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法務省刑事局 法務省性犯罪に関する刑事法検討会にてDSDsのある人々の性器の図画が展示された件について抗議文を送付しました。

 現在,法務省刑事局にて「法務省性犯罪に関する刑事法検討会」が行われております。今回の法改正の検討,あるいはその議論において,異物挿入や性別の別に関わらない性暴力全体についての議論は深められるべきだと思います。  ですが,性犯罪に関する刑事法検討会 第2回会議(令和2年6月22日)にヒアリング出席者として登壇された岡田実穂氏(Broken Rainbow–japan 理事,レイプクライシス・ネットワーク代表)が,自身の発表において,DSDsのある子どもたちの性器の図画を展示(ディスプレイ)したという事実を,出席していた複数の委員の方から私たちに問い合わせをいただきました。(リンク先の検討会のPDF資料では,性器の図画は省略されていますが,はっきりと展示されたとのことでした)。


 性被害の定義において,現行法が男性期の挿入に限られていることへの疑義として,また,トランスジェンダーの皆さんの性被害が改正案でも触れられていないことに対して,「男性器か否かという括り自体が曖昧なものである」,「陰茎というものがどういったものであるかという定義の問題として「いわゆる男性器に近似しているか否か」という条件がありますが、そもそもその「いわゆる男性器」とは何かということが、とても曖昧なものであるという現実を見逃している点です」として,出生時に性別判定が必要となるDSDsのある女の子・男の子たちの性器の図画が,委員会において公然と展示されたとのことです。


 問い合わせを頂いた委員の方々からは,このような形・意図で,DSDsのある子どもたちのセンシティブでプライベートな性器の図画を展示するあり方が妥当なものなのか,倫理的な問題はないのかということをおっしゃっていただきました。


 私たちに問い合わせを頂いた複数の委員の方におっしゃっていただいたとおり,私たちの,あるいはご家族の皆さんのお子さんの,最も私的でデリケートな領域である生殖器の話を,私たちが全く求めていない形で,無関係の方たちに取り上げられるというのは,大変な恐怖であり,決して望むものではありません。海外の人権活動家の方にもご相談をさせていただきましたが,これ自体が人権侵害であると私たちは結論を得ております。(国際的な人権支援団体でも,このような扱われ方を「instrumentalize(道具化)」として,強い非難を行い続けております)。


 社会では,性分化疾患を持つ私たちについて,「何をもって男性器というのか,女性器というのか?」という議論や,「ペニス付きで戸籍女性のインターセックスはどうなんだ?」などという誤った認識に基づく発言が出るということもありますが,性分化疾患での性器のサイズはそういった単純なイメージではなく,現実には,性分化疾患を持つ女性・男性は,陰核の肥大や陰茎の小ささ,陰唇の癒着,膣の浅さ,不妊状態などによって苦しんでいるというのが実際で,決して「ペニス付きの女性」などというものではありませんし,私たちの極めて私的でセンシティブな領域に対して「これが女性器と言えるのか,男性器と言えるのか?」などという議論をしてもらいたくもありません(十分に男性器・女性器です)。こういう表現を書かねばいけない事自体,非常につらく,情けなく,非常に悲しい思いです。


 女性やLGBTQ等性的マイノリティのみなさんの性被害は決して許されるものではありません。またトランスジェンダーの活動家やアライ,大学の先生のみなさんは,トランスジェンダーのみなさんの性器の話が議論されるということに対して強い非難を行っていらっしゃいますが,その当の活動家やアライのみなさんが,DSDsのある子どもたち・人々の性器の図を公然と平気で展示したり,自分たちの理念や理論,運動のために議論するということがなぜ可能なのか,私たちにはさっぱり理解ができません。ましてや,トラウマや身体の傷を残す性被害の議論において,なぜそういうことがしてしまえるのか,全く理解ができません。


 私たちとしても,公的な会議において,DSDsのある子どもたちの性器の図が公然と展示されたことに対して,強い驚きと深い懸念,大きな不安,恐れについて,検討委員の皆さまにお伝えしたいと思い,法務省宛に抗議文を郵送させていただきました。(後日,このお願い書は検討委員会の皆様に共有されたということを委員の方からお知らせいただいております)。


 私たちはLGBTQ等性的マイノリティやアライのみなさん,大学の先生の大多数は,自分たちの人権だけでなく,自分と異なる他者の人権を犯してはいけないということも理解されていて,こういうことをされるのはごく一部の方たちのみであるということは承知しております。




 以下,法務省にお送りした抗議文です。


 


令和2年9月17日

法務省刑事局 法務省性犯罪に関する刑事法検討会 御中


日本性分化疾患患者家族会連絡会



抗議文



 突然にて大変失礼いたします。日本性分化疾患患者会連絡会と申します。

 

 いまだ日本では誤解や偏見の多い性分化疾患について,海外の患者家族会・サポートグループの皆さんのご協力をいただき,正確でサポーティブな情報を提供する活動を行ってきております。日本では唯一DSDsについて発信しているところで,近年ではありがたいことに,ホームページを見てということで,各種DSDs患者家族会を創設される当事者家族の方も増えてきて,現在では,生命倫理学ご専門の先生や,海外の人権活動家,DSDs専門医療関係者の方のご協力もいただきながら,患者家族会連絡会としても活動させていただいております。


 性分化疾患(あるいは「インターセックス」)という用語,お聞きになられていると思います。性分化疾患(DSDs)とは,外性器や内性器,染色体の構成など,いわゆる「体の性の作り」が,一般的な発達とは生まれつき一部異なる女性・男性の体の状態を指します。世間では「両性具有」や「男でも女でもない」「男女中間」「男女両方の特徴を持つ」などという誤解・偏見がありますが,現実の当事者のみなさんの大多数は,自分が男性もしくは⼥性であると感じるかどうかさえほとんど全く疑いを持ったこともなく, むしろ他⼈が自分を完全な男性・完全な⼥性として⾒てくれるかどうか不安に思っていて,切実に自分をただの男性・⼥性と⾒てほしいと思っています。


 さて今回お願いをお送りさせていただきましたのは,法務省性犯罪に関する刑事法検討会において,「インターセックス」(性分化疾患)についての言及,あるいは,「DSDsのある子どもたちの性器」の図などが使用されたことについて,私たちの深い懸念と不安,強い恐れについて,検討委員の皆さまにお伝えしたいと思ったからです。


 性犯罪に関する,現実の社会に沿った新しい考えが法律に取り入れられていくことはとても大切なことと私どもも考えております。異物挿入については門外漢のため正確に理解はできておりませんが,資料を拝見して真摯に考えていかねばならないこと,またLGBTQ等性的マイノリティの皆さんの正しい情報が共有され,当事者の皆さんの切実な思いが理解されることもとても大切なことであると思っております。


 ですが実は大変残念ながら,LGBTQ等性的マイノリティの皆さんや支援者の皆さんでも,実社会と同じく,性分化疾患(DSDs)に対する誤解や偏見が大きく(50年前LGBTQ等性的マイノリティの皆さんへの偏見・誤解を一般社会の方が持っていたのと同じく,LGBTQの皆さん自身がDSDsに対して誤解や偏見を現在も持っている状況とお考えください),誤った形でのDSDsの説明,あるいは私たちの全裸の写真や性器の図などが,「男女分けられない」証左であるかのように伝えられるということが日本で見られ,当事者団体といたしましては,非常につらい思いをし続けているという悲しい状況があるのです。(大多数のDSDsを持つ子ども・大人にとっては,「男でも女でもない」「男女中間」「男女両方の特徴を持つ」と言われることが一番心傷つくことになり,ましてや自分の性器についてそのように言われるようなことはあり得ないことなのです)。


 私たちの,あるいはご家族の皆さんのお子さんの,最も私的でデリケートな領域である生殖器の話を,私たちが全く求めていない形で,無関係の方たちに取り上げられるというのは,大変な恐怖であり,決して望むものではありません。海外の人権活動家の方にもご相談をさせていただきましたが,これ自体が人権侵害であると私たちは結論を得ております。(国際的な人権支援団体でも,このような扱われ方を「instrumentalize(道具化)」として,強い非難を行い続けております)。


 社会では,性分化疾患を持つ私たちについて,「何をもって男性器というのか,女性器というのか?」という議論や,「ペニス付きで戸籍女性のインターセックスはどうなんだ?」などという誤った認識に基づく発言が出るということもありますが,性分化疾患での性器のサイズはそういった単純なイメージではなく,現実には,性分化疾患を持つ女性・男性は,陰核の肥大や陰茎の小ささ,陰唇の癒着,膣の浅さ,不妊状態などによって苦しんでいるというのが実際で,決して「ペニス付きの女性」などというものではありませんし,私たちの極めて私的でセンシティブな領域に対して「これが女性器と言えるのか,男性器と言えるのか?」などという議論をしてもらいたくもありません(十分に男性器・女性器です)。こういう表現を書かねばいけない事自体,非常につらく,情けなく,非常に悲しい思いです。


 検討会の皆さまの,性被害に遭われる方々の人権や心を大切にする議論が,他の人間の人権を侵害することがあってはならないと私達は考えますし,皆様もそのようにお考えと確信しております。



 今回の法改正,あるいはその議論において,異物挿入や性別の別に関わらない性暴力全体についての議論は深められるべきだと思いますが,そこで性分化疾患の話を取り上げられること,議論に乗せられることを私たちは一切望みません。私たちは見世物小屋ではありません。



 現実の性分化疾患を持つ人々について詳しくは,人権先進国ベルギーの国家機関の調査報告書を翻訳しております。ご参照いただければと思います。https://bit.ly/2FFSLMt


 皆さまの法改正の議論が実り高くなり,性被害に遭われる被害者の皆さんの人権が守られることも同時に祈ります。


 どうぞよろしくお願い申し上げます。



日本性分化疾患患者会連絡会

nexdsd@gmail.com



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