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限界を超えて生きる:CAH(先天性副腎皮質過形成)とともに歩むレスリーさんの物語

  • 16 時間前
  • 読了時間: 5分





御覧の皆様へ


私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

先天性副腎皮質過形成(CAH)女性をはじめとするDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。


どうか、お間違いのないようにお願い致します。


詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。






 決意と啓発活動の象徴である、レスリー・ホルロイドさんの人生の歩みをご紹介します。CAH(先天性副腎皮質過形成)とともに生きる彼女の道のりは、独特の困難と克服に満ちており、彼女の素晴らしい強さを物語っています。


 レスリーさんは1957年、まだ十分な医療資源がなかった時代にイギリスで生まれました。自宅で助産師の手により取り上げられた際、予想外の展開がありました。当初、両親は彼女が「男の子」であると告げられたのです。


 レスリーさんは幼少期から健康上の問題に直面し、授乳もうまくいかず体調を崩しがちでした。病院を受診したことで、塩喪失型先天性副腎皮質過形成(SWCAH) と診断されました。当時は超音波検査が手軽に受けられなかったため、完全な女性の性器を持っていることを確認するために手術を行う必要がありました。


 彼女の幼少期は体調不良に見舞われ、母親からのネグレクトも重なって、人生の最初の2年間を病院で過ごすことになりました。4歳のとき、彼女は正式に母親の親権から引き離され、性別も正しく女性として認められました。この時期にレスリーさんは性器の復元手術も受けています。



CAHとともに育つということ


 CAHを抱えて成長することは、さまざまな課題を伴いました。熱に弱いため、運動や屋外での活動には慎重にならざるを得ず、無理をすると入院につながることもありました。


 精神面でも「周囲と違う」と感じ、なぜ毎日薬を飲まなければならないのかという疑問に対する明確な答えも得られませんでした。大人たちから返ってきたのは、「生き続けるためだよ」という、恐ろしくも曖昧な言葉だけでした。


 レスリーさんが自身の病気について真に理解できるようになるまでには、長い時間がかかりました。本当にCAHを理解できたのは、アメリカのCAHサポートグループCARES Foundation(ケアズ・ファンデーション)に参加し、他の会員とつながってからのことでした。驚くべきことに、レスリーさん自身が正看護師であったにもかかわらず、自分自身の病気(CAH)についての知識が欠けていたことに彼女自身も衝撃を受けたと言います。



セルフアドボカシー(自分を理解し大切にすること)


 年月を経て、レスリーさんは体調の変化に非常に敏感になり、身体のサインを正確に察知できるようになりました。ストレスドーズ(体調悪化時のホルモン剤の増量)をすべき適切なタイミングを熟知し、内分泌科の主治医による定期的な診察も欠かさず受けています。


 新型コロナウイルスに3度感染した際も、自身の体の状態を正確に医師に伝え、適切な処置を求める「セルフアドボカシー」によって乗り越えることができました。


 レスリーさんから他の患者・家族へのアドバイスは、シンプルですが非常に深い意味を持っています。


「自分自身の一番の理解者・代弁者(アドボケイト)になってください。自分のCAHについてできる限りのことを学び、定期受診を怠らず、しっかり服薬し、CAHを深く理解している内分泌科医に、いつでも頼ってください」


CARES Foundationでの活動と啓発


 彼女は現在、CARES Foundationの理事を務め、40歳以上の女性向けサポートグループのリーダーとしても活躍しています。彼女の啓発活動は、手術を含むすべての治療選択肢へ患者がアクセスできる権利を守ることにまで及んでおり、CARES内の複数の委員会にも精力的に参加しています。


 彼女の献身的な姿勢は揺るぎなく、数多くの内分泌学会やCARESのイベント、ウェビナー、マスタークラス、カンファレンスに出席しています。また、患者向けの啓発動画に出演しているほか、フロリダ州では「CAH啓発ウォーク」を主催しています。


 CARES Foundationを通じて、レスリーさんは患者レジストリ(データベース)である 「CAHtalog」を知り、最初期に参加したメンバーの一人となりました。彼女は、研究の力がCAH当事者の生活を向上させると強く信じています。


「私が生まれた頃と比べて、CAHの医療は本当に大きく進歩しました。これはすべて、研究のおかげであり、自身のCAHの経験を快く共有してくれた患者の皆さんのおかげです」


前を向いて生きる




 未来を見据えるレスリーさんは、CAHの将来に対して非常に楽観的です。当時と比べて情報やリソースを手に入れやすくなった現代ですが、医療従事者の間での病気の認知度を上げるためには、まだまだ取り組むべき課題があると彼女は考えています。

 

 「声を上げ、自身のストーリーを共有すること」を他の人々にも促しながら、彼女自身も経験を発信し続けています。


 彼女はCAHによって自分の人生が決定づけられるのを許しません。これまでにヨーロッパやアメリカ全土を広く旅し、40年間にわたり愛するパートナーとともに素晴らしい人生を歩んできました。水泳やガーデニングから、歴史的建造物や歴史への深い愛まで、多彩な趣味を楽しんでいます。


 レスリー・ホルロイドさんの生き方は、私たち全員に勇気を与えてくれます。彼女のストーリーは、困難に立ち向かうしなやかな強さ(レジリエンス)、自分自身を守り権利を主張することの大切さ、そして「一人の人間が医療や希少疾患の世界に与えることができる深い影響力」を教えてくれています。

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海外国家機関DSDs調査報告書

ベルギー国家機関性分化疾患/インターセックス調査報告書
オランダ社会文化計画局「インターセックスの状態・性分化疾患と共に生きる」表紙

 近年、教育現場や地方・国レベルで、LGBTQ等性的マイノリティの人々についての啓発が行われるようになっています。その中で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が取り上げられるようになっていますが、昔の「男でも女でもない」という偏見誤解DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。

 どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。

 ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。

DSDs総合論考

 大変残念ながら,大学の先生方でもDSDsに対する「男でも女でもない」「グラデーション」などの誤解や偏見が大きい状況です。

 

 ですが,とてもありがたいことに,ジェンダー法学会の先生方にお声がけをいただき,『ジェンダー法研究7号』にDSDsについての論考を寄稿させていただきました(ヨヘイル著「DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス) 排除と見世物小屋の分裂」)。

 今回,信山社様と編集委員の先生方のご許可をいただき,この拙論をブログにアップさせていただきました。

 DSDsの医学的知見は大きく進展し,当事者の人々の実態も明らかになってきています。ぜひ大学の先生方も,DSDsと当事者の人々に対する知見のアップデートをお願いいたします。

 

 (当事者・家族の皆さんにはつらい記述があります)。

ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
性分化疾患YouTubeサイト(インターセックス)
ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会
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