
家族のためのハンドブック
DSD Guidelines Handbook For Parents

ようこそ!家族のためのハンドブックへ!
こちらは、アメリカで発行されている「DSD Guidelines Handbook for Parents」の日本語翻訳版のページです。
この「DSD Guidelines Handbook for Parents」は、ローソン・ウィルキンス小児内分泌科学会(LWPES)や、アメリカ小児医学会(AAP)、ヨーロッパ小児内分泌学協会(ESPA)、当事者団体であるISNA、日本小児内分泌学会性分化委員会などのメンバー・専門家ら約40人以上が集まった2006年の国際会議において合意・採択された、性分化疾患に関わる医療の新しいガイドラインに合わせて、Consortium on the Management of DSDが作成したものです。
このハンドブックは、DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)を持つ子どもの親御さんたち、成人になったDSDを持つ皆さん、そのケアに当たる臨床医、そして支援者の方々の多大なる協力によって作成されました。DSDを持つお子さんの親御さんにしか分からないような、日々のさまざまな思い、どうすればいいのだろうという気持ち・疑問が、日常レベルから記述されているのが特徴です。
DSDを持つお子さんの親御さんのみなさんには、役に立つ情報や具体的なアドバイスがたくさん書かれているのですが、日本では長らく翻訳が出されていませんでした。私たちネクスDSDジャパンは、このハンドブックの翻訳権をいただき、日本語版を皆さんにご覧いただけるようにしました。

ここでご紹介しているハンドブックはアメリカで作成されたものです。欧米と日本とでは文化差や、子どもの発達・成熟には大きな違いがあります。また、性分化疾患は、同じ診断のつく体の状態でも個々に状態像は異なり、全てに当てはまる100%の方法というものはありません。ですので、ここに書いてあることが必ずしも正解ということにはなりません。欧米でも指摘されていますが、最も大切なのはお子さん個々の理解力の発達やご家族の状況です。話すか話さないかということも含めて、その答えはそれぞれのご家庭によって異なります。お子さんの体の状態・発達や、精神的な成長について、担当のお医者さんや児童精神科医、臨床心理士などとよく話し合った上で、ご家族それぞれの方針を立てて行っていただければと思います。

第1章
お父さん・お母さんへ
お父さんお母さん。ちょうど皆さんが、自分のお子さんが何らかのDSD:体の性の様々な発達(性分化疾患)を持っていると分かったときであれば、混乱し重い気持ちになってらっしゃるかもしれません。こういう状況では、他の親御さんと同じように、こういう疑問が心の中に浮かんでいるのではないでしょうか?
-
なぜ?なぜうちの子が?
-
私が何か悪かったのだろうか?
-
この子を愛せなかったらどうしよう。
-
お医者さんは全部話してくれてるんだろうか?後でもっと何か言われるんじゃないだろうか?
-
こういうことを一挙に解決する方法はあるんだろうか?
こういった疑問は、こういう状況にある親御さんに共通のものです。私たちは、このハンドブックが、こういった疑問に皆さんが自分なりに対応し、心強く、より確かに、混乱ばかりにならないようになっていくのに役に立てればと願っています。そして、皆さんの愛情あるサポートで、お子さんが健やかに、幸せに、愛し愛されるよう成長していけると皆さんが思えるようになればと思っています。
このハンドブックには、それぞれのお子さんの状態についての医学的情報はほとんど載っていません。DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)に数えられる状態は大変に多く、その全てをここでカバーすることはできないからです。でもその代わりに、この本では、体の性とお子さんの成長についての基本的な情報をお伝えできればと思っています。また皆さんの心のサポートと、自分の気持ちにどう対応していけばいいか、毎日の生活のヒントになれればと思っています。お子さんが社会の中で力強くやっていけるようになっていくにはどうしていけばいいか、そのヒント、そしてお子さんの成長に合わせて、息子さんや娘さん本人(あるいは周りの人たち)にどういう風に話しをしていけばいいか、そのアドバイスを提供できればと思っています。このハンドブックの一番の目的は、皆さんが、お子さんとの人生という旅を送っていく上での助けになることなのです。
