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LIFE STORIES

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話すべきか?話さないべきか?それが問題だ。

スワイヤー症候群を持つ女性

人に話すということは、自分の一部を引き渡す、あるいは自分個人の物語にその相手に加わってもらうみたいなものです。

 

御覧の皆様へ

 スワイヤー症候群とは、女性のDSDsのひとつです。染色体はXYですが、原性腺(卵巣や精巣に分化していく元の組織)が発達せず、それによりアンドロゲンの影響を全く受けないために、人間の原型である女性のままで生まれてくる体の状態です。一般的にこの体の状態が判明するのは思春期前後で、スワイヤー症候群を持つ女の子ご本人も、ご家族も大きなショックを受けられることがほとんどです。

 

 私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

 スワイヤー症候群をはじめとするDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。

 

 どうか、お間違いのないようにお願い致します。

 

 詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。

周りに細かいところまでオープンにするのかしないのか、これだという普遍的な答えはありません。

 これは、私のDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の診断について考える時、何度も自分自身に問いかけなきゃいけない問題です。私はスワイヤー症候群を持っています。つまり私は(一般的には男性型の)XY染色体と、発達しなかった性腺、それに女性の外性器と子宮を持って生まれました。 

 

 私は自分のことを100%普通の女性と感じていますし、実際に私は女性に生まれ育っています。ですが、未発達の性腺は除去し、思春期が始まるようホルモン療法を受けねばなりませんでした(訳者注:スワイヤー症候群の場合、未発達な性腺はがん化のリスクが高く、発見次第除去することが勧められます)。私が15歳になるまで、私も家族もこのことには気がつきませんでした。お医者さんはみんなに言いまわるようなことじゃないと仰ってました。

 

 実際、みんなに話してシェアすることについては、「しーっ!黙って!」というのが、だいたい一般的なところだと思います。DSDsを持つ女性の多くからは、いかにお医者さんが嘘をついて、本人にも体の本当の状態について話をしなかったという話を聞いてきました。それは私にとっても憂鬱な話でした。


 周りには自分の診断のことを長い間秘密にしておくということはあると思います。不幸なことだとも思いますが、周りに細かいところまでオープンにするのかしないのか、これだという普遍的な答えはありません。ただ、誰かに話すということについては、いくつかの要因が関係してくると思います。ひとつは知識、それに自分自身の成熟、話をする相手、そして話すときの状況です。

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このDSDの状態は、私の一部でしかなく、私の全てじゃないんですから。

 でも、まず第一には、自分自身の性格傾向でしょう。私は近しい家族を除いては、あまり自分の気持を話しません。何かお願いしなきゃいけないという時でも、あまり人に話したがらない方です。なのでとっても孤独な時もあります。私が初めて自分のことを話したのは臨床心理士で、なので専門的にセッティングされた状況なら心の準備はできるようになりました。祖母には母親から言ってもらうようにしましたが、直接に話したいとは思いませんでした。

 

 この秘密は、抱え続けていると、ますます言いにくいものになっていきます。今ではさすがに屋根の上から叫ぼうとは思いませんが、教会の小さなグループ(全員女の子です)では打ち明けることにしました。そこを卒業しなくちゃいけなかったからです。自分の人生での葛藤を少しでも打ち明けないのは、まるでみんなに嘘を付いているように思えたのです。なので自分の順番の時に、私はみんなに話しました。このDSDの状態は、私の一部でしかなく、私の全てじゃないんですから。もちろん、とてつもなく大きな秘密ですが…。

 

 もしあなたが全然オープンな人で、周りの人があなたのことをどう思うとも気にしないというのなら、あなたは多くの人々に話をするでしょうし、それはあなたにとってすごいことです。自分が気持ちよくいられるようなことをすべきですし、仕方なく無理やり話すというようなことは決してあってはならないと思います。だってそれはあなたの大切な情報なのですし、打ち明けられた相手は、そのことを信頼の証と思うべきことなのですから。

あなたの話を聞く機会を持った人は、あなたのことを大切にしてくれる人、話したからといってあなたのことを変わらずに見てくれる人、そしてどんなことがあってもあなたを支えてくれるだろう人であるべきでしょう。

 自分自身の診断、身体の状態についての知識も、とても重要です。私はスワイヤー症候群についてちゃんとしたことをあまり知らなかったので、その間黙っていたのは正解だったと思っています。でも、女性と家族のためのAIS-DSDサポートグループのカンファレンスに行ってたくさんのことを学び、何人かの友達に自分のことを話す自信を持ちました。スワイヤー症候群についてどうやって話すのか、ちゃんと分かったからです。

 

 DSDsには様々なものがあって、難しい用語や説明が難しいところがたくさんあるので、他の人に伝える前に、自分自身がよく分かってないといけません。たとえば、自分はXY染色体を持っていると言った女の子は、あの子実は男なんだよと(いう誤解を)ひそひそ話をされるかもしれません。それに正しい専門用語を伝えるには、落ち着いて話すことが必要だと思います 。

 もうひとつ大切な要因は、自分自身の成熟です。人に話そうという時、誰に話すのか、どうやって自分の感情を処理するこころの準備をするのか、その責任は自分自身にあります。話す相手(個人でも複数でも)は、信頼に値する人であるべきです。信頼できるかどうかはとても大事です!自分の秘密が安全に扱われるという自信が持てる相手の方がいいでしょう。

 

 自分が望んだわけではない方法で人に知られたということも何度かありました。とても心が痛みました。人に話すということは、自分の一部を引き渡す、あるいは自分個人の物語にその相手に加わってもらうみたいなものです。あなたの話を聞く機会を持った人は、あなたのことを大切にしてくれる人、話したからといってあなたのことを変わらずに見てくれる人、そしてどんなことがあってもあなたを支えてくれるだろう人であるべきでしょう。

 

 私が自分の一番の友だちに話した時は、彼女たちが私にとって心強く信頼できる人だったからです。その他の人には言ってません。その人達では、この話を本当に安全に扱ってもらえないと分かるからです。あなたの物語はとても大事なものです。だから、支えてくれて普通に気遣うことができる人を選んでください!

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私が自分のことを話ししたのは、私の友達に私が何者であるか、診断が、私の身体やたましい、感情、そして人との関係にどんな影響を与えたのか知ってもらいたいと思ったからです。

 最後に大切なのは、話をする状況と場の問題です。なぜその人たちに話をするのか、そして、いつどこで話をするのか、よく考えてください。話をするのは、生理のことか、赤ちゃんのことか、それとも体の状態のことなのか?普段の日常の会話なのか、それとも真に意味のあることなのか?この話からみんなにどんなことを分かってほしいのか?ちゃんとした環境で話をすることが大切です。

 

 私としては、テレビを見ながらとかショッピングモールの中でとかでは、話をしたくありません。私はできれば家の中で話をしたいと思っています。いつ話をするかどこで話をするかは、伝える相手に、あなたの話が特別で、大切に、安全に扱ってもらいたいものなんだということを表すことなのですから。

 私が数回自分のことを話ししたのは、私の友達に、私が何者であるか、診断が、私の身体や、たましい、感情、そして人との関係にどんな影響を与えたのか、知ってもらいたいと思ったからです。

 

 様々なお医者さんや看護師さんに自分の話をしたこともあります。スワイヤー症候群や他のDSDsについてもっと伝えていきたいと思ったからです。そうすることで、普通の人々が普通じゃない診断を受けるということについて理解してもらいたいと思いました。  

いつかあなたや私のような人々が、ひとりの女性として尊重され、恥ずかしい思いをしない日が来ることを望みます。

 私たちの文化やマスコミは、この種の事柄については今でもどう扱かえばいいか混乱しているようです。彼らはどうしても、シーメール(訳者注:故意に豊胸手術などをして女性のようになる男性のこと)になったセレブだったり、何か奇妙なもののようなイメージで伝え、そういう伝え方が、実際に生きて生活している様々な人々に悪い影響を与えていることを知ろうともしません。

 

 私たちは奇人変人じゃありません! 今私の文章を読んでいる皆さんには、自分自身でいいんだ!と知ってもらえればと思います。とても大切なことです。

 

 ですが、私たちの社会が、違いは悪いことじゃないということが分かるまで、何を、どのように、いつ、どこで、そして誰に話をするのか、ちゃんと考える必要があります。

 

 いつかあなたや私のような人々が、ひとりの女性として尊重され、恥ずかしい思いをしない日が来ることを望みます。

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スワイヤー症候群とは?

スワイヤー症候群とは、女性のDSDsのひとつです。染色体はXYですが、胎児期に原性腺(卵巣や精巣に分化していく元の組織)が発達せず、アンドロゲンが産生されないために、まったくの女性に生まれ育つ体の状態です。体の内側では、子宮と卵管、頸部、そして膣が発達しています。

 一般的にこの体の状態が判明するのは思春期前後で、スワイヤー症候群を持つ女の子ご本人も、ご家族も大きなショックを受けられることがほとんどです。

 

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