HOMEライフストーリーズ>訊いてはいけない。知ってはいけない。

訊いてはいけない。知ってはいけない。

Don't ask. Don't know.

AISを持つ女性

アンドロゲン不応症

 

 

最初AISは私にとっては大げさな自己憐憫でした。けれどもそれは今は私を定義するものではありません。もし信じていただけるなら、私はAISのことを好きになりつつあります。今まで絶対想像さえできないような形で、私を勇気付けさえしているのです。

私は特殊だ。私は人と違っている。生理は絶対来ない。同じような状態の人には絶対会えない。そういうこと以外は何も。

 自分たちが成長してどういう人間になりたいのか、自分自身の人生をどう生きるのか、そんな話をしたい時ってありますよね。そういう場面で、私と私の一番の友達は、まず自分がAISを持っていること、そしてAISが私のこれまでの成長や決断にどれほど影響してきたか、まずそこから話をはじめます。

 皆さんは、私と私のこれまでの「旅」のことをご存じないでしょうから、簡単にお話します。

 ヘルニアが見つかったのは5歳頃。両親は、私には子どもが持てないことを話しました。両親は、遺伝子のいたずらで私には「精巣性女性化症」があると告げられたのです。自分は何か違う何か特別で(でもどうしてそうなのか本当には知らないまま)、子どもを持つことができないということ以外は何も知らないまま私は成長しました。大学で取った社会学の講義で、その表層性に大きな感情と疑問、怒りの渦を感じるまでは。でも、その講義からの4年間で、私はXY染色体のことを知り、AISのことを知り、AISのサポートグループを紹介してもらい、今に至っています。
 

 私は何よりも赤ちゃんを望んでいました。子どもの頃は、そのほとんどをネガティブな感情に流されるままにしてきました。だって、私の人生の目的は完全に自分自身の子どものお母さんになることだったのですから。子どもの里親になるのは私にはフェアではないように思い、そのことは考えたくありませんでした。自分の身体のことは言われた事以外は何も分からないままでした。私は特殊だ。私は人と違っている。生理は絶対来ない。子どもは絶対産めない。セックスは苦痛だからやめた方がいい。同じような状態の人には絶対会えない。そういうこと以外は何も。

理解してしまうと、私は自分が今までとは違ってしまうと思いこんでいたのです。でも私は依然としてちゃんと私のままでした。

 けれどもおかしなことに、私はそういう答え方を受け入れていました。「それだけのことだから」という答え方では絶対納得しないような好奇心旺盛な性格ではありましたが、私は確かにただの子どもでしかなかったのです。2005年秋、社会学の講義の最初にビデオを見たあの運命的な日まで、兵隊が従うのととても似たモットーを、私は自分に課していました。「聞くな話すな」と。もっとも、私の場合は「聞くな知るな」でしたが。何故自分が違っているのか、私は知りたくありませんでしたし、違うことを認めたくもありませんでした。自分がどんなふうに人と違うのか知らない限り、私は皆と同じでいられました。「何も特殊なところなんてないんだ」と。どんなことであっても私は普通でいたかったのです。

 何も知らないままの状態で、私は自分の人生の大半を送るようにしてきました。私は人に同情してもらいたかったし、人に注目してもらいたかったし、自分が持ち得ないものを(ただ自分が持ち得ないという理由だけで)望んでいました。今ではもう分かります。私は子どもを産みたいという希望に長い間すがりついていたのです。子どもを持てないなんてフェアじゃない、他の女性が使えるのと同じカードの手札を私も持っていたい、ただそんな理由だけで。自分は人と違うと言うことは分かっていても、何故そうなのか理解しないまま、私は大きくなってきました。理解してしまうと、私は自分が今までとは違ってしまうと思い込んでいたのです。

 

 どんなふうに自分は「違う」のか理解したとき、けれども私はそうは感じませんでした。私は依然としてちゃんと私のままでした。私が私であることには変わりなかったのです。いつも面白い話を集めるのが趣味で、聞いてくれる人に話をしたり歌ったり、タマネギが嫌いで犬とダンスが大好きな、女の子っぽい女の子のままでした。自分の子どもは産めないということを、ある時点で受け入れた、ひとりの女の子のままでした。私をじっと見守り続け、どうせ私は奇人ショーの見世物だと皆に思わせようとした時も、戸惑いながらも私を私のままに見てくれていた友達や家族、そして演劇への愛情が私の人生に新しい夢をもたらしてくれたこと、それにAISサポートグループとそれを作った本当に素晴らしい女性たちのおかげで、人生の大半で私の頭の上を覆っていた厚く暗い雲を、ついに晴らすことができたのです。
 

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