top of page

 

HOMEライフストーリーズ>子宮を失った状態で生まれて…

ロキタンスキー症候群 性分化疾患/インターセックス

子宮を失った状態で生まれて

リザさん

ロキタンスキー症候群

「子宮移植が可能になればとてもすごいと思ってます。私は多分もう間に合いませんが、後に続く女性たちの多くがそういう機会に恵まれることを期待しています」(ノルウェイVG紙)

 

御覧の皆様へ

 ロキタンスキー症候群(MRKH)とは、女性のDSDのひとつです。ロキタンスキー症候群は、主に思春期の無月経から、膣や子宮、卵管の一部もしくは全てが無い状態であることが判明します。女性にとっては、とても心痛められることが多く、またこれまで、同じような体の状態を持つ女性との出会いもないまま、孤独の中を過ごさせねばなりませんでした。

 現在,欧米ではロキタンスキー症候群のある女性への医療体制や,当事者女性たちのサポートグループも整備されるようになりましたが,それでもその苦しみや悩みがすべて解決されるわけではありません。

 


 ロキタンスキー症候群をはじめとするDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。

 私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

​ ​どうか、お間違いのないようにお願い致します。

 

 詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。

何かかおかしいのではないかと思っていた。

 それはまだ年若い女の子が受け止めるにはつらいメッセージだった。彼女は絶対自分自身の子どもを授かることはできない。他の女性たちと同じようにはいかないのだと。リザは今ロキタンスキー症候群(MRKH)のグループを運営している。彼女に続く女性たちが、正確な情報を得られるようにと。

 リザがロキタンスキー症候群と診断されたのは1995年。しっかりした情報も支えも長年なかった。その後ノルウェイでも18年間、自分のような体の状態についての情報はほとんど無かった。だから彼女は自分で始めたのだ。2013年に、MRKHノルウェイのNPOを。

 「2年間ずっと痛みに苦しんでました。学校はがんばって行ってましたが、最後は救急車で運ばれて。そこで婦人科のお医者さんの診察を受けなきゃいけないことになったんですが、最初は拒んでいました」。

 自分でも何かがおかしいのではないかと思っていた。「ボーイフレンドがいたんですが、セックスがうまくいかなくて」。判明したのは、彼女の膣は1~2センチしかなく、子宮も育たないままになっていたということ。「ひどい痛みの原因は、発達しなかった子宮の一部に血液が流れ込んでそこで溜まって、裂けてしまったからでした」。

 彼女は手術をしたが、卵巣は残しておくことを選択した。膣を拡張することも勧められた。ダイレーターを使う方法だ。手術では、傷跡が残り、崩れるかもしれないリスクがあるからだ。

 「膣は拡張できました。なので今はセックスもできます」。

 しかし彼女が教えられた情報はあまりに少なく、まだ若い時でもほとんど全くサポートは得られなかった。

 「一番小さなダイレーターにしたんですが、それが家に送られてきて。でもそれだけ。それからは何も教えてもらえませんでした。ただいろいろなサイズのダイレーターがまた送られてきただけで…」。

 当時彼女にはボーイフレンドがいて、セックスは確かに可能になった。

 「でも、長年ずっとひとりで痛い思いをしていました」。

ジーナさん3.JPG
ジーナさん2.JPG

心への影響

 セックスの問題はなくなったかもしれない。だが彼女はもっと大切なフォーローアップが欲しかった。

 「でも何だかんだとやっぱりセックスでは痛みが伴いました。心の痛みもつらかった。膣を広げることの方が簡単に思えるくらい」。

 ロキタンスキー症候群では性ホルモンの問題はない。彼女たちは他の女性たちと全く同じ想いと望みを持っているのだ。排卵も通常にある。しかし卵子と経血は体に吸収されていき、月経出血にはならない。彼女も他のロキタンスキー症候群を持つ女性同様、卵巣はあるのだから、原理的には代理母という手段で赤ん坊を授かることも可能だ。

 「でも私は考えたことはありません。ノルウェイでは非合法ですし、海外でも費用がとても高いから」。

 リザはその代わり、今のボーイフレンドと里親になる選択をしている。

 「家族を作る一番いい方法だとずっと思ってます」。

 「小さい頃は普通に女の子のように感じていました。でも診断を受けて、自分は他の女性とは違うと思うようになりました。生理がない。セックスも難しい。自分の子どもを授かれない。他の女性たちと同じような思春期にもならなかったから」。

 今でも彼女は、大人の女性というよりも、自分をまだ女の子のように感じている。

 「成熟した女性になれたとは感じていないんです。自分の体が他の女性たちから置いて行かれたように感じていて…」。

成長に合わせて、子どもを授かるいろいろな方法についての情報も得られるように…。

 リザは診断以来、病院から何も聞けなかった。25歳になってはじめて、自分も膣の手術をした方が良いのかどうか診察してもらおうと決心して病院に行った。

「でも拒否されました。6~8センチあれば十分だと言われたんです。でも結局、実は長期間の経過観察が必要な状態だと分かって…」。

現在では、ロキタンスキー症候群の診断を受けた時は、彼女の時よりも徐々に多くの情報を教えてもらえるようになっていると感じている。だが彼女はまだ不十分だとも思っている。

 「国によっても違いがあります。こういう体の状態を知っているお医者さんに会えるかどうかという運にもよる状況です」。

 現在彼女は、診断を受けた時により良い十分な情報が得られ、いつどのような治療を受けるか自分自身が決定に参加できるように活動している。

 「臨床心理士に会える機会も提供される方がいい。それに、成長に合わせて、子どもを授かるいろいろな方法についての情報も得られるように」。

 リザは自分が自分のことを明らかにすることで、タブーを壊していければと願っている。

 「まだこういう話はタブーになってると思います。特に若い時、周りの女性の友達に生理が始まる時期は」。

 異なる文化背景を持つ女性たちは特につらい状況にある可能性もある。

 「子どもを生むことが女性の主要な務めという文化では、こういう体の女性は家族から排斥されてしまうという話も確かに聞いてます。ノルウェイでは幸いにも、子どもがいなくても大丈夫なので、そういう心の傷を受けることもないんですが…」。

 グループの主催者として、彼女は子宮移植による出産の情報もフォローしている。

 「こういうことが可能になればとてもすごいと思ってます。私は多分もう間に合いませんが、後に続く女性たちの多くがそういう機会に恵まれることを期待しています」。

3ryj.JPG

ロキタンスキー症候群とは?

 ロキタンスキー症候群(MRKH)とは、女性のDSDs:体の性の様々な発達のひとつです。ロキタンスキー症候群は、主に思春期の無月経から、膣や子宮、卵管の一部もしくは全てが無い状態であることが判明します。女性にとっては、とても心痛められることが多く、またこれまで、同じような体の状態を持つ女性との出会いもないまま、孤独の中を過ごさせねばなりませんでした。

 

 この記事のリザさんは現在、NPOの「MRKHノルウェイ」を主催されていて、世界中のMRKHを持つ女性に情報発信をされています。そして,日本の当事者の女の子・女性たちにもメッセージを送ってくれています。

ロキタンスキー症候群を持つ女性たちのホームページ
ロキタンスキー症候群を持つ女性へのメッセージ

あなた自身で強くあって。自分に自信を持って。あなたはひとりじゃない。MRKHがあっても、あなたの人生は美しく、幸せになれるから!

世界で初めて子宮移植により、ロキタンスキー症候群を持つ女性から生まれた赤ちゃんヴィンセント君の誕生を、世界中のロキタンスキーを持つ女性の皆さんが祝福するビデオです。

ロキタンスキー症候群(MRKH)のある女性の物語
bottom of page