皆さん親御さんが信頼しているというメッセージにもなるでしょう。青年期になったら、お子さんが信頼できるケア提供者とひとりで話せる機会を作ってあげてください。そうすれば、親の前では言いにくいような問題(性機能の話など)を個人的に話すことができるでしょう。どんなケア提供者がいいのかは、お子さん自身に決めさせてあげてください。

 

 治療についてお子さんを支えていく方法については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか?」も御覧ください。

 

 

Q:思春期についてどのようなことを考えておけばいいですか?

 

A: 思春期については第2章をご覧ください。

 

 

Q:子どもが落ち込んでいます。どうすればいいですか?

 

A: もしお子さんが悲しんでいたり引きこもりがちになっている、または食欲がなかったり眠れなかったりするような場合は、お子さんはうつ状態にあるかもしれません。お子さんの担当医に相談して、メンタルヘルスの専門家(児童心理学者や児童精神科医、臨床心理士)を紹介してもらってください。お子さんが今どんな気持ちなのか話し合う方法については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか」も御覧ください

社会生活上の質問

Q:子どもの性分化疾患のことを、周りの人にはどのように話せばいいですか?

 

A: ご家族や幼稚園・保育園の先生方、その他お子さんの性分化疾患のことに関わりそうな人たちへの話し方のヒントについては、第3章「周りの人にはどのように話すか?」をご覧ください。お子さんへの話し方については、第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話していくか」をご覧ください。   

 

 

Q:学校での着替えなどでは息子はどうしたらいいでしょう?

 

A: どうすれば着替えを個室対応にしてもらえるかお子さんと話し合いましょう。その上で学校の先生と話し合ってください。「先生や保育士さんにどのように話すか。そのヒント」でも資料を提供していますので、ご活用ください。 

 

 

 

Q:他の子どもの前で着替えする場面を避けるために、体育の時間は休ませるようにするべきでしょうか?

 

A: ただ単に息子さんや娘さんの性分化疾患のことを理由に、他の子どもさんも参加する活動を止めさせるようなことはしてはなりません。もしお子さんが他の子どもの前で着替えをするのが嫌な場合は、一人で着替えができるスペースを使う手配ができるか学校と話し合ってください。先生との話し合いには、「先生や保育士さんにどのように話すか。そのヒント」をご活用ください。

 

 

Q:もし子どもが学校でいじめられていたら、どのように声をかけてあげたらいいですか?

 

A: 第2章「子どもの成長と、子どもにどのように話をしていくか?」で、いじめへの対応についてたくさんの情報を載せていますので、一度読んでいただければと思います。ここでは基本的なポイントをいくつかまとめておきますが、お子さんと話をし支えていく心構えについては第3章「周りの人にどのように話すか?」をご覧ください。

 

 覚えておいていただきたいのは、ほとんどすべての子どもは、人生のどこかの時点で友達からいじめを受けるということです。背が高すぎる、低すぎる、痩せすぎ太りすぎなど、様々な理由づけで子どもはいじめを受けるのです。皆さんのお子さんも、男の子っぽい女の子っぽい振る舞いや、からだや顔の見た目を理由にされて、いじめを受けることがあるでしょう。皆さんがお子さんのためにできる一番大切なことは、しっかりと腰を据え、耳を傾け、抱きしめてあげる、そしてちゃんと聞いているよということを示すために、お子さんの言ったことをそのまま返してあげることです。たくさんの子どもがほんとうに様々なことを理由にしていじめを受ける時があり、時に子どもというものはとても意地悪に、残酷にもなりえるのだということを、お子さんのこれまでの体験から思い出してもらうのもいいでしょう。甘い言葉で言いくるめて魔法のようにお子さんの心の痛みを消し去ってしまうとするのはやめましょう。それではまた何かが起きた時に、自分がどう感じたのか子どもは親に言えなくなってしまいます。いじめを受けるときは、他のお子さんと同じように、皆さんのお子さんもこころの痛みと悲しみをちゃんとやり遂げていかねばならないのです。これは、私たち全員が、人として、立ち向かっていかねばならないことなのです。このハンドブックでご紹介しているような、皆さんからの支えや、社会的サポートによって、お子さんが成長の過程を歩みやすくするのを手伝っていくことはできるのです。いじめを回避するようなスキルをいかに身につけていくかを学ぶのに、カウンセラーに手伝ってもらうのもいいでしょう。

 

 理解しておいていただきたいのは、お子さんのからだが問題なのではなく、いじめやからかいこそが問題なのだということです!もしそんなことが続くようであれば、担任の先生や教頭先生・校長先生などに、どうすればいじめを減らすことができるかご相談してください。学校は、すべての子どもが、受け入れられている歓迎されていると感じられるような場所を用意していなければなりません。そしていじめが発見された時には、学校はそれに対処する義務があるのです。もし子どもが確かにいじめを受けているなら、そういう不適切な行動を減らすよう、指導が行われることになるでしょう。ほとんどの学校では一般的に、世の中には様々な人がいるのだということに気づいてもらう教育を試みています。世の中には様々な状況を持った人がいるという授業があれば、お子さんも他の子どもさんも、少数の人に対しての差別をしたがる人に対抗する言葉を持つことができるようになります。  

第3章のまとめ

第5章 資料集